【映画雑記】「ワンダーウーマン1984」を遂に観た!(ネタバレあります。)
「ワンダーウーマン1984」
いやー、待たされた。本来は昨年末公開だったのに「ジョーカー」の想定外のヒットで先送りになり、さらにコロナ禍で今年3回も公開が延びた。待った。待ったのであります。やっと…会えたね…。
やっと会えたダイアナ・プリンス…。
そりゃもう…凄かった!
スタッフ、キャストは同じだけど前作とはガラリと趣向を変えたかなり挑戦的な映画だったなぁと一晩たって感心している。
前作は第一次世界大戦が舞台ということもあり、戦争映画のテイストが濃厚に盛り込まれていた。泥だらけの塹壕から銃弾飛び交う戦地へと初めて乗り込んでいく姿はアメコミ映画史上に残る名シーンであると今も思う。翻って今回は1984年。前作ほどの重さはない。「コマンドー」や「レイダース 失われた聖櫃」、「マッドマックス2」といった80年代に作られた過去の映画のルックを借用しつつも、そこにガル・ガドット演じるワンダーウーマンが立つことで2020年の新しいヒーローアクションへと昇華させているのはさすがだった。
ガル・ガドットが相変わらず魅力的なのは言わずもがな。映画でワンダーウーマンを演じるのもすでに4本目。キャラクターへの造詣も深まり、ダイアナ・プリンスが持つ葛藤を余すところなく演じ切り、本当に彼女はワンダーウーマンなのではないかと本気で思わせてくれる。ワンダーウーマンは年を取らない。前作から多くの出会いと別れを経験していることを、彼女の私室にある数々の写真でさりげなく示唆。それ故、とても社交的なのに、相手や自分が別れによって傷つかないように心に壁を作り、用心深く人付き合いをするようになっていた。そして、時々ワンダーウーマンとしての能力を開放して、悪人をとっちめている。ここらへんの機微を、ガルさんの芝居はきっちり表現しきってましたね…。それがスティーブとの再会に初めて素直な喜びの表情を見せる場面のいいスパイスになってました。ヒーローなのに日陰者として生きている彼女に訪れた喜び。正直に言うと私は泣いてしまいましたよ。
敵の悪だくみによる被害が拡大するにつれ、戦いのスケールがどんどん狭くなっていってしまう「大山鳴動して鼠一匹」なパターンかと思ったら(見ながら「え?『ドリームキャッチャー』?」と思ったくらい)、土壇場でちゃぶ台をドカンとひっくり返すクライマックスは、子どもの頃に観た「スーパーマン」シリーズを彷彿とさせましたね。監督のパティ・ジェンキンスもリチャード・ドナーの「スーパーマン」が大好きだと公言していて終わり方も少し似ていますが、自分は三作目のコメディメーカーのリチャード・レスターが監督した「スーパーマンIII 電子の要塞」の腰砕け感を思い出しました。
前作は戦う相手が軍神だったため、戦う姿が描きやすかったと思うがしかし、今回の敵は人間の欲そのもの。ちょっと敵として具体化するには難しく、ラスボスも人間。原作由来の敵キャラも元は善人なので半殺し程度にとどめる。世界中を巻き込んで人々が欲に駆られて暴走していくものの、「五分の良心」を信じてエクストリーム説得に挑む姿は、今の世の中でいま一番求められている戦い方なんじゃないかと思った。殴ればいいってもんじゃない。なんたって主人公はワンダーウーマンなのだ。
ラスボスの最後も予定調和と思われかねないが、重要なのはヒーローが断罪をしないことだ。罪を憎んで人を憎まず。件のドナー版「スーパーマン」もスーパーマンはあんだけ酷いことをした悪党を、息の根を止めることまではせず、刑務所に直送でお届けしてたじゃないすか。過ちを犯した者にはセカンドチャンスを。いい意味でね。でなきゃ、ロバート・ダウニーJr.も「アイアンマン」やれてないんですからね。
そういえば、見どころの一つに"アトランティスから来た男泳ぎ"がありますよ!!
っていうわけで観に行けよ!!
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