36歳になったのでシミ取りレーザーに行った話 完全版
このnoteについて
これは、2023年10月に36歳の誕生日を迎えたわたしが、
初めてシミ取りレーザー治療を受けるまでと、受けた後の記録です。
以前こちらのnoteにアップし、文学フリマなどで本にして頒布した、「36才になったのでシミ取りレーザーに行った話」に加筆・修正をくわえたものです。
治療レポというよりは日記に近いモノなので、お気軽にお読みください！
※この完全版も製本して今後のイベントで頒布することにしました！ぜひ実際にシミを取った人の顔を見に来てください♡
36歳になったのでシミ取りレーザーに行った話
10月17日
2023年10月17日、わたしは36歳になった。人生３回目の年女だ。
私が生まれたのは、昭和の終わり。平成という青春をめいっぱい過ごし、すこし息切れしながらいま、令和の世で生きのびている。ていうか、もう令和５年が終わりそうって、まじ？ こわ。
ここ数年、誕生日にはなにか「自分へのプレゼント」を用意することにしていた。たとえばそれまで身に着けたことのなかった雰囲気の洋服やアクセサリーだったり、新しい家電や趣味のものだったり。シティホテルにひとりで１泊したこともあった。いずれにしても、自分をワクワクさせるようなモノ、ことを選んできた。
それはたぶん、30歳を超えたころから感じるようになった、年を重ねるごとに自分が「劣化」していってしまうような感覚に抗うための、自分にはまだ新しい可能性があると実感したいがための行為だったと思う。簡単にいえば、「アンチエイジング」というやつだ。
ところが、30代も半ばを迎えた今年、誕生日が近づいてきても、一向に「自分へのプレゼント」が決まらなかった。生活のいろいろなことが重なり、精神的に疲れていたという事情もあるが、中学生のころからずっと、椎名林檎『月に負け犬』の歌詞「好きな人や物が多過ぎて 見放されてしまいそうだ」が常に頭のなかをぐるぐるしているタイプだった私にとっては、とても珍しいことだった。
しかし、欲しいモノがないというのは、いい方向に考えれば「現状に満足している」ということかもしれない。無理してお金を使わなくてもいいじゃないか。今年はスルーするか、と思っていた。
でも、見つけたのだ。36歳のわたしに必要だったのは、自分の周りをモノで埋めることではなく、自分自身をアップデートすることだった。
きっかけはTikTokだった。TikTokを始めたのは、今年の夏のことだ。それまでは「若者が見てるもの」という認識でなんとなく避けていたのだが、仕事で使うことになり、プライベートのアカウントと仕事用のアカウントを作った。TikTokを毎晩3時間見ているという友人によると、TikTokのおすすめに流れてくる動画には、人柄が表れるらしい。なんでも、アルゴリズム？がたいへん優秀なのだそうだ。TikTok社で働いている人にも聞いたので間違いない。アルゴリズム？がなんなのかは理解していないが、簡単に言うとその人の好みに合った動画が出てくる、ということだ。会社の後輩は、えっちなお姉さんの動画ばかり出てくるので他人には見せられません、と言っていた。わたしのプライベートのTikTokには、主に角栓を引っこ抜く動画と、耳掃除動画と、バキバキ整体動画が流れてくる。健全なのか不健全なのかよくわからないけど、他人にあまり見られたくないのは確かだ。
誕生日のことを考えないようにしていたある日、こどもを学校に迎えに行く途中のバス車内でTikTokを眺めていたら、「美容課金旅」なるジャンルの動画が流れてきた。韓国に行き、最新の美容医療を受けまくるというVlogだ。美容大国である韓国では、美容医療が発達しており、価格も日本で受けるものに比べて安価なので、渡韓航してクリニックをはしごし、施術をたくさん受けるということらしい。すごい。
これだ、今、わたしがやるべきこと！ 自分に、課金だ！ と思った。
10月某日
美容医療を受けたことはないが、興味は以前からあった。癜風という身体にできるカビの治療で通っていた皮膚科で、美容系メニューの説明を受けたこともある。けれど、どれも高価だし、なんだか勇気が出ずにいた。年女の誕生日、いいきっかけではないか。
とはいえ、美容のためだけに海外に行く余裕はないので、日本で施術を受けられるところを探してみた。Twitterで口コミを見ていると、オープンしたばかりの、とあるクリニックが行動圏内にあることがわかった。キャンペーン中でかなり価格が安いし、口コミも信ぴょう性が高い。（このあたりは長年インターネットに住んでいる勘というしかない）課金旅の動画で見た「ポテンツァ」や「ダーマペン」の施術もできるが、麻酔が必要なものはちょっと怖かったので、一番人気らしい「全顔シミ取り放題」を予約した。税込み6600円。安い。わたしの顔面課金、オトクにスタートである。
左口角のすぐ横にシミができたことに気づいたのは、つい最近だ。1年以内のことだったと思う。最初はなにか食べ物がついているのかと思った。こすっても、化粧を落としても消えなくて、明らかにシミだということに気づいてしまったのは初めてで、動揺した。30代なのだからシミのひとつやふたつ増えて当然だとわかってはいても、ないほうがよかったなあと思ってしまうのは事実だ。ほかのシミもたくさんあるけれど、これがもし消えたら、化粧が少し楽しくなるだろうなと思った。
こんなドキドキは久しぶりだった。
施術当日
予約当日、施術前に化粧を落とすのはめんどうだし、と思い、完全なスッピンで目的地に向かった。クリニックのある場所は、以前仕事でよく行っていたところだったので、多少土地勘があった。クリニックの近くの喫茶店に入り、ふと思いついて「ビフォア」写真を撮る。無加工・高画質で自分のスッピンを見る機会はあまりなかったので、なんだか新鮮だ。わたしは顔にほくろが多いタイプなので、同じようなものかと思いあまり気にして見ていなかったが、そこかしこにシミらしきものがある。これが、レーザーを当てると消える、もしくは薄くなる…らしい。まだあまり信用していなかった。
予約時間が近づいてきたので、いよいよクリニックへ向かう。駅から徒歩5分ほど、大きい道路に面したマンションの１階。扉はガラス張りで、佇まいはシンプルな印象だ。思っていたより怪しくない。
扉を開けるとすぐに受付と待合スペースがあった。白いソファには女性が二人座っている。おそらくわたしと同い年か、少し上くらいの年齢に見えて、安心した。韓国vlogで見るような爆美女だらけだったらどうしようと、ちょっと心配していたのだ。
受付の女性に名前を告げると、番号札を渡され、予約内容の確認をして先にお会計。システマチックだ。つぎに、鏡と洗面台が並ぶパウダールームで洗顔。そこには、施術が終わった人もいて、背の高い細身の男性が頬に薬のようなものを塗っていた。受付に戻り10分ほどして、番号で呼び出しがあった。まずは医師による診察だ。
診察室に入ると、いきなり紙を２枚渡され、早口で説明がなされた。これから行う施術の説明と、術後の過ごし方、今後おすすめの施術など。この、紙に全部最初から書いてくれるパターン、少々冷たいと感じる人もいるのかもしれないが、わたしにとってはとてもありがたい。だいたいの医療機関でされる口頭の説明、わたしはあれがまったく頭に入ってこないタイプなので。紙に目をやっている間に、医師がわたしの顔をチェック。「ここと、ここがシミですね」と確認し、大きなものや濃いものを指してひとつずつ「これは、取りたいですか？」と聞いてくれた。取れるものなのかどうかよくわからなかったので、とりあえず全部「はい」と答えておいた。
診察が終わると、そのまま隣の部屋に案内され、施術へ。指示されるままにベッドに横になると、両目に水泳のゴーグルのような銀色のカップが被された。ウルトラマンみたいだ。（自分では見えていないので、ウルトラマンみたい、というのは予想だ）ほんのちょっとだけ、「これからレーザーあてまーす」みたいな写真を撮れるかな、と思っていたのだが、そんな余裕はなかった。美容課金動画の人たちは、この雰囲気で「ちょっと待ってください！ 動画撮るんで！ この角度で！」とかやっているのだろうか。すごい。
今回はシミ取りレーザーが目的だが、セットで美顔レーザーなるものもできるとのことだったので、それもお願いしてあった。まずはそちらから施術が始まった。
ピッピッという機械音とともに、顔に何か光る機械が当てられ、ふさがれている目でも強い光を感じる。痛みはない。光エステ脱毛をやったことがあるが、似たような感じだ。はぇ～と思っている間に終わった。続いてシミ取りレーザー。目を閉じたままなので、機械の違いはわからない。想像では、はんだごてのようなもので肌を焼かれている感じ。こちらは、肌に当たるごとに少しピリッとする。先ほど医師と話したシミの部分を念入りに焼いている雰囲気を感じた。気になっていた口角横にもレーザーが当てられた。いいぞ、焼け、焼き尽くせ！
２種類のレーザーを合わせて10分くらいで終わったと思う。先ほどのパウダールームへ行き、ステロイド剤を塗り、「術後」写真を撮る。顔全体がお酒に酔った時のように赤くなり、レーザーが当たったシミの部分は、もとのシミよりもかなり濃い茶色になっている。当日だけは化粧ＮＧ、シャワーOK、だいたい２週間くらいで赤みなどは落ち着くらしい。久しぶりに大きめのマスクをして外に出た。
施術２日後
医師に教わったとおり、朝晩にステロイドを塗り、処方されたトラネキサム酸をがぶ飲みし、日焼けを徹底的に避けている。当日に出ていた赤みは少し引いて、シミの部分はより黒く、小さなかさぶたのようになっている。顔中に黒い点があるようでやはり目立つので、化粧がちょっと大変。コンシーラーを塗るのに失敗して、化粧を最初からやり直し。
数日後には会社の後輩の結婚式に出席することになっているので、化粧を工夫しなければならないなあと思う。普通はそういう日の近くを避けて施術を受けるのだろう。わたしの計画性のなさが表れている。
施術５日後
後輩の結婚式の日。朝晩のステロイドをめちゃくちゃ厚めに塗っていたおかげか、想定より早くシミ部分の色が薄くなってきた。よかった。コンシーラーも普段通りで大丈夫そう。もともとあったシミたちが消えているかどうかは、まだちょっとわからない。
施術14日後
ステロイドは時々塗り忘れていたが、施術当日にもらった薬は使い切った。今の状態が結果、といっていいだろうと思ったので、「アフター」写真を撮り、当日クリニックに行く前に撮った「ビフォア」と、施術後の写真を並べて比べてみる。赤みは完全にひいて元通りに。シミは、明らかに減った！ 目の横にあった大きなシミが消失し、頬の小さいシミたちも薄くなっている。いちばん気になっていた口角横のシミも、日本列島くらいあったのが北海道くらいの大きさになった。顔全体の明るさが、1段階アップした気がする。思った以上の効果でびっくりした。うれしくてTwitterにビフォアフ画像をアップしたが、怪しい業者の㏚ツイートみたいになったのですぐ消した。
施術20日後
経過は良好。気になっていたシミが薄くなって、これはとてもいい誕生日プレゼントになったな、と思う。モノを手に入れるのではなく、こびりついたシミを手放す。何もかもため込みがちなわたしが行った、久しぶりの断捨離である。
とはいっても、30代のシミが少し薄くなったなんて、自己満足にすぎないことで、他人から見たら何も変わらないだろうと思っていた。現に、顔じゅうかさぶただらけだった日も夫は何も言わなかったし（こどもは気づいた）、化粧するときにちょっとテンションがあがればそれで大満足だよ、と思っていたのだが、なんと気づいてくれた人がいた。
この日は、近くの街のお祭りで夫がＤＪをしたので、こどもと2人で見に行った。その帰りに、来てくれた夫の妹さん（妹だが年上なのだ、呼び方が難しい）たち家族と夕食を食べに行ったのだが、その席で妹さんから「今日、すごく肌きれいだね！ どこのお粉使ってるの？」と聞かれたのだ。
化粧はいつもどおりだったので、これはシミ取りの効果に違いないと思って、「実は…」と、ことの顛末を話した。妹さんはその場でわたしが行ったクリニックの予約ページをチェックしていたが、実はその話にいちばん食いついていたのは夫だった。夫はわたしよりだいぶ年上なのだが、最近シミに悩んでいるらしい。もともと色白で肌がきれいなのでよけい目立ってしまい、気になっていたようだ。
50才男性のシミ取りレポ。こっちのほうがおもしろそうだ。
友達紹介でもらうクーポンで、わたしもまた行こうと思う。
そして…(完全版追記)
ここまでが、36歳の誕生日祝いにシミ取りレーザーを受けた顛末を記したものだ。
施術から約1か月後、「文学フリマ東京」で冊子にして頒布したこの文章は、なぜかブースを通り過ぎる人を皆笑顔にし、ありがたいことにたくさんの人に読んでもらえた。
その後どうですか、このクリニックはどこなんですかという質問を受けることもあったので、
完全版のおまけとしてここから先を書こうと思う。
施術その後
この文章を書いている2024年6月、施術から半年以上が経った。シミ取りをしたクリニックには、その後2か月にわたって美肌レーザーを受けに通ったが、その後は人気が出たのか、まったく予約が取れなくなってしまって行けていない。本当は、3か月後にもう一度シミ取りレーザーを受けたかったのだけど。そんなわけで、夫のシミ取りも延ばし延ばしになっている。
義理の妹さんに肌を褒められたあとも、久しぶりに会った友達などに「なんか光ってない！？」と言われたり、若返ったと言われたり、とてもうれしい指摘が続いた。
シミ取りレーザーによってシミが薄くなったことももちろんあるだろうけど、施術後毎日飲んでいるトラネキサム酸がよいのでは、という気がしている。肌荒れしにくくなり、新たなシミができなくなった。今までいろいろな化粧水や美容液を試したのはなんだったのか。医療ってすごい。
シミ取りレーザー、というか、美容医療を初めて体験して、今まで怖がっていたのはなぜだったんだろうと、少し拍子抜けした。美容医療に依存するようになるかも！？などと思っていたが、今のところは「また予約取れたら行こ～」くらいのテンションでしかない。むしろ、1回でこんなにうれしいことが起きるならもっと積極的に行くべきかもしれない。
37歳の誕生日まであと3か月ほどだ。いよいよ40歳が近づいてきた。
老いに対する逃げではなく、新しいことを楽しむ姿勢で、華の40代を迎えたいと思う。
おまけ クリニック情報 ※2024年6月現在
わたしがシミ取りレーザーの施術を受けたのは、東京都練馬区にある※※※さんだ。(気になる方は物理本もしくはじぇっきゃまで)
明朗会計、手早い施術でコスパがよい印象だった。説明も簡潔でわたしの好みだった。
前述したように、現在まったくといっていいほど予約が取れないので、空いていたらラッキー。
丁寧な説明やアフターフォローを求める人はもう少し大きなクリニックに行ったほうがいいかもしれない。
じぇっきゃのテキスト情報
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今後のイベント参加予定
サークル名は「華道部OGの会」もしくは「窓辺’87」です。
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12/1 文学フリマ東京39
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