【おすすめの本】「ジム・モリスン 知覚の扉の彼方へ」
おすすめの本、2冊目。
「ジム・モリスン 知覚の扉の彼方へ」。
中学2年生のとき、オリバー・ストーンの映画「ドアーズ」が公開された。当時まだまじめな映画少年で「スクリーン」や「ロードショー」、ジャンル映画は「宇宙船」と雑誌で情報を集めていた俺は、ジム・モリソンの恰好をしたヴァル・キルマーの写真を目にした。どえらいカッコ良さに脳みそが200万光年の彼方へ吹っ飛ばされたような気分になった。同じ頃に大槻ケンヂがオールナイトニッポンで同映画の話をして「ハートに火をつけて」をAMの深夜ラジオであることをいいことにカットなしでフルで流した。何だこれは長くてダサいな、と思いつつ今は亡き「友&愛」(貸レコード屋)にいき、ドアーズのCD2枚組ベスト盤を借りてた。それが運の尽き。すっかりドアーズにはまってしまった。
YouTubeなんてものもない時代だ。本物のドアーズのクリップ集ビデオ「ダンス・オン・ファイアー」が当時のCICビクターの廉価シリーズのカタログに入っており、ばあちゃんちの近くのスーパーのレジ横の棚の中、「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」と同じ並びに陳列されていた。親にたかって金をせびって買いに行き、テープがワカメになるまでリピートして見まくった。60年代後半の異様な空気を記録した映像は、中坊のメンタルを明後日の方向へ、それもかなり重度にこじらせてしまう結果となった。そんな折に出会ったのが本書「ジム・モリスン 知覚の扉の彼方へ」であった。
衝撃だった。だってこの本に書かれていたのは、承認欲求の固まりで酔っぱらいの女にだらしないクソ野郎だったからだ。しかし、こじらせた中坊には全てがカッコよかった。こんなクレイジーな大人がいたなんて。その後、ロック界の住人にはもっとクレイジーなマザファカがたくさんいることを知るのだが…。満を持して観たオリバー・ストーンの映画はつまらなかった。ただ単に承認欲求の固まりで酔っぱらいの女にだらしないクソ野郎の映画だった。本物のドアーズに触れたからには、もはや再現ドラマは必要なかった。何年かたってもう一度見たけどやっぱりつまらなかった。
ダラダラ書いてしまったが、俺がロックという荒地に足を踏み入れてしまったあの時、とても大事な本だったので今でも手放さずに持っております。
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