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人生に関するメモ(9) 【香り・味】

本メモは人生の基礎的な内容に関するメモです。


1. 香り 28項目

1-1. 匂い
…快な香り


1-2. 臭い
…不快な香り


1-3. 2つの目・耳・鼻の穴
…視覚・聴覚・嗅覚が立体的である必要があるため、自分と相手の距離を測るため
→視覚・聴覚は物理的な感覚、小さい頃から教育を受ける
→嗅覚・味覚は化学的な感覚、家庭的・個人的な経験で学ぶ
→霊長類は哺乳類の中で唯一色覚を獲得した、化学的な感覚に頼る必要がなくなった


1-4. 嗅覚の神経ルートは 2 つ
❶視床で中継されて大脳新皮質で処理される
❷大脳辺縁系に直接伝えて処理される、記憶・学習・感情を司る
→香りに対して無意識に身体中が処理・反応をする
→8種類の嗅覚のレセプター、腐ったにおい・酸っぱいにおい・汗のにおい・木のにおい・甘いにおい・オレンジのにおい・チーズのにおい・バラのにおい
→人間は1兆種類以上のにおいを検知できる、数100万種類の色を検知できる、50万種類の音を検知できる


1-5. 香り成分が鼻に吸い込まれる
…鼻の奥の上にある嗅上皮につく、ボーマン腺から粘液が分泌されていて香り成分が粘液に溶ける
→嗅覚のレセプターがたくさん並ぶ嗅小毛に粘液が到達する


1-6. 香りのセンサーは細胞に埋め込まれている
…各細胞は役割分担している、水を使った化学反応による信号で複雑な身体の動きを行う
→細胞膜で隔離されていると信号は通過できない、信号は化学物質

→レセプター、タンパク質、嗅覚のレセプターはGタンパク質、
α・γ・β の3 ユニットからなる、αにはグアノシン2リン酸がついている
→香り成分がレセプターと繋がるとグアノシン2リン酸が外れてグアノシン3リン酸が繋がる
→α はγ・β から外れてアデニル酸シクラーゼという酵素に繋がる、
アデニル酸シクラーゼは活性化されて働くようになる
→細胞膜が陽イオンチャネルを開いてカルシウムイオンを細胞内に流れ込ませる、細胞内の電極はプラスになる、細胞膜が塩素チャネルを開いてさらにプラスになる
→細胞膜の活動電位が高くなり電気信号が神経を伝わって香りを感じたという情報を脳に伝える


1-7. プルースト効果
…特定の匂いをかぐとその匂いに関係する記憶・感情が蘇る

→においは大脳新皮質を経由しないで海馬・扁桃体に直接伝わる、記憶・感情を支配する場所
→化合物の香りと概念が結びつく


1-8. 古代から香りの考えは存在する
…香りは宗教・儀式と密接に関係していた、香りで神聖な気持ちにさせてくれる
→エジプトではミイラの防腐剤、メソポタミアでは楔形文字で香りの記述がある、日本では古事記に香りの記述がある


1-9. 現代人の嗅覚・味覚は退化している
…クリーンにしようとするから、歴史的に視覚が優先されるせいもある、使ってない
→想像力を使って取り戻す


1-10. 香り・味・見える絵が変化していくアート
…1つの香り・味・見える絵を楽しむ
→別の部屋では別の味・香り・見え方になるという
→さらに別の部屋では別の味・香り・見え方になる
→味・香りは見えないので解像度が低い、意識しないと言葉に出てこない、それぞれの部屋で感じたことをストーリとして言葉にしよう


1-11. 味・香り・見え方は経験や記憶で変わる
…感じたことをそのまま言葉にしていくのがいい
→解像度が上がる
→空間と服・自分が親和していく世界


1-12. 植物から香りを取り出す
…圧搾法、潰して絞ると香りの強い液体が取れる、香り成分は油に溶ける成分・水に溶ける成分、
油に溶ける成分がほとんど、エッセンシャルオイル
→蒸留、複数の化合物が混じった状態から純粋な化合物を分離すること、お酒の製造から始まる
→植物に蒸留装置を使うと植物が燃えて香りの成分も分解する
→水蒸気蒸留法、水を沸騰させて水蒸気を発生させ植物が蒸される、酢酸リナリル、蒸された植物から香り成分の分子が気化する、気化された香り成分の分子を冷やして液体にする

→ドルトンの分圧の法則、混ざった気体の圧力はその成分気体の圧力の合計
2つの成分気体の分子が混ざっても独立な分子のように振る舞えば成り立つ
→蒸気の温度が 99.6℃、気体になろうとする酢酸リナリルの蒸気圧は 12mmHg、水の蒸気圧は 748mmHg、合計すると大気圧の 760mmHg、300℃で気体になる成分を 99.6℃で気体にできる、ローズオットー、エレガントでスッキリ
→熱に弱い香りは分解してしまう

→有機溶媒抽出法、石油エーテル・アセトン・酢酸エチル・ヘキサン、
有機溶媒に浸すと香り成分が溶け出す、サイフォンでその有機溶媒がフラスコに落ちる、有機溶媒は蒸発して香り成分だけがフラスコに残る、ローズアブソリュート、甘さが強く濃厚
→超臨界流体抽出法、二酸化炭素、液体とも気体とも異なる性質を持つ状態にする、モノをよく溶かす、溶かした後で温度・圧力を下げると超臨界流体は気体となり溶媒が残らない
→植物の部位によって抽出できる香りが変わる、
花・果実・豆・全草・葉・種子・根・根茎・樹幹・樹皮・樹脂


1-13. 動物から香りを取り出す
…4種類しかいない、マッコウクジラ・ジャコウジカ・ビーバー・ジャコウネコ、餌が消化できず石になったもの、分泌腺
→化学合成された代替成分が使われる、香水のために命を奪うのはどうか?


香りを表現する

…嗅覚は共通の認識基準を明確に設定することが難しい

1-14. フレグランスホイール
…色相環(カラーホイール)に香りを当てはめる
→これで話す人は相性の話がしたい、ファッションなどの話につながる

・ソフトオリエンタル
…温かみのある刺激的な香り
→カーネーション、コショウ

オリエンタル
…温かみのある甘い香り
→ムスク、バニラ、シナモン
→官能的でミステリアス


・ウッディオリエンタル
…木の甘さ・苦さにスパイスを加えた刺激的な香り

ウッディ
…木・森の甘さ・苦さが混じった香り
→スギ、白檀
→洗練されて大人っぽい


・モッシーウッディ
…日陰の苔・土のような落ち着きのある苦い香り

・ドライウッディ
…革・木から出る煙のような苦い香り

・アロマティック
…ハーブの爽やかな香り
→ローズマリー、バジル

・シトラス
…柑橘系のみずみずしくて爽やかな香り
→レモン、ミカン
→フレッシュで明るい


・ウォーター
…海・雨の湿った空気のような金属的な香り

・グリーン
…草・葉の爽やかな香り

・フルーティ
…果実のみずみずしくて甘い香り、
→ブドウ、モモ、リンゴ
→キュートで可愛らしい

・フローラル
…花の甘い香り
→バラ、ジャスミン
→柔らかく清潔感がある

・ソフトフローラル
…落ち着いた甘い香り、ムスクの香りも含む

・フローラルオリエンタル
…滑らかな甘い香り、お香のような宗教的雰囲気も醸し出す
→オレンジ


1-15. フレグランスカテゴリー
…香りをカテゴリー分けしたもの
→これで話す人はどんな香りかという特性の話がしたい、香り成分の話につながる

・アニマリック
…動物由来の温かみのある甘い香り、フローラルと同じ香りがする

・ムスキー
…重厚で温かみのある動物的な香り

・パウダリー
…軽くて粉っぽいような甘い香り

・レザー
…革製品にある木から出る煙のような動物的な香り

・アンバー
…重厚で落ち着き・温かみがある苦い香り

・スパイシー
…香辛料のような刺激的な香り

・ウッディ
…木・森の甘くて苦い香り

・モッシー
…森の中の苔のような落ち着きのある苦い香り

・アーシー
…土・泥のような深く落ち着きのある苦い香り

・ハーバル
…ハーブ全体の薬草の爽やかな香り

・アロマティック
…ハーブのような爽やかな香り

・ミンティ
…ミントの爽やかな香り

・シトラス
…柑橘系の爽やかな香り

・マリン
…海のような生臭さ・青臭さのある金属的な爽やかな香り

・グリーン
…草・葉のフレッシュで透明感のある爽やかな香り

・フルーティ
…果実の甘い香り

・フローラル
…花の甘い香り

・ハニー
…ハチミツのような甘い香り

・スイート
…甘ったるい香り

・アニス
…漢方薬のような匂いを含む甘い香り

・バルサミック
…重厚で温かみがある甘い香り


香り成分

1-16. 香り成分の分子
…分子量は30〜300、常温・常圧で液体、香水に使われる香り成分の分子量は150〜200
→分子量が小さいと嗅覚のレセプターとのつながりが弱いため香りを感じる時間が短い、分子量が大きいと香りを感じる時間が長い
→分子の構造と香りには関係がある、なぜかはわからない
❶芳香族化合物、ベンゼン環を分子内に持つ、分子量が 300 以下の分子はだいたい甘い香りを持つ
❷脂肪族化合物、ベンゼン環を分子内に持たない、脂っぽい香りを持つ、加齢臭の原因の 1 つ
→炭素原子の数が小さい分子の香りは強いが早くなくなる、
炭素原子の数が大きい分子の香りは弱いが長く続く
→炭素原子の数と嗅覚レセプターの関係が重要である可能性


1-17. 不斉炭素原子
…4種類の異なる原子・原子団がつながっている炭素原子


1-18. 官能基
❶ヒドロキシ基
…フローラルな香りを持つ、ミントの香りも、刺激臭になることもある

❷アルデヒド基
…❶が酸化したもの、香りが刺激的になる
→脂肪族化合物と繋がるとオレンジのような香りになる

❸カルボキシ基
…❷が酸化したもの、酸の匂いがする、腐敗臭・汗臭
→ゲラニアールはカルボキシ基を持つもののさらに酸化されるとゲラン酸となりグリーン・ウッディな香りを持つ

❹エステル基
…❶がカルボン酸と脱水縮合してできる、フルーティな香りを持つ、
甘い刺激臭も持つ

❺ラクトン基
…❹が環の中にある、ピーチ・アプリコットのような香りになる

❻ケトン基
…甘くフルーティな香りを持つ、糖尿病患者の尿に多く含まれる、リンゴのような香りになる

❼エーテル基
…麻酔性があって香りに用いられることはない
→同じ官能基があっても幾何構造異性体・位置異性体・光学異性体によって香りの質は異なる


1-19. フェヒナーの法則
…香りの刺激量と人間が感じる香りの強さの関係式、a logI+b
→刺激量Iがある値になるまで急激に感じる香りの強さは大きくなる、
ある値になると感じる香りの強さは変わらなくなる
→低濃度・高濃度で香りの質が異なる、香りの個性
❶ジメチルサルファイド、低濃度ではミルク・ストロベリージャムの香り、高濃度では磯の香り
❷インドール、低濃度ではジャスミンの香り、高濃度ではウンコの香り
❸デカナール、低濃度ではオレンジの香り、高濃度では油臭い香り
❹アルデヒド C-11、低濃度ではバラの香り、高濃度では脂肪臭の香り
❺α-イオノン、低濃度ではスミレの香り、高濃度では木の香り
❻γ-ノナラクトン、低濃度ではフローラル・ムスクの香り、高濃度ではココナッツの香り


1-20. アニマリック系の香り成分

・インドール
…薄めるとジャスミンのようなフローラルさを感じるアニマリック系の香り、植物由来
→窒素原子を含む、6員環と5員環が縮合している

・ムスコン
…アニマリック系の代表的な香り成分、ジャコウジカに含まれる
→分子内に1つの不斉炭素原子があるため 2 個の異性体が存在、15員環を持ちその中に1つのケトン基を持つ

・アンブロキシド
…甘みがありウッディさを感じるアニマリック系の香り、マッコウクジラに含まれる
→3つの環が縮合したものでその中に1つのエーテル基を持つ、分子内に4つの不斉炭素原子があるため16個の異性体が存在

・シベトン
…薄めると甘く透明感を感じるアニマリック系の香り、ビーバーに含まれる
→17員環を持ちその中に 1 つの二重結合・1 つのケトン基を持つ

・スカトール
…薄めるとジャスミンのようなフローラルさを感じるアニマリック系の香り、ジャコウネコに含まれる、お茶の風味に貢献


1-21. スパイシー系の香り成分

・β-ミルセン
…コショウの雰囲気を含むマツのようなスパイシー系の香り、
香りが強く少量でも全体の香りに貢献

・テルピネン-4-オール
…ウッディさ・アーシーさ・ミンティさ・フローラルさ・シトラスさを感じるスパイシー系の香り、スーパーマン
→分子内に 1 つの不斉炭素原子があるため2個の異性体が存在

・アンエリカ酸イソブチル
…ハーバルさ・グリーンさ・ウッディさを感じるスパイシー系の香り
→アンエリカ酸とイソブチルが脱水縮合して得られるエステル基


1-22. ウッディ系の香り成分

・β-カリオフィレン
…スパイシーで甘みのあるウッディ系の香り
→9個の炭素原子からなる環・4個の炭素原子からなる環が2つ、8個の異性体が存在

・ゲルマクレン D
…スパイシーさを感じるウッディ系の香り、
分子内に 1 つの不斉炭素原子・2 つの二重結合があるため 8 つの異性体が存在

・α-サンタロール
…サンダルウッドのようなウッディ系の香り
→架橋構造と鎖状構造を持つ、分子内に4つの不斉炭素原子・1つの二重結合があるため32個の異性体が存在

・サビネン
…シトラスさを感じるウッディ系の香り
→分子内に2つの不斉炭素原子があるため4個の異性体が存在


1-23. ハーバル系の香り成分

・α-ピネン
…ウッディさを感じるハーバル系の香り
→分子内に2つの不斉炭素原子があり 4個の光学異性体が存在
→プラス体はアロマティックなミントの香りを含む、
マイナス体はより鋭く温かみのあるマツのような香り

・ボルネオール
…マツのようなハーバル系の香り
→分子内に2つの不斉炭素原子があるものの架橋構造により4個の光学異性体のみが存在
→プラス体はアーシーさが加わった香り、
マイナス体はウッディさが加わった香り

・カンファー
…ショウノウのようなハーバル系の香り、防腐剤に使われる、
→分子内に2つの不斉炭素原子があるものの架橋構造により4個の光学異性体のみが存在

・1,8-シネオール
…ユーカリのようなハーバル系の香り
→エーテル基と架橋構造が香りに貢献


1-24. ミンティ系の香り成分

・メントール
…ミンティ系の代表的な香り成分、清涼感とリラックス感がある
→シクロヘキサン環にヒドロキシ基・イソプロピル基・メチル基がつながっている、分子内に3つの不斉炭素原子があるものの架橋構造により8個の光学異性体のみが存在

・メントン
…ショウノウを感じるミンティ系の香り
→メントールのヒドロキシ基がカルボニル基に置き換わったもの、分子内に2つの不斉炭素原子があるものの架橋構造により4個の光学異性体のみが存在

・酢酸メンチル
…フルーティさ・フローラルさを感じるミンティ系の香り
→メントールと酢酸を脱水縮合して得られるエステル基


1-25. シトラス系の香り成分

・リモネン
…シトラス系の代表的な香り成分
→炭素原子・水素原子からなる炭化水素、二重結合が香りに貢献している、分子内に1つの不斉炭素原子があり2個の光学異性体が存在
→ほとんどがプラス体、マイナス体はハーブの香りも感じる

・ゲラ二アール・ネラール
…シトラールと呼ばれる幾何異性体の関係、ネラールは少し甘みを感じるシトラス系の香り

・γ-テルピネン
…ハーブの感じがするシトラス系の香り
→炭素原子・水素原子からなる炭化水素、二重結合が香りに貢献している、二重結合の位置の違いで α・β の位置異性体が存在
→α-テルピネンはウッディな香りも感じる

・p-シメン
…ウッディな香りの中にシトラス系の香りが混ざる
→ベンゼン環にメチル基・イソプロピル基が繋がっている、置換基のつき方の違いで o・m の位置異性体が存在


1-26. フルーティ系の香り成分
・酢酸エチル
…グリーンさを感じるパインアップルのようなフルーティ系の香り
→エチルアルコールと酢酸を脱水縮合して得られる、エーテルのような香りが鼻につく、日本酒・ワインに含まれる

・酢酸ブチル
…バナナのようなフルーティ系の香り
→ブチルアルコールと酢酸の反応で得られる

・酢酸イソアミル
…甘く新鮮なバナナのようなフルーティ系の香り、薄めるとナシのようなフルーティ系の香り

・酪酸エチル
…フルーツジュースのようなフルーティ系の香り

・ベンズアルデヒド
…アーモンド・サクランボのような強く甘いフルーティ系の香り
→ベンゼン環とアルデヒド基を持つ

・ラズベリーケトン
…フローラルさを感じる熟したラズベリーのようなフルーティ系の香り
→ヒドロキシ基・ケトン基・フェニル基を持つ

・γ-デカラクトン
…クリーミーな甘さを感じるモモ・ココナッツのようなフルーティ系の香り→5員環のラクトン・6個の炭素原子からなる炭素原子鎖を持つ


1-27. フローラル系の香り成分

・リナロール
…フローラル系の代表的な香り成分
→1つのヒドロキシ基・2 つの二重結合を持つ直鎖状のアルコール、分子内に 1 つの不斉炭素原子があり 2 個の光学異性体が存在

・酢酸リナリル
…ラベンダー・ベルガモットのようなフローラル系の香り
→リナロールのヒドロキシ基と酢酸を脱水縮合して得たエステル基

・酢酸ベンジル
…ジャスミンのようなフローラル系の香り
→アルコールと酢酸を脱水縮合して得られるエステル基、イチゴ・リンゴにも含まれる

・ゲラニオール・ネロール
…幾何異性体の関係、ゲラニオールはシトラスの香りも持つ、ネロールは甘いバラの香り

・シトロネロール
…バラのようなフローラル系の香り、少し脂っぽさも感じる
→分子内に1つの不斉炭素原子があり2個の光学異性体が存在

・2-フェニルエタノール
…バラの香りの重要な成分、アブソリュートには 70%含まれる
→ベンゼン環・ヒドロキシ基が香りに貢献

・酢酸ラバンジュリル
…ラベンダー・ベルガモットのようなフローラル系の香り
→ラバンジュロールと酢酸が脱水縮合してできたエステル基

・オイゲノール
…甘くスパイシーなカーネーションのようなフローラル系の香り
→ヒドロキシ基・エーテル基・フェニル基・二重結合を持つ

・E,E-ファルネソール
…スズランのような甘くてワックスを思わせるようなフローラル系の香り
→2つの二重結合に対してトランス体の幾何異性体、ヒドロキシ基・二重結合が香りに貢献

・α-ビザボロール
…クリーンでコショウの雰囲気を持つフローラル系の香り
→ヒドロキシ基・二重結合・シクロヘキセン環が香りに貢献、分子内に2つの不斉炭素原子があり4個の光学異性体が存在

・ベンジルアルコール
…ヒヤシンスのようなフローラル系の香り、最初につんとくるプラスチックのような雰囲気を含む
→ベンゼン環に直接ヒドロキシ基が繋がった分子

・フィトール
…バルサミックで粉っぽさ・脂っぽさも感じるフローラル系の香り、ジャスミンに多く含まれる
→分子内に2つの不斉炭素原子・1つの二重結合があるため8個の異性体が存在


1-28. バルサミック系の香り成分

・安息香酸ベンジル
…重厚で甘いジャスミンのようなバルサミック系の香り、ハーブの雰囲気も感じる
→安息香酸とベンジルアルコールが脱水縮合してできたエステル基

・バニリン
…クリーミーで甘いバニラのようなバルサミック系の香り
→ヒドロキシ基・アルデヒド基・エーテル基・フェニル基を持つ

・クマリン
…桜の葉のようなバルサミック系の香り

・ケイヒ酸
…甘いバルサミック系の香り
→ベンゼン環の外にある二重結合に幾何異性体が存在


2. 味 27項目

2-1. 食べ物・飲み物
…嗅覚・味覚の情報が快楽中枢を刺激してドーパミンを放出させることで快感を生じさせ、それを報酬とする条件付けが成立


2-2. 嗜好品
…脳の神経細胞に作用して快楽中枢を直接刺激してドーパミンを放出させることで快感を生じさせ、それを報酬とする条件付けが成立
→カフェイン・ニコチン・エタノール、トランス状態と依存性


2-3. 好き・嫌いと良い・悪いを混同させない
…主観的な嗜好と客観的な評価
→客観的評価を優先すべき、客観的評価は人それぞれではない、主観的な嗜好は人それぞれ
→いいものが好かれるとは限らない、悪いものはほぼ嫌われる


2-4. 飲み物の働き
❶喉の渇きを癒す
❷味・香り・爽快感を楽しむ
❸口の中を流す・洗う・冷ます
❹水分を補って食べやすくする
❺身体を温める
❻酔う
❼栄養食品として飲む
❽料理の一品として飲む


2-5. 鼻先香
…鼻の穴から吸い込む空気から感じるにおい、オルソネーザルアロマ


2-6. 口中香
…口から鼻の奥を通って流れる空気から感じるにおい、レトロネーザルアロマ
→余韻の正体、口中香の成分を分析すれば余韻の違いがわかる
→鼻が詰まると口中香を感じなくなるため味がしない、口中香を味として捉える能力はイヌより人間の方が発達している可能性


2-7. 甘味
…ショ糖の味、ブドウ糖・果糖に分かれる
→温度が高いと強く感じる、温度が低いと弱く感じる

→甘口は甘く感じる、辛口は甘く感じない
→糖分の種類で甘味の感じ方は変わる、ブドウ糖が多いと甘口、ブドウ糖が少ないと辛口
→酸味とのバランスで甘味の感じ方が変わる、甘味−酸味が大きいと甘口、甘味−酸味が小さいと辛口


2-8. 酸味
…水素イオンの味
→温度が高いと強く感じる、温度が低いと弱く感じる

→酸味は消えるスピードが速くなる、他の成分が消えるのも速める、唾液分泌を促される
→酸味が少ないとさっぱり感じて甘口、酸味が多いと濃く感じて辛口
→すっぱいは酸味が強すぎて不快な状態


2-9. 苦味
…無機イオン・アルカロイドの味、カフェインは苦味の20%くらい
→温度が高いと弱く感じる、温度が低いと強く感じる

→分子量が小さくて親水性が高いと速く消える、すっきりした苦味


2-10. 塩味
…ナトリウムイオン・塩素イオンの味
→温度が高いと弱く感じる、温度が低いと強く感じる


2-11. 旨味
…グルタミン酸ナトリウムの味


2-12. 肉・海産物・野菜の味
…アミノ酸の味、組み合わせ・量で変わる

→食材によって合うお酒は決まっていない、調理法によってどのお酒にも合わせることができる
→重要なのは5つの味がバランスよく揃うこと


2-13. 大人の味
…辛味・渋味・アルコールの味、嗜好品にとって大事な味わい
→苦味を含めてこの辺りに食を楽しむことの幅を持たせられる、あそびの部分、害となる刺激をいかに適度に楽しめるか、文化の領域


2-14. 辛味
…痛み、舌・口の中のバニロイドレセプターが刺激されて感じる

❶清涼感があって鼻・舌にツンとくる辛味、ワサビ・カラシ・ダイコン
❷熱さに似て血流が良くなる辛味、トウガラシ・コショウ
❸清涼感があって血流が良くなる辛味、ショウガ・サンショウ


2-15. 渋味
…ポリフェノールの味、舌の上のタンパク質と繋がって味覚刺激・口腔粘膜刺激が合わさって認識される
→温度が高いと弱く感じる、温度が低いと強く感じる
→渋味は消えるスピードが遅くなる、他の成分が消えるのも遅める


2-16. お酒の味
…アルコールの味、甘味・苦味・口腔粘膜刺激が合わさって認識される、カプサイシンレセプターも応答する

→甘味・苦味・辛味、カプサイシンレセプターを介して認識されるため渋味とは異なるメカニズム
→辛味の口腔粘膜刺激がポイント、味わいとは口腔粘膜刺激の強弱・硬軟、
エタノール濃度が高いほど口腔粘膜刺激は強い
→アルコール度が低いと甘口、アルコール度が高いと辛口


2-17. 口当たり
…口の中で成分が消える時に消えるスピードによって感じる粘性

→口当たりが軽い、消えるスピードが速く粘性を感じにくい
→口当たりが重い、消えるスピードが遅く粘性を感じやすい


2-18. 喉越し
…喉への粘膜刺激

→口腔内にはない神経が刺激される、脳に信号が送られることで清涼感・爽快感が伝わる、喉の渇きが癒やされる感覚
→喉越しがいい、喉仏の上下が速い・筋肉の動きが小さい・飲み込む音の周期が短い、次の 1 杯も同じように美味しく感じる
→ホップ由来の成分の利尿作用、胃からの輸送速度が速いと排泄も速いためたくさん飲める


2-19. まろやか
…口腔粘膜刺激が快い

→エタノール濃度が重要である可能性、40%で最も安定している、身体も骨肉などが40%
→水から考える、水素結合、プラスの水素電子とマイナスの酸素原子と引きつけ合う、蒸発熱・凝固熱が最大、水は液体のまま温度変化に対して安定な状態を維持しやすい

→エタノールは親水性・疎水性のどちらも持っている、
親水性とは水に対してイオン化・分極をする性質、
疎水性とは水に対してイオン化・分極をしない性質
→エタノール分子と水分子の伸縮振動を光の照射で観測、ラマンスペクトル
→どのように濃度を変えてもエタノール分子と水分子が結合した状態はない、エタノール分子同士の結合・水分子同士の結合の 2 状態しか存在しない、結合したとしても寿命は分子間振動周期より短い

→水和シェル、エタノールに水を加えると疎水性のエチル基同士が繋がって安定化、エタノール分子同士は水素結合でさらに強化される、水分子はその周りを囲む
→水和シェルによってエタノールの粘膜刺激に影響を及ぼして辛さ・まろやかさのバランスが多様に変化する


2-20. キレ
…不快に感じる寸前の苦味があってそれが速く消えることで感じる爽やかさ
→苦味というストレスが一気にかかって解放される爽やかさ

→シュナイディッヒカイト、schneidigkeit


2-21. コク
…アミノ酸・糖・油のうまみの豊富さから感じる本能的なおいしさ
→味・香りの濃さ・強さ・広がり・まろやかさ・飲みごたえ
→味わううちに香り・食感から連想してコクを感じる

→フォルムンディッヒカイト、vollmundigkei


2-22. 醸造酒
…穀物・果物の糖質を酵母でアルコールに変えてその液体の部分を取り出してできたお酒

→ビール、ワイン、日本酒
→頭痛・二日酔いになりやすい、ヒスタミンに敏感な体質だと急激に血管が拡がる


2-23. 蒸留酒
…醸造酒を加熱してアルコール・香りを蒸発させてその気体を冷やして液体に戻してできたお酒
→ウィスキー、ブランデー、焼酎

→濃縮されているためアルコール濃度は高い
→頭痛・二日酔いになりにくい


2-24. 発酵
…微生物の酵素によって成分が変化して人間に有益な成分ができること

・単発酵
…最初から酵母を加えて行う発酵、酵母が摂取できる糖分がすでに原料に含まれている
→ワイン、原料を圧搾

・単行複発酵
…原料のデンプンを糖分に変えてから酵母を加えて行う発酵
→ウィスキー・ビール、原料を粉砕して温水に入れる
→ウィスキーの酵母の量はビールに比べてはるかに多い、1〜2 日でアルコールの生成を終える

・併行複発酵
…原料のデンプンをカビが糖分に変えてからカビと共存する酵母が行う発酵
→日本酒、原料を蒸す、麹菌というカビ


2-25. 酵母
…発酵に役立つ微生物
→メソポタミア時代からビール・パン・ワインで人の役に立ってきた、通常は花の蜜を食べている
→サッカロミセス・セレビシエ、アルコール発酵で用いられる
→パスツール、微生物は自然発生した生物ではない、科学の対象、
大気を含んだ物質循環の中で土壌微生物の果たす役割は大きい
→酵母は酸素があってもなくても生きていける

・上面発酵酵母
…発酵終了時に発酵液の上に浮かんでいる酵母
→エールビール、23℃で醸造して低温貯蔵しない
→酵母が上にいる方が酵母を蒸留器に移動させやすい、蒸留でも酵母の成分が必要

・下面発酵酵母
…発酵終了時に発酵液の下に沈んでいる酵母
→ラガービール、10℃で醸造して低温貯蔵


2-26. 乳酸菌
…糖の50%以上を乳酸に変える微生物

→チーズや漬物で人の役に立ってきた
→酵母と乳酸菌の相性はいい、日本酒・味噌・醤油
→マロラクティック発酵、アルコール発酵が終わった後に
酸味の強いリンゴ酸を酸味の弱い乳酸に変換する発酵


2-27. パスツール効果
…酸素があるかないかで酵母の糖代謝が変わる、
酸素がある場合は糖分を水・二酸化炭素に変換してエネルギーを得る(呼吸)、酸素がない場合は糖分をエタノールに変換(発酵)
→ブフナー、酵母の中の酵素群が糖分をエタノールに変換している、
酵母をつぶして糖分に加えてもエタノールまで変換された


3. チャ 38項目

3-1. チャ
…カメリア・シネンシス、ツバキの仲間
→起源は中国雲南省の奧、ミャンマー・ラオス・ベトナム・タイの国境の近く、ゴールデントライアングル、さまざまな植物の起源
→日本のチャ、ゲノム解析、中国の限られた地域に生息していたチャが複数の留学僧によって日本中へもたらされた、山茶は茶園から持ち出されて広がったもの
→温暖な気候と降水量が必要、水雨は毛のいい弱酸性の土壌
→緑茶・ウーロン茶・紅茶は同じチャの葉からできている
→作り方で色・味・香りがまったく異なる


3-2. 中国種
…緑茶に使われる
→寒さに強い、カテキンが少なくアミノ酸が多い
→発酵の度合い、緑茶・白茶・黄茶・青茶・紅茶


3-3. アッサム種
…紅茶に使われる
→温暖な気候で育つ、カテキンが多くアミノ酸が少ない


3-4. 茶葉を摘んだ後
…萎凋、茶葉を広げて干す、水分を飛ばして萎れさせる
→揉捻、茶葉を機械・手で揉む
→非発酵茶、蒸気をかけて酸化酵素を殺すと葉の色は緑のままで緑茶になる、旨味の緑茶
→半発酵茶、酸化酵素がカテキンを酸化して途中で止めるとウーロン茶になる、香りのウーロン茶
→発酵茶、カテキンの酸化が終わって茶色に変わると紅茶になる、渋味の紅茶
→後発酵茶、プアール茶
→茶でいう半発酵・発酵には微生物は関わらない


3-5. 玉露
…栽培する際に 20 日以上太陽光を遮って育てた一番茶を丁寧に摘んで作られた茶葉
→芽は太陽光を求めて組織は柔らかくなる、クロロフィルが増えて鮮やかな濃い緑色になる、グルタミン酸が増える、太陽光を浴びるとアミノ酸がカテキンに変化する
→トロリとした旨味・喉の奥から感じる爽やかな香り、
深い旨味・甘味・渋味が調和してまろやかな味が残る

・いれ方
…低温でじっくり旨味を楽しむ
❶沸騰させたお湯を急須・茶碗にいれて温める
❷急須の湯を湯冷ましに入れてまた急須に移し替えるを繰り返し湯温を 50〜60℃
❸急須に茶葉を入れ湯冷ましの湯を注いで蓋をし 2 分蒸らす
❹茶を茶碗に注ぐ、最後に急須を上下に小さく振って 1 滴残らず注ぐ
→2煎目は60℃のお湯で蒸らし時間は1分


3-6. 煎茶
…5月の一番茶を摘んで40秒ほど蒸して作られた茶葉、一番茶
→枝先の芯芽・一芯二葉の部分のみが摘まれる
→渋味・旨味が調和して後味に清涼感がある
→茶殻は青々した緑色で葉の毛羽立ちがなく組織がきれいに残っている

・いれ方
…いれ方で味が変わる奥深さを楽しむ
❶沸騰させたお湯を茶碗にいれて温める
❷急須に茶葉を入れてお湯を注ぎ蓋をして蒸らす、
旨味・甘味を引き出したい時は70℃のお湯で2分、
渋味・苦味を引き出してさっぱり飲みたい時は90℃前後の熱めのお湯で1分
❸茶を茶碗に注ぐ、最後に急須を上下に小さく振って 1 滴残らず注ぐ
→2煎目の蒸らし時間は1分


3-7. 番茶
…6月以降の二番茶以降の葉を使って作られた茶葉
→爽やかなパンチの効いた苦味・渋味・香りを持つ
→夏の強い太陽光を浴びたため芽の伸びは小さいが葉は硬くしっかりしている、茶葉の形も大きい、カテキンが多い

・いれ方
…爽やかな味を楽しむ
❶沸騰させたお湯を茶碗にいれて温める
❷急須に茶葉を入れてお湯を注ぎ蓋をして1〜2分蒸らす、茶葉・お湯はたっぷり使う
❸茶を茶碗に注ぐ、最後に急須を上下に小さく振って1滴残らず注ぐ


3-8. ほうじ茶
…6月以降の二番茶以降の葉を 160〜180℃で5〜10分加熱して作られた茶葉
→カフェイン・カテキンが少ない、カテキンは加熱によって酸化重合して着色物質となったり不溶性成分となったりする
→マイルドなさっぱりした味、アミノ酸と糖分が反応して香ばしい匂いを作る、煮物の汁で

・いれ方
…熱湯でサッと香ばしさを楽しむ
❶沸騰させたお湯を茶碗にいれて温める
❷急須に茶葉を入れてお湯を注ぎ蓋をして30秒蒸らす、
茶葉・お湯はたっぷり使う、熱湯を一気に注ぐ
❸茶を茶碗に注ぐ、最後に急須を上下に小さく振って1滴残らず注ぐ


3-9. 抹茶
…栽培する際に 20 日以上太陽光を遮って育てた一番茶を丁寧に摘んで作られた茶葉、蒸した後に高く舞いあげて水分をとる
→旨味が強く苦味・渋みがない、煎茶と比べてアミノ酸は 2 倍以上、
茶葉を丸ごと飲めるのでビタミンなどの栄養素を無駄なく摂取できる

・いれ方
…スピードが命、粋を楽しむ
❶ふるいにかけた抹茶を茶碗にいれて端からお湯を注ぐ
❷茶筅を垂直に立てて茶碗の底につけて抹茶を潰すように1〜2回「の」の字を書く
❸手首のスナップを利かせて縦に茶筅を動かす
❹抹茶が空気を含んで全体にきめ細かい泡ができたら茶筅でのの字を書いて垂直に引き上げる


3-10. ウーロン茶
…摘んだ茶の水分を飛ばして揉んだ後に高温多湿の部屋にしばらく置いて発酵させ
それを途中で止めて作られた茶葉
→苦味・渋味がなく芳醇な香りを持つ、甘くて清涼感のある旨味を持つ
→葉の周辺が赤銅色で中央部に緑色が残っている

・いれ方
…茶壺を使う独特さを楽しむ
❶茶壺を温める、沸騰させたお湯を器にいれて温める
❷茶壺に茶葉を入れてお湯を注ぎ蓋をして 3 分蒸らす、成分の抽出は緩やか
❸聞香杯にお茶を注いで茶杯をかぶせてこぼさないように持って茶碗の天地をひっくり返して置く
❹聞香杯をゆっくり引き上げてお茶を茶杯に移す、親指を添えて両手で聞香杯を挟むように持ち鼻に近づけて香りを楽しむ
→2煎目の蒸らし時間は1分


3-11. 紅茶
…摘んだ茶の水分を飛ばして揉んだ後に高温多湿の部屋にしばらく置いて発酵させて作られた茶葉
→ファーストフラッシュ、セカンドフラッシュ、オータムナル
→強い渋味を持ち芳醇な香りを伴った爽快感を感じる
→生き生きとした赤銅色で艶がある

・ストレートティーのいれ方
❶沸騰させたお湯をティーポット・カップにいれて温める
❷ティーポットに茶葉を入れてお湯を注ぎ蓋をして蒸らす、旨味を抽出するには時間がかかる、
ジャンピングした茶葉が底に沈んだら茶葉が開いた合図
❸茶こしでこしながらティーカップに注ぐ

・ミルクティーのいれ方
❶ストレートティーをいれる
❷ティーカップに注いだあとスプーン 1 杯の牛乳をいれてかき混ぜる、
生クリーム・コーヒークリームは脂肪分が高すぎて風味を損なう
❸砂糖をお好みで入れる

・アイスティーのいれ方
❶ティーポットに茶葉を入れてお湯を注ぎ蓋をして 2 分蒸らす
❷茶こしでこしながら氷をたくさんいれたグラスに注ぐ、
クラッシュアイスではなくロックアイスを使う


3-12. インド茶
❶ダージリン
…ヒマラヤ山脈で作られる、昼と夜の寒暖差が激しいため香り高い、セカンドフラッシュはマスカットのような香りを持つ

❷アッサム
…雨量の多い大平原で作られる、黒みが買った茶褐色で芳醇な香りを持つ、濃厚でコクがあるためミルクティーに向いている、クセはなく爽やか

❸ニルギリ
…インド南西部で作られる、味はセイロン茶に似ている、濃いオレンジ色でクセはなく爽やか


3-13. セイロン茶
❶ヌワラエリア
…最も標高の高い場所で作られる、昼と夜の寒暖差が激しいため香り高い、
セイロン茶のシャンパン、フローラル系の甘い香り・緑茶のような爽やかな渋味を持つ

❷ディンブラ
…中央高地の西側で作られる、透き通った深いオレンジ色、フルーティー系の甘い香り・渋味のない味を持つ、飽きがこない、アイスティーに向いている

❸ウバ
…中央高地の東側で作られる、爽やかな香り・渋味を持つ、良質なものはスズランにメントールが加わったような香りを持つ

❹キャンディ
…スリランカで最初に茶園ができた場所で作られる、オレンジがかった赤色、スリランカでは一番人気、渋味が少なく口当たりは軽やか、アイスティーに向いている

❺ルフナ
…スリランカ南部の高温多湿な場所で作られる、深く濃い色、スモーキーな独特の香りを持ち渋味は少ない、ワイルドな風味でミルクティーに向いている


3-14. 中国茶
❶キームン
…世界で最初に茶園ができた場所で作られる、スモーキーで濃厚な香り・コクがあってまろやかな味を持つ、良質なものはランのような香りを持つ


3-15. その他
❶ケニア
…20世紀になってからアフリカで作られる、気候が良く1年中収穫ができるため紅茶の輸出量は世界で一番多い、フレッシュな香り・マイルドな味わいを持つ

❷ジャワ
…ジャワ島の西部で作られる、1年中温暖であり1年中収穫ができる、赤みがかった明るいオレンジ色でマイルドな香り・すっきりした後味を持つ


3-12. ブレンドティー
❶イングリッシュブレックファースト
…インド茶とセイロン茶がベースの紅茶、濃い色・渋味が活かされるようブレンドされる、イギリスでは朝食にミルクティーが飲まれることが多くミルクに合うように

❷アフタヌーンティー
…アッサムとダージリンがベースの紅茶、渋味が少なくサラッとした味わい
スコーンやケーキを食べながらティータイムを楽しめるように


3-13. フレーバーティー
❶アールグレイ
…ベルガモットの爽やかな香りをつけた中国茶・セイロン茶がベースの紅茶、エッセンシャルオイルで香りづけされる、ミルクティーにもアイスティーにも向いている

❷アップルティー
…アップルの甘い香りをつけた紅茶
→フレーバード、茶葉に花・フルーツの香り成分を吹き付ける製法、
ティーバッグで気軽に楽しめる
→ブレンデッド、茶葉に花びら・果皮・果肉の乾燥ピールを加える製法、
紅茶だけでなくブレンドした素材の味がする
→センテッド、茶葉に花・フルーツの香り成分を吸収させる、
茶葉の香りが生かされたままほのかに香る


3-14. リーフグレード
(1)FOP、フラワリーオレンジペコ
…長さ 10〜15 ミリの茶葉、芯芽が多く含まれている

(2)OP、オレンジペコー
…7〜11 ミリの茶葉、細長く強くねじられている、柔らかい若葉・芯芽からなる、オレンジの香りはしない、ゆっくり抽出するのがおすすめ

(3)P、ペコー
…5〜7ミリの茶葉、(2)より硬く短く太めにねじられている、(2)より色・香りが強い

(4)PS、ペコースーチョン
…(3)より硬くて短くて太い茶葉、(3)より色・香りが弱い

(5)S、スーチョン
…(4)より丸みがあり大きくて硬い茶葉、独特な香りを持つ

(6)BPS、ブロークンペコースーチョン
…(4)の茶葉をカットしてふるいにかけて作られた茶葉

(7)BP、ブロークンペコー
…(3)の茶葉をカットしてふるいにかけて作られた茶葉

(8)BOP、ブロークンオレンジペコー
…(2)の茶葉をカットして作られた 2〜4 ミリの茶葉、芯芽が多く含まれている、色は濃く香り高い、市販品によく見られる

(9)BOPF、ブロークンオレンジペコーファニングス
…(8)の茶葉をふるいにかけて作られた 1〜2 ミリの茶葉、ブレンドティーやティーバッグの紅茶によく見られる、(8)より色・香りが強い

(10)F、ファニングス
…(8)をふるいにかけたときに落ちる小さな茶葉

(11)D、ダスト
…1ミリ以下の最も細かい茶葉、ふるいにかけた時に一番最後に残る


3-15. 黒茶
…摘んだ茶を微生物によって発酵させて作られた茶葉
→プアール茶など、手間がかかる上に販路が少ないため生産農家が減少し希少価値が高い
→好気発酵による色・香り・嫌気発酵による酸味を持つ、血圧を下げる作用、動脈硬化・血糖値の改善、整腸作用が注目される


3-16. 釜炒り茶
…茶葉を蒸すのではなく釜で炒って作られた茶葉
→香ばしい爽やかな香り


3-17. お茶のルーツ
…紀元前 3400年前、古代中国、チャの葉が薬、
薬草の効能を調べていた際に毒に当たり解毒のためにチャの葉を口にした
→2世紀、三国時代・晋、チャを飲むようになった、酒の代わり、上流階級の嗜好品
→6世紀、随、談笑しながらチャを楽しめる茶館ができる、庶民にもチャが浸透するようになる
→6〜9世紀、唐、中国全土でチャが栽培されるようになり日常的にチャを飲む習慣ができる、
餅茶、固形茶、砕いて粉にして鍋で煮出して飲む
→10〜13世紀、宋、チャの製造技術が発展する、団茶、餅茶の製法が複雑になって呼び方が変わる
→13〜17世紀、明、団茶禁止令、チャの本来のおいしさを失い作るのに手間がかかる、散茶、挽いて粉にしたもの、チャの主流は固形茶から散茶へ、
茶馬貿易、貢茶が茶葉貿易用になって散茶の普及に拍車をかける、
福建省でウーロン茶が生まれる、紅茶の製造も開始される
→17世紀、オランダがチャを持ち帰ってヨーロッパに伝わる、
ポルトガルの王女がイギリスのチャールズ 2 世と結婚する際に中国茶・茶道具・砂糖を持参、喫茶の文化がヨーロッパで広まる
→第三次英蘭戦争、イギリスはチャをオランダから輸入しなくてもよくなった、紅茶が注目されるようになる、ヨーロッパの水は硬水で紅茶の方が香り・味を抽出しやすい、発酵が止まっていないウーロン茶を輸送しその間に紅茶になる
→18世紀、清、チャの取引に銀が使われる、銀がなくなったイギリスはインドでアヘンを作って清に売ることで清から銀を引き出す、清は財政が悪くなる、社会はアヘンで混乱する
→アヘン戦争、北京条約、清が負けてイギリス・ドイツがチャの貿易の実権を握る、紅茶以外の輸出が減ることでチャの生産が少なくなる
→20世紀、中華人民共和国、文化大革命、
初めはチャは贅沢品とされて栽培制限がかかったものの徐々に栽培が広がる


3-18. 日本とチャ
…9世紀、平安時代、空海が唐からチャを持ち帰って日本に伝わる、奈良県
→12世紀、鎌倉時代、栄西が唐からチャを持ち帰って日本に伝わる、佐賀県・福岡県から京都府に伝わる、宇治茶の始まり、京都府から静岡県に伝わる
→14世紀、室町時代、喫茶の文化が日本で広まり宇治茶は高級品として献上される
→17世紀、江戸時代、チャの栽培が本格的に広まる、酸性の土壌がチャの栽培に向いていた、失職した武士を送り込んで栽培、京都府から埼玉県・鹿児島県に伝わる、青製煎茶製法が発明される、蒸して手もみをする
→19世紀、清水港が国際貿易港として開港してチャ貿易が盛んになった、静岡県


3-19. チャの成分

・クロロフィル
…緑色のもと
→太陽光量が少なくなると光合成の量を保つためにクロロフィルは増加
→酸化するとポルフィリン環からマグネシウムが離脱、フェオフィチンという分解物に変換されて緑色が薄まり灰緑色に変わる
→蒸すと酸化が止まって分解されない
→抹茶は色が変化しやすい
→乾燥させる際に銅鍋で炒って仕上げる、マグネシウムが酸化されにくい銅に置き換わり色が安定

・テアニン・アルギニン
…アミノ酸、旨味に関わる
→グルタミン酸の誘導体、味はグルタミン酸より弱いものの甘い旨味を持つ
→摂取するとα波が出現する、ストレスの緩和・リラックス効果・血圧抑制効果・海馬の神経細胞死を抑制する効果

・アミノカルボニル反応
…アミノ酸と糖が加熱されて起こる反応、茶色に変化する

・カテキン
…ポリフェノールの一種、渋味に関わる
→酸化するとポリフェノールオキシダーゼから3つの色素が作られる、
明るいオレンジ色の手アフラビン、濃い赤色のテアルビジン、赤褐色のカテキン酸化重合物
→爽やかでパンチの効いた渋味・ワインの重厚さを持つ

・シス 3 ヘキセノール
…緑の香り・森林浴の香りを持つ成分

・ジメチルスルフィド
…青梅苔のような独特な深みのある香りを持つ成分、玉露の覆い香


3-20. 煎じ回数を増やすと旨味・渋味が少なくなる
→蒸らし時間が長いと旨味・渋味が多くなる、旨味は 2 分がピーク、
アミノ酸は水に溶けやすくカテキンは高温で水に溶けやすくなる
→茶葉の量を増やすと旨味が多くなる・渋味はそこまで変わらない
→お湯の温度が高いと旨味が少なくなる・渋味が多くなる


緑茶ができるまで

3-21. ❶摘採
…茶葉を摘む、新芽を一気に刈り取り生葉を傷つけて酸化させないように工場へ運ぶ

・チャの花は咲く前に摘む
…栄養分をできるだけ茶葉に行き渡らせる

・手摘み
…片手でチャの枝を押さえる、もう片方の手の親指・人差し指で新芽を挟む、人差し指を曲げて葉の下でポキッと折り取るように摘む
→爪で葉をちぎるとそこから酸化してしまうため人差し指の腹を使う
→茶葉は木の下から上に向かって取り残しがないように摘んでいく


3-22. ❷蒸熱
…摘んだ茶葉をなるべく早く熱い蒸気の中へ入れて蒸す、蒸気熱で酵素の働きを失わせる、茶葉を柔らかくする
→茶葉を一気に冷却して粗熱をとる

・緑茶ならではの工程
…茶葉に含まれる酵素の働きを止めて緑茶としての緑色を保持するのが目的

・葉振るい
…茶葉を揉みやすくするために表面水分を取る、手揉みの場合に発生する
→焙炉に助炭を載せて和紙の上で茶葉を両手ですくって落とし葉の重量を3割減らす


3-23. ❸揉捻
…茶葉から水分を飛ばす

・粗揉、蒸した茶葉に下から火を入れ揉んで水分を飛ばす、水分量は50〜55%になる
→揉捻、さらに水分を揉み出す
→中揉、熱風を当てて回転させながら茶葉を細く丸めて揉む
→精揉、さらに揉みながら形を針状に変える、水分量は10〜13%になる

・玉解き
…茶葉のかたまりを横揉みでほぐし籠に広げて冷ます、手揉みの場合に発生する工程

・こくり
…茶葉の形状を整えて光沢を出す、手揉みの場合に発生する工程
→手揉みの方が葉の原形を留めた状態で細い針状になる


3-24. ❹乾燥
…茶葉同士がくっつかないように熱風を当てて水分量が3〜4%になるまで形を揃えて乾燥させる、ここで茶葉の酸化を止める、荒茶ができる


3-25. ❺再製工程
…荒茶を製品にする、寝かせて乾燥させてから茎を除いて葉の大きさを揃えてもう一度乾燥させる


紅茶ができるまで

3-26. ❶摘採
…茶葉を摘む、主に手摘みで行われる


3-27. ❷萎凋
…摘んだ茶葉を 15〜20 時間放置して萎れさせる、葉に含まれる水分の 30〜40%が蒸発する
→茶葉を握ると指の跡が残る、リンゴのようなフルーティ系の甘い香りを持つのが目安
→真に要となる操作、水分の蒸散に伴って茶葉の温度が上がって起きる化学変化が香りを左右する

・物理的萎凋
…水分がただ蒸散する反応

・化学的萎凋
…香りの決定に関わる反応
→茶葉の配糖体に湿度が加わることで糖とテルペンに分かれ香り高くなる、ウーロン茶も同じ
→雨の日に茶葉を摘むと生葉の水分量が多く萎凋がうまく進まないため質は著しく低下する


3-28. ❸揉捻
…茶葉の形が崩れて酸素によって酸化酵素が活性化して紅茶らしい色・香りの変化が起こる

・圧力が加わる中で揉まれるため茶葉の組織は破壊される
…茶葉中に含まれていたカテキンと酸化酵素が空気中の酸素を介して接触
→カテキンはテアフラビンというオレンジ色の物質に変化する、
→さらに反応が進んでテアルビジンという真紅の物質に変化する

・オーソドックス製法
…ぐるぐる回る機械の中で押さえて蓋で茶葉を強く圧迫しながら揉む製法

・CTC 製法
…ぐるぐる回る機械の中で茶葉をカッティングしながら丸めて揉む製法
→ティーバッグを作る際に使われる、一番主流

・ローターバン製法
…機械で茶葉を圧縮しながら細かくしていく製法・玉解き
…茶葉のかたまりをほぐし機械でふるい分ける


3-29. ❹発酵
…温度26℃・湿度90%の発酵室に茶葉を広げて 1〜3 時間放置する
→茶葉は赤銅色になり紅茶らしい香りが立ち始める
→発酵時間が長いと色は濃いが香りがなくなる、
発酵時間が短いと色は薄く緑茶と見間違えるが香り高くなる


3-30. ❺乾燥
…乾燥機に入れ高温熱風で乾燥させる、荒茶ができる
→茶葉の温度は70〜80℃が適切だが風量によってはその温度に到達するまでに時間がかかるためさまざまな化学反応が進む
→乾燥によってもアミノカルボニル反応・ストレッカー分解が生じて香り高くなる


3-31. ❻再製工程
…荒茶を製品にする


ウーロン茶ができるまで

3-32. ❶摘採
…茶葉を摘む、主に手摘みで行われる
→緑茶・紅茶と異なり比較的大きく開いた葉を選んで摘む、若い芽は苦味が強く出るため


3-33. ❷日干萎凋・室内萎凋
…摘んだ茶葉を太陽光に当てて萎れさせる、葉に含まれる水分の 8〜16%が蒸発する
→茶葉を室内に移して籠の中心に集めては散らす操作を繰り返し行う
→布団と同じように天日干しによって香りが良くなる
→真に要となる操作、日干萎凋・室内萎凋のやり方は各農家の秘伝となっている


3-34. ❸発酵
…日干萎凋が進むと生葉の温度が上がり配糖体の分解反応が進む、室内に移して広げる


3-35. ❹釜炒り
…茶葉に緑色が半分のこった状態で炒る、茶葉の中の酵素の働きを抑えて発酵を止める


3-36. ❺揉捻
…緑茶・紅茶と同様の機会に入れて上から圧を加えて揉む、茶葉の水分を均一化しながら成分を出しやすくする
→ウーロン茶の種類によって❹❺が数回繰り返される

・団揉
…布で茶葉を包んで転がすように絞って締めながら形を整える

・玉解き
…茶葉のかたまりをほぐす


3-37. ❻乾燥
…乾燥させて茶葉の水分を飛ばし茶葉の形を整える、荒茶ができる


3-38. ❼再製工程
…荒茶を製品にする


4. コーヒー 14項目

4-1. コーヒーノキ
…年に数回白い花を咲かせてコーヒーベリーという果実を実らせる、
光沢のある外果皮・透明がかった中果皮・粘着質のムシラージ
→中の種子がコーヒー豆、パーチメント・シルバースキン・生豆
→日陰で育つ、光合成ができ発芽しやすい


4-2. コーヒー豆は有胚乳種子
…種子の大部分が胚乳で構成されている、生豆に子葉がついている、双子葉植物
→コメ・コムギ・トウモロコシと同じ、単子葉植物に多い
→ナッツは無胚乳種子、子葉に養分が蓄えられる
→パーチメントがなくても発芽するが発芽能力を失いやすい、
コーヒーノキは時間が経過すると発芽能力を失いやすく半年でほぼ 0 になる


4-3. アカネ科の植物
…地球上のほとんどの場所に分布、熱帯性の低木が特に多い、まっすぐな葉、枝の同じ場所から 2 枚の葉が左右対称について葉の付け根に小さい葉のかけらがつく、花びらは付け根で1つにくっついて筒状
→コーヒーノキは赤道上の地帯に分布、ほとんどが人為的に持ち込まれた栽培品種
→コーヒーゴンドワナ植物説、ゴンドワナ大陸で祖先が誕生、
アフリカ・マダガスカル島・インドが 1 つとなった巨大な大陸、
ゴンドワナ大陸が分裂してバラバラに散らばった
→コーヒーゴンドワナ植物説は否定されつつある、カメルーンで生まれてアフリカ大陸に広がって
それぞれの地域で進化したと推定されている


4-4. コーヒーのゲノム解析
…チャ・カカオに比べてコーヒーの遺伝子だけが違いが大きい、
進化するプロセスでカフェインを自分で作る能力を独自に獲得した
→植物にとってカフェインを自分で作るということが収斂進化である可能性

→なんのためにカフェインを作るのか?
→他の植物の成長を邪魔するため、地面に落ちた種子からカフェインが溶け出して周りに広げて自分だけがうまく成長できるようにする
→昆虫から身を守るため、昆虫に対しては毒、現在ではカフェイン耐性を持った昆虫もいるがカフェインが人間の嗜好品となっていることでコーヒーは栽培されて今も子孫を残し続けている


4-5. コーヒーノキの隔年性
…1年おきに豊作と凶作が繰り返される
→枝の節に花が咲く、枝が成長して節をどれだけ作れたかで収穫量が変わる
→ある年に花がたくさん咲くと多くの養分が奪われ枝が成長しない、
翌年は花があまり咲かないが余った養分で枝が成長する、翌年は再び花がたくさん咲く


4-6. アラビカ種
…コーヒーノキを代表する種類、エチオピアの高原が原産、カファ王国、
最も人間との関わりが深い、最初のコーヒー
→飲むコーヒーのほとんどはアラビカ種のみかアラビカ種とカネフォーラ種をブレンドしたもの
→植物学的に見ると種類の中で一番変わっている、コーヒーノキ属の染色体の数は22本、アラビカ種の染色体の数は44本、自家受粉ができる、新しい土地へ移植しやすい、花は他家受粉に適しているもの
→カネフォーラ種を父方・ユーゲニオイデス種を母方にした異種交配で生まれる、染色体数が倍加して生まれたことで自家受粉ができるようになった

→どうやって巡り会ったのか?カネフォーラ種は標高が高く雨の多い地域・
ユーゲニオイデス種は標高が低く乾燥した地域で見られる
→アルバート湖の周辺で共生している、ビクトリア湖の近く
→アラビカ種は氷河期という試練を乗り越える、標高が低いエチオピア西部は温暖でそこに避難


4-7. カネフォーラ種
…アラビカ種よりも病気に強く低地で栽培ができて収穫量が多い種類、中央アフリカ減産
→ロブスタ種とも呼ぶ、頑強な・粗野な、香味はアラビカ種に比べて悪い、土の香り、苦味が多い
→アラビカ種とブレンドするとちょうどいい、インドネシア・ベトナム・ブラジルで栽培
→水蒸気を用いた焙煎で酸味が増えることで苦味・土臭さが和らぐ


4-8. リベリカ種
…希少な種類、リベリア原産、苦味が強く病気の強さは中間
→フィリピン・マレーシアで栽培


4-9. 噛みコーヒー
…コーヒーベリーを薬草と茹でた後に天日干し・燻製にしてそれを噛む、ガムのような感覚


4-10. コーヒーのルーツ
…10世紀、ペルシャ、薬として使われる、エチオピアからイエメンへ黒人奴隷が売られた、黒人がアラブ人より多くなって黒人イスラム王朝が作られる
→15世紀、イエメン、カフワ、イスラム教の修行僧の間で広まった飲み物、
カートの新鮮な葉を噛む、食欲・睡眠欲を消すもの、トランス状態で神に近づけると考えた
→カート以外からカフワを作る、イエメンでコーヒー栽培が始まる
❶キシル、乾燥した果実の殻だけを煮出す
❷ブン、コーヒーの始まり
→シリア・トルコには両方伝わる、ヨーロッパにはブンのみが伝わる
→1世紀オスマン帝国、コーヒーを持ち出し禁止にした

❶ティピカ、盗み出されて広がった
…盗まれたコーヒーはシルクロード経由でインドなどに伝わる、オランダ東インド会社はインドからインドネシアのジャワ島にコーヒーを持ち込んで栽培
→戦争の和解品としてオランダからフランスにコーヒーが送られる、
フランスはカリブ海のマルティニーク島にパリ植物園から入手したコーヒーを持ち込んで栽培
→オランダは南アメリカのスリナムでも栽培を始める、フランスが盗む、
ブラジルも盗んでブラジルに持ち帰って栽培

❷ブルボン、正当な手続きを経て広がった
…イエメン国王の病気をフランス人が治したお礼にイエメンからフランスにコーヒーが送られる、フランスはブルボン島にコーヒーを持ち込んで栽培
→ブラジルのサンパウロにコーヒーが移される

→19世紀、第1次コーヒーブーム(ナポレオン戦争)、第2次コーヒーブーム(南北戦争)、イギリスでウォッシュト・透過式抽出が発明される、アメリカでバーンズ式焙煎が発明される
→第1次さび病パンデミック、インド・インドネシアのコーヒーがダメージを受ける、イギリスはスリランカ人の学者にコーヒー作りやめろと言われるも反発、スリランカはコーヒーではなく紅茶に目をつけて栽培
→ベルギーの植物学者がコンゴでコーヒーを発見しベルギーに持ち帰る、ロブスタ種の発見、インド・インドネシアでアラビカ種との交配が行われる
→第2次さび病パンデミック、ブラジルのコーヒーがダメージを受ける、
ポルトガルで成功していたロブスタ種とアラビカ種の交配種を栽培
→20世紀、コーヒー協定・フェアトレードの動きがブラジルで始まる、
高品質・高付加価値の生豆を高く売るという方針、イタリアでエスプレッソマシンが発明される、ドイツでカフェインレスコーヒーが発明される、アメリカでインスタントコーヒーが発明される、日本で缶コーヒーが発明される
→第二次世界大戦後、コーヒーが手に入らない、アメリカンコーヒー、
少量の豆でできるだけたくさん抽出できるように


4-11. コーヒーの香り
…精製中の発酵が大きく影響する
→ペクチンを小さな糖類に分解、その糖類を栄養とする乳酸発酵菌・酵母が増えて乳酸・酢酸・アルコールを作る、これらがつながってエステル類が作られる
→水分が少なくなると酵母が増えない、ゆっくり乾燥させると発酵感の強い香りになる
→水分が少なくなるにつれてカビ菌が増える、土的・金属的な不快臭、発酵と腐敗のはざま


コーヒーができるまで

4-12. ❶精製
…コーヒーベリーから生豆を取り出す
→パーチメントをなんとかすればいい
→パーチメントが乾いた状態までどうやって持っていくかの違い

・ドライプロセス、アンウォッシュ
…水を使わずにコーヒーベリーを天日干しにする、割ると生豆だけが出てくる

・ウェットプロセス、ウォッシュ
…水を使って果皮・果肉を洗い流す、発酵でムシラージを分解して洗い流すと生豆が出てくる

・セミウォッシュ
…水を使って果皮・果肉を洗い流してその後に天日干しにする、
ムシラージまで洗い流してパーチメントに覆われた状態で天日干し、
ムシラージをどこまで洗い流すかで香りを調節できる


4-13. ❷焙煎
…生豆を加熱してコーヒーの味・香り・色を作る
→カビ発生を防ぐため水分量が 12%以下になるまで乾燥され消費国に輸出、
残った水分を飛ばしながら 180〜250℃まで加熱、新しい成分を生み出す

・まずは生豆を温める、強火では表面だけが焦げてしまう
→水抜き、水分を飛ばすのを速めるために火力を上げる、
表面が乾燥してシルバースキンが剥がれる、生豆から水分が飛ぶ
→煎り込み、素早くふり続ける、豆が膨らんでパチッという音がする
→浅煎り、パチパチが終わった段階で焙煎を止める
→煙が青白くなり香りも煙っぽくなる、ピチッという音がする
→中煎り、ピチピチの始まる前の段階で焙煎を止める
→中深煎り、ピチピチの途中の段階で焙煎を止める
→深煎り、ピチピチが終わった段階で焙煎を止める
→煎り止め、急速に冷やす

・焙煎の条件
…一定以上の温度・水分が十分に減る
→浅煎りで 180℃、深煎りでは 250℃、水分は 2%未満
→熱エネルギーが必要
(1)伝道、物質の一部から全体に熱が伝わる
(2)対流、液体・気体の移動によって熱が伝わる
(3)輻射、赤外線によって熱が伝わる
→豆表面から内部に熱が伝わる、一部が気化熱として奪われ温度上昇が緩やかになる、生豆中の成分から新たな成分が作られる、吸熱反応から発熱反応が優位になると化学反応で温度がさらに上昇して別の化学反応が起きる

・コーヒー豆の構造の物理的変化
…乾燥による隙間がある、細胞壁が異常に厚く硬い
→細胞壁が軟らかくなる、ガラス転移現象、豆の細胞が煮込まれて混じって飴状になる
→細胞の中で水蒸気・ガスが出る、豆の水分量が減って温度が上がる
→細胞壁が硬くなる、圧力が上がる
→隙間が広がって圧力が上がる、豆が膨張する
→細胞壁が崩壊する、油脂分が滲み出る

・コーヒー豆の成分の化学的変化
…クロロゲン酸、糖類、アミノ酸
→CQL・キナ酸・カフェー酸、フルフリル化合物、アマドリ化合物
→キナ酸ラクトン・カフェー酸、有機酸・フラノン類・FFT、アルデヒド類・ピラジン類
→VCO・フルフリルカテコール、カラメル、メラノイジン

・焙焦反応
…豆の細胞が煮込まれて混じって飴状になる中での化学反応
→コーヒー豆の成分は 7 割は変化しない、カフェイン・油脂類・ミネラル
→システムコーヒー学、田口護、味・香りの違いは生豆の物理的な特徴からも生まれる、生豆を分類して焙煎との関係を明らかにする、生豆の集団も観察する必要

・焙煎豆の劣化
…吸湿、ガスが抜ける、油脂分が酸化
→焙煎豆の保存、吸湿を避け、ガスが抜けないようにし、酸化を防ぐ
→気密状態を保つこと、できるだけ長期保存しないこと


4-14. ❸抽出
…焙煎豆からお湯・水で成分を引き出して飲み物にする
→コーヒーミルで挽いて小さく砕いた後にお湯・水に溶かし出す
→焙煎で生み出された成分のうちどの成分がどのくらい出てくるかで
出来上がるコーヒーの味・香りが決まる、ドリップ、サイフォン、エスプレッソ

・抽出する直前に豆を挽く
…ミルで挽いたコーヒー粉の大きさを揃えるとおいしい

・浸漬抽出
…コーヒー粉と水を一度に混ぜて抽出する
→サイフォン式・トルココーヒー、紅茶と同じ
→時間が経つにつれて濃くなり溶け出しにくい成分の割合が増える
→水中の成分拡散にかかる時間を無視できない、見かけ上の移行速度が小さくなる
→細挽きにした方が成分の抽出速度・最終的な濃度が上がる、
コーヒー粉の内部の油脂分は剥がれにくいため、雑味も出やすい、微粉が多いときも同様
→泡を消さずに煮出すことが大事

・透過抽出
…コーヒー粉で層を作ってそこに水を通過させて抽出する
→ドリップ式・エスプレッソ
→最初に濃縮されて抽出され流水量が増えるにつれて薄まり溶け出しにくい成分の割合が増える
→水中の成分拡散にかかる時間を無視できる、抽出中に水が溜まると意味がない、流速が大事
→泡をできるだけ抽出液に落とさないことが大事

・泡が重要
…二酸化炭素・泡を安定化させる界面活性物質
→コーヒー豆の中には焙煎時に発生した二酸化炭素が含まれている、
抽出時に液面に向かって浮き上がる、抽出時の膨らみ具合が新鮮さの証、
焙煎から日数が経ってガスが抜けてからの方が抽出しやすく味・香りがいいという意見も
→起泡分離、界面活性物質は親水性の成分・疎水性の成分を併せ持つためそれぞれ泡の外部・内部に向けて気体と液体の境目に並ぶ、疎水性の成分が液面の泡に吸着する、泡に雑味が集まる
→泡ごと飲むトルココーヒー・エスプレッソは泡の役割が異なる

・抽出のやめ時が重要
…雑味が出てくる、舌に残る苦味・渋み、親油性の高い物質
→水の温度は高すぎると雑味が出やすい、低すぎると十分に抽出できない
→浅煎り・中煎りは高温、深煎りは低温

・濾過
…コーヒー粉と水を分離する、おいしい成分を抽出した後に
コーヒー粉と水が接触したままだと雑味成分がどんどん出てくる
→濾過時間は短い方がいい、浸漬抽出では抽出時間が長引くため雑味が増える、透過抽出では固定相に液体が溜まって段が減るため雑味が増える
→濾過によって油脂分が減りすぎるとコクが足りなく感じることも

・サイフォン式
…浸漬抽出+吸引濾過
→香りが出やすい

・プレス式
…浸漬抽出+加圧濾過?

・トルココーヒー
…浸漬抽出+無濾過

・ドリップ式
…透過抽出+自然濾過
→味が出やすい

・エスプレッソ
…透過抽出+加圧濾過
→コーヒーのエキスが抽出される

・モカポット
…透過抽出+加圧濾過

・ダッチコーヒー
…透過抽出+自然濾過


5. ワイン

5-1. ブドウ
…ブドウの祖先は 6,000 万年前に誕生
→酵母は果実の皮・樹液に出現

→ブドウ栽培の条件
❶気候、乾燥している、成長期に雨が降ると皮を通して果実内の水分が過剰になって破裂する
❷土壌、水分が少なく栄養に富まず水はけが良い、根への酸素供給が重要
❸微生物、カビがいない、病気はカビによって起こる、高温多湿だとカビの増殖が速い
→日本では盆地で栽培されるケースが多い、昼と夜の気温差が大きい、
昼には光合成によって二酸化炭素・水からブドウ糖を作る、
夜には呼吸によってブドウ糖を分解する、
昼の気温が高く夜の気温が低いとブドウ糖が作られやすく分解しにくいため味・香り成分が増す


5-2. ヴィンテージイヤー
…降水量が少ない、日照時間が長い、気温が高く気温差が大きい
→高緯度の産地ほど品質差が大きい


5-3. ヨーロッパ系
…ワイン用・レーズン用・食用
→西洋系、シャルドネ、ソーヴィニョンブラン
カベルネソーヴィニョン、メルロ、シラー、ピノノワール
→東洋系、甲州、マスカットアレキサンドリア


5-4. アメリカ系
…ジュース用・台木用、香りが強いため食事に合わせにくい
→ナイアガラ、コンコード、デラウェア、キャンベル、
ヴィティスリパリア(台木用)、ヴィティスルペストリス(台木用)


5-5. 野生ブドウ
…特になし、酸度が高く酸っぱい
→ヤマブドウ、エビヅル、サンカクヅル


5-6. 交配品種
…食用・ワイン用
→巨峰、ピオーネ、甲斐路、ネオマスカット、ミュラーツルガワ(ワイン用)


5-7. 日本で栽培されるワイン用のブドウ
…シャルドネ(山形・長野)、カベルネソーヴィニョン(山形・長野・山梨)、
メルロ(山形・長野・山梨)、ミュラーツルガワ(北海道)
→ソーヴィニョンブラン・ピノノワールは日本での栽培が不可能


5-8. シャンパン
…フランスシャンパーニュ地方の一定基準の元で作られたスパークリングワイン
→他にもスパークリングワインはある


5-9. 貴腐ワイン
…カビ菌がついたブドウを使った極甘口ワイン、デザートワインとして食後に飲まれる
→カビによるブドウ成分の濃縮効果を利用、ボトリティスシネレア
→カビ菌がブドウから栄養を吸収するために果皮に穴を開け水分が蒸発して成分が濃縮される、カビ菌が作る成分が果汁・ワイン内に移る、グリセリンが大量に作られ特有の粘性を与える、グルコン酸・ガラクツロン酸・ソトロンが作られ味が差別化される
→ソーテルヌ・バルザックなど


5-10. アイスワイン
…凍ったブドウを使った極甘口ワイン、凍結味という独特な味・香りを持つ、デザートワインとして食後に飲まれる
→凍ったものが溶ける際の濃縮効果を利用
→木の上で凍ったブドウを収穫し凍ったまま搾汁、
前半に出てくる果汁は成分をたくさん含むためこの果汁だけ使って作る


5-11. ポートワイン
…ワインがある程度発酵したらブランデーを加えて発酵を止めて作るワイン、デザートワインとして食後に飲まれる、ポルトガル


5-12. シェリー
…通常のワインにブランデーを加えてエタノール濃度を上げて熟成させたワイン、食前酒として食前で飲まれる、スペイン
→ブランデーを加えることで樽の中でシェリー酵母が作られる、
フロール香というペールエールと共通の香りを持つ、
ベースワインの中の糖分を発酵させてエタノール濃度を上げる


5-13. ヴェルムート
…ワインにブランデー・スピリッツを加えてハーブを漬け込んだお酒、食前酒として食前で飲まれる、イタリア
→白ワインかロゼワインをもとにして作る、ハーブはリンドウ・クローブ・ナツメグ・ローズマリー・シナモンなど、
ハーブの成分が水よりエタノールに溶けやすいためエタノール濃度を高める
→ハーバル系の香り成分と苦味成分


5-14. ブランデー
…ワインを蒸留してワインの香り成分を集めて作るお酒
→コニャックブランデー、サンテミリオン種のブドウを原料として単式蒸留器で2回蒸留、ワインのオリがある状態で蒸留、熱で酵母の脂肪酸がエタノールと反応し脂肪酸エステルを作る、樽で熟成
→ブランデーに適したワイン、辛口の白ワイン、亜硫酸を使わない、
アルコール度が 10%未満、強い酸性、マロラクチック発酵は起こさない


5-15. ワインのルーツ
…紀元前5,000年、メソポタミア時代、シュメール人にとってフルーツ果汁が水分補給源だった、
ブドウ果汁が腐りにくくなる時があってそれを再現しようとした、
エタノールが腐る原因となる微生物の増殖を防ぐ
→紀元前1,500年、濾過が発明される、フェニキア人によってギリシャに伝えられた、水割り・他のフルーツ果汁・ハチミツなどを混ぜて飲まれた
→紀元前8世紀、古代ギリシャ、ホメロス、オデュッセイアの中にワインの記述、ブドウを収穫後に天日干しにして糖分などを濃縮し極甘口ワインを作る方法
→1世紀、古代ローマ、搾汁機・加熱殺菌・低温発酵が発明される、熟成にオーク樽が使われる
→15世紀、赤ワイン・白ワインの区別が確立
→17世紀、コルク栓が発明される、ガラスビンが使われる
→19世紀、補糖法・減酸法が発明される
→フィロキセラという病害虫によるワイン用ブドウの壊滅、
アメリカからヨーロッパに移されたブドウについていた、根から感染
→フィロキセラに抵抗力を持つアメリカ系のブドウとヨーロッパ系のブドウを交配しようとし失敗
→フィロキセラに抵抗力を持つアメリカ系のブドウを台木としてヨーロッパ系のブドウを接木する
→低温殺菌が発明される


5-16. ワインの味
…甘味・酸味・渋味が含まれる
→よく熟したブドウは甘味・酸味がバランスして酸っぱく感じない


5-17. リンゴ酸
…ブドウ由来の酸味成分


ワインができるまで

5-18. ❶搾汁
…ブドウを粉砕して果汁を取り出す

・2種類の果汁
(1)フリーラン果汁、粉砕と同時に自然に流れる果汁
(2)プレス果汁、粉砕後に果肉・果皮・種子を圧搾して得られる果汁
→圧搾後半のプレス果汁はブランデーにすることが多い

・サーモヴィニフィケーション
…赤ワインを作る際に粉砕後の果肉・果皮・種子を加熱して冷やしてから果皮・種子を除いて果汁のみで発酵させる
→かなり軽い赤ワインになる、シラー

・ブレクール
…白ワインを作る際にブドウ・果汁を冷やす、
ポリフェノールが酸化・溶出して色・香りが悪くなるのを防ぐ、
白ワインの発酵は低温で行うため発酵前の温度調整としても重要
→粉砕後に低温でおき遠心分離によってポリフェノールの固形物を取り除く、濁りもなくなる

・スキンコンタクト法
…白ワインを作る際に粉砕後の果皮を分離せず果汁・果皮を 3〜10 時間くらい接触させる、香りを強めるために果皮から香り成分だけを抽出する、
ブドウの香りは果肉より果皮に多く含まれる
→果汁・果皮の香り成分は配糖体、半分以上が糖類と繋がっている、香りだけを遊離させる


5-19. ❷発酵
…果汁などにワイン酵母を加えて置いておく、グルコースからアルコール・二酸化炭素が作られる
二酸化炭素は空中に飛散してワインの中に残らない、ベースワインができる
→赤ワイン・ロゼワインは果汁・果皮・種子を発酵させる、白ワインは果汁だけを発酵させる
→マロラクティック発酵で酸味過多を改善でき渋味とのバランスがよくなる、他の成分も変化し香り・味が複雑になる

・サッカロミセスセレビシエ
…ワインを作る時に使われる酵母、ワイン醸造用の特定の酵母株だけ使われる

・サッカロミセスベイシャヌス
…白ワイン・シャンパンを作る時に使われる酵母

・サッカロミセスロージェンシス
…スパークリングワインを作る時に使われる酵母

・ブレタノマイセス
…ワインを作る時に使われる野生の酵母

・いずれも甘口・辛口にできる
…発酵をいつ止めるかで帰れる、発酵が終了しないうちに強制的に止めて糖分が残っていると甘口、エタノール濃度は低い
→発酵が終了して糖分が少なくなっていると辛口、エタノール濃度は高い
→赤ワインは辛口のものが多い、食中酒として飲まれる場合が多いため、
甘口の赤ワインはランブルスコ・ポートワイン、デザートワイン

・赤ワインでは果皮・種子からポリフェノールが溶出
…赤ワインは渋味を持つ・酸化しにくい
→温度調節・果皮・種子を分離するタイミングが重要

・白ワインでは果皮・種子からポリフェノールなどをいかに溶出させないかを考える
…フリーラン果汁・プレス果汁を分離して発酵させる、
味にコクが求められる場合は分離せずに発酵させたり発酵後にブレンドしたりする
→低温発酵、ポリフェノールの酸化を防いで味・香りをフルーティに保つ、
発酵速度を抑制して酵母の香り成分作りを促進する、作られた香り成分が揮発するのを防ぐ
→オリ引き、発酵終了後に沈殿物(オリ)とベースワインを分離する・シャンパンではベースワインをびんに詰めて糖分

・シャンパン酵母を加えておく
…密閉されているため二酸化炭素がベースワインに溶け込む
→他のスパークリングワインでは二酸化炭素を吹き込む場合もある
→良いスパークリングワイン、泡が細かくいつまでも続いて上がってくる、
フルート型のグラスはこれを観察するため

・酵母の固有振動数と同じ振動数の音楽を聴かせると発酵が速くなる
…酵母が激しく振動して二酸化炭素表面からの遊離が促進される

・ベントナイト処理
…ベントナイトという天然の粘土を使って白ワイン・ロゼワインの中のタンパク質の量を減らす、タンパク質が多いと濁りが発生する

・オリ下げ
…主に赤ワインの中のポリフェノールの量を減らす、卵白を入れポリフェノールと繋げて沈める


5-20. ❸熟成
…樽の中で保存する

・シュールリー熟成
…オリ引きをしないで熟成させる、特有の味・香り・コクが加わる、
オリ特有の成分が溶出することでポリフェノールを吸着したり
酵素が働いてベースワインの味・香り成分を変化させたりする、
マロラクティック発酵も期待できる
→ミュスカデシュールリー・ミュルソーに特徴が出ている

・赤ワインの樽熟成
…アントシアニンがタンニンと繋がって酸化しにくくなるためワインの色が安定化する、大きなタンニン分子が作られるため粗い渋みが滑らかな渋みになる

・白ワインの樽熟成
…シュールリー熟成で不快な臭いを持つ硫黄系成分が酸化されて減る、
酵母の自己消化で溶出したマンノプロテインが樽由来のフェノール類と反応して渋味が和らぐ、樽の香り・バニラのような甘い香りが適度になる

・亜硫酸
…二酸化硫黄を水に溶かしたもの、殺菌・酸化防止・ポリフェノール抽出の促進という役割を持つ
→ワインと亜硫酸はビールとホップくらい重要な関係
→人体への影響、ワインを飲むくらいでは無害、
ビン詰め後 1 年でワインの中の二酸化硫黄はほぼゼロになる

・冷却処理
…ワインの中の酒石酸・カリウムの量を減らす、ビン詰め前に行われる、
酒石酸・カリウムが多いと冷蔵庫で冷やした時に酒石酸カリウムとなって沈澱する

・ビン詰め
…ワインの寿命が決まる
→ワインに溶けている酸素を含めてビンの中の酸素をいかにして少なくするか、
詰める前のワインの中の酵母・乳酸菌をいかにして取り除くか、
詰める前のワインの中の味・香りをいかに保ったままにするか、
どんな栓をして漏れを防ぎ品質低下を遅くするか
→加熱殺菌と濾過、白ワイン・ロゼワインは濾過、ワインの温度が高いと酸素量が多くなる

・コルク栓
…必須ではない、ビン熟成で酸素を必要とするので通気性のあるコルク栓がベストというだけ、品質がピークを越えればビールの王冠がベスト
→コルクガシの樹皮の層を収穫、エージング、煮沸してポリフェノール・揮発性成分を除去、乾燥、平板として切り出して整形、塩化カルシウムなどで漂白、洗浄
→コルクのスジは年輪、数が多いほど良いコルク
→ブショネ、コルク臭、濡れたダンボールのようなカビ臭いにおい、
原料がカビに汚染されていて漂白の塩素が残っていると発生する、
コルクのリグニンが分解されて作られたフェノールにカビがついてアニソールになる、アニソールに塩素がついてトリクロロアニソールになる
→テイスティング、ワインにコルク臭がついているかを検査する
→抜栓、赤ワインは飲む1時間前くらい、白ワインは飲む30分前くらい


6. ビール 25項目

6-1. エールビール
…15〜20℃の常温で上面発酵させて作られたビール
→口当りの良さ・フルーティーな香り・コクのある味わいを持つ

❶ペールエール
…琥珀色、ビターポップの苦味・アロマホップのフルーティ系の香りが調和

❷インディアペールエール、IPA
…ダークゴールド、ホップを大量に使う、苦味が特徴

❸アメリカンペールエール
…オレンジ、カスケードホップを使う、シトラス系の香り・苦味が特徴

❹スモークエール
…レッド、燻製にした麦芽を使う、スモーキーな香りが特徴

❺ヴァイツェン
…琥珀色、コムギの麦芽を 50%以上使う、苦みが弱くフルーティーな酸味を持つ

❻スタウト
…黒色、ローストした麦芽を使う、香ばしさ・深い苦みが特徴


6-2. ラガービール
…5〜10℃の低温で下面発酵させて作られたビール
→苦味が効いた爽快さ・マイルドで飲みやすい味わいを持つ

❶ピルスナー
…ゴールド、辛口でキレがある、日本国内大手メーカーのビールはこれ

❷エクスポート
…イエロー、輸出用で作られた、麦芽とホップのバランスはヘレスとピルスの間

❸ボック
…黒色、麦芽を大量に使う、アルコール度数が高い

❹シュヴァルツ
…黒色、ローストした麦芽を使う、甘みが少なく香ばしさがある


6-3. 生ビール
…熱処理をしていないビール
→濾過で酵母が完全に取り除かれパッケージングも無菌的に行われるため加熱殺菌が必要ない


6-4. 黒ビール
…原料に黒麦芽・カラメル麦芽などを使ったビール


6-5. クラフトビール
…小規模醸造設備を使って作られる個性を大事にした様々な特徴を持つビール、明確な定義はない
→ビールスタイルの再発見、ベルギービールを取り上げる、フルーツビール・サワービール
→ビールスタイルの再発明、ホームブリューイングの解禁、自宅でビール醸造ができる
→ビールが加速度的に多様化、アメリカンペールエール、アメリカン IPA、
大手会社の画一的な味を嫌う層を掴む
→原料はオオムギだけでない、コムギ・ライムギ・ハチミツ・ハーブ・スパイス・フルーツ
→ホップも個性的、シトラス系・フルーティ系の香りを持つホップ
→下面発酵だけでなく上面発酵も活用している、華やかな味・香りを生み出す、発酵温度が高くて発酵期間が短い


6-6. 発泡酒
…オオムギを原料にしているがビールに分類できないアルコール飲料、
原料の半分以上が麦芽以外・政令で定められていない原料
→ビールより発酵の管理が難しい、泡を長持ちさせるのが難しい


6-7. 第3のビール
…ホップを原料にしているがオオムギを原料にしていないアルコール飲料、ビールテイスト
→エンドウタンパクを用いる


6-8. ノンアルコールビール
…アルコール 1%未満のビール
→ノンアルコールビールを作る方法

❶発酵中にアルコールが作られないようにする方法
…酵母が発酵できる糖分を少なくするよう調整する、発酵中に急冷し発酵を強制的に止める、アルコールを作りにくい酵母を使う

❷通常のビールを水で薄める方法

❸通常のビールからアルコールを除去する方法
…特殊な膜でアルコールだけ選んで除去する、熱・圧力を使って蒸留器でアルコーつを除去する

❹調合して作る方法
…ムギジュース・モルトエキスを原料に糖類・酸味料・香料などを加える、発酵は行わない
→❹が大きく進歩したことでノンアルコールビールが美味しくなった、
糖類ゼロ・カロリーゼロ・プリン体ゼロの商品も作れるようになった
→ビールを我慢するための商品ではなく清涼飲料水としての商品にシフトする可能性


6-9. ビールのルーツ
…紀元前 3000 年、メソポタミア時代、農耕生活が始まる、オオムギを育てパンを食べた、風味づけに発芽したオオムギを使ったパンが生まれた、
このパンが水に入って自然発酵したものがビールのルーツ、雨で発芽していた可能性
→シュメール人がビール作りのメモを粘土板に残す、ハーブ・スパイス・ハチミツなどを使う
❶オオムギを発芽させて乾燥した後に粉にする
❷粉を練ってパンを焼く
❸パンを砕いて熱水を加えて混ぜて固形物を除去する
❹上澄みを壺に入れて自然発酵させるとビールができる
→紀元前 2000 年、古代エジプト、ビール作りのメモを壁画に残す、濁りを取り除くのに苦労した、飲みやすさ重視、ピラミッド労働の栄養補給・疲労回復、酵母の培養が始まる、通貨・供物として役割も果たす
→1世紀、古代ローマ、ゲルマン人、ビール作りがヨーロッパに伝わる、
ラテン語のビベル(飲み物)かゲルマン語のべオレ(穀物)が語源
→8世紀、フランク王国、カール大帝も愛飲した、戦争にビール醸造技術者を同行させた、ビールは家庭ごとに作られていた、ホップの栽培が始まる、
支配者階級の修道院がビールの醸造権・販売権を確立
→13世紀、ドイツ、ビール醸造が市民にも許される、ビール醸造の税金が都市の財源となる
→14世紀、チェコ、カール4世、ホップ栽培が市民にも許される
→15世紀、ドイツ、ビールを低温で発酵させるようになる、下面発酵酵母が使われるようになる
→16世紀、ドイツ、ビール純水令、ビールはムギ・ホップ・水だけを使って作れ
→19世紀、チェコ、ピルスナービールが生まれる、軟水を用いる、発酵が解明される、デンマークに酵母が運ばれラガービールが作られる、カールスバーグ、アンモニア冷凍機が発明される、ラガービールの製造が世界中でできるようになる


6-10. ビールの香り
…麦芽由来の香ばしい香り・ホップ由来の爽やかな香り・酵母の発酵によるフルーティな香り
→色・味・香りが薄めのものから濃いめのものへ飲み進める


6-11. ビールの味
…喉を打つ爽快さがあってゴクゴク飲める
→他のお酒に比べて低アルコールで飲みやすい、低い温度で飲む、炭酸ガスの量が多い、ホップの爽快性を持つ苦味がある
→ホップ由来の成分でキレが加わる
→麦芽由来の成分が多いほどコクが加わる
→酵母による発酵でエタノールが発生しコクが出る、甘味・苦味を強めて酸味を弱める
→発酵度を高めることでキレも出る


6-12. ビールの泡
…ビールを外気から遮断して味の変化を防ぐ
→泡が残っているうちに飲み干せばビール本来のおいしさを実感できる
→美味しい注ぎ方、泡は30%にすると見た目も美しい

❶ジョッキは垂直に
…ビールが直接底にあたるように、最初にできる泡が大切

❷ジョッキを傾けてできた泡を持ち上げる
…ビールが壁にあたるように、きめ細かい泡ができる

❸再びジョッキを垂直に
…最初にできた泡をジョッキの縁まで持ち上げる

→泡を作るのは麦芽由来のタンパク質・ホップ由来の苦味成分であるイソアルファ酸、親水性成分をビール側・疎水性成分を炭酸ガス側に配列させた膜が炭酸ガスを包む、洗剤のように界面活性を保った構造
→麦芽を入れずにビールを作ると泡は立たない、ホップを入れずにビールを作ると泡はすぐ消える
→脂質に触れると泡は長持ちしなくなる、おつまみ
→温度が高いと泡が多くなる、気圧が低いと泡が多くなる、炭酸ガスがビールの中に溶けない
→泡もちがいい・きめ細かい・ジョッキへの付着性などの要素で評価
→泡がいいということはビールが正しく作られた・正しく注がれた・正しく飲まれたという証


6-13. メラノイジン
…キャラメルのような甘い味・香りを持つ成分、麦芽を作る際に糖とアミノ酸が反応してできる


6-14. デキストリン、β-グルカン
…口当たり・飲みごたえに影響する成分


6-15. イソアルファ酸
…ホップ由来の苦味成分、舌・喉に残らない


6-16. リナロール
…ホップ由来の香り成分、シトラス系の香り


6-17. ゲラニオール
…ホップ由来の香り成分、バラのようなフローラル系の香り


6-18. フムレンエポキサイド
…ホップ由来の香り成分、ハーバル系の香り


6-19. 酢酸エチル
…フルーティ系の香りを持つ成分


6-20. 酢酸イソアミル
…バナナのようなフルーティ系の香りを持つ成分


6-21. カプロン酸エチル
…日本酒の吟醸香を持つ成分


ビールができるまで

6-22. ❶製麦
…発芽したオオムギを乾燥させる、麦芽ができる

・二条種のオオムギを用いる
…デンプンの含有量が多い、タンパク質も含む
→オオムギの開発、栽培しやすい・収穫量が多い・デンプン・糖化酵素を多く含む・タンパク質を適
度に含む
→ポストゲノム研究、遺伝子配列を元に RNA・タンパク質・代謝物質について研究する
→プロテオミクス、タンパク質の構造・機能を研究する、良い泡のビールを作るためにはどのタンパ
ク質を増やすようにオオムギを開発すればいいのかがわかる、ビール中のタンパク質のアミノ酸配列
を調べてデータベースで照合するとオオムギのどの遺伝子由来かを知る

・収穫したオオムギを水分が 12%以下になるまで乾燥させて貯蔵する
…眠り、貯蔵している間に芽を出すためにデンプンを消費しないように、1 年以上品質を落とさずに貯蔵できる
→浸麦、眠りから覚ます、種子の重さの 30〜45%くらいの水を吸収させる、15〜20℃の水で浸水・断水を繰り返して空気を送風
→発芽、目覚めさせる段階であえて発芽させて種子中に酵素を作らせる、種子を指に挟んで擦って評価する、細胞壁も分解しているため
→焙燥、デンプンが消費されすぎない段階で再び種子を乾燥させる、なるべく速く温度を上げずに水分が5%くらいになるまで乾燥させる、 2 段階、酵素の活性を失わないため、酵素の活性を失うと❷❸で支障をきたす
→麦芽ができる、ビールの色は麦芽で決まる

・ロースター
…より高い温度で焙燥できる設備
→色・味・香り・コクを自在に作り出せる


6-23. ❷仕込み
…糖化、乾燥させたオオムギを砕いてお湯を加えて高温に保つ、
オオムギのデンプンが分解酵素の働きで分解されて糖類が溶け出す、ムギジュースができる

・麦芽を粉砕して 4 倍領の温水に入れて 60〜65℃で保つ
…麦芽のデンプン分解酵素でデンプンをマルトースに変える、
発酵の時に酵母が麦芽由来のデンプンを利用できるように
→麦芽を入れた液を仕込み槽の底から自然濾過で取り出す、
麦層に温水をかけてエキスを取り出す、麦層はビール粕として畜産に使われる
→糖化の終わりにホップの毬花を入れてムギジュースを 1 時間ほど煮沸する
(1)ケトルホッピング、煮沸初期にホップを入れることで苦味を十分に抽出する
(2)レイトホッピング、煮沸終了前にホップを入れることで香りづけだけする
→アルファ酸がイソアルファ酸に変化しムギジュース内に溶出する、
タンニンとタンパク質が繋がって凝固物を作りこれを除去するとムギジュースの濁りが取れる、ホップには独特の香り・苦味・抗菌作用がある、
酵素活性が止まり微生物も死滅するためムギジュースの成分が安定化、
ムギジュースがほとんど無菌状態になる、硫黄系成分が蒸散し不快な臭いが消える
→ワールプール、凝固した成分・ホップ粕を重力・遠心力で分離する槽
→冷却機で冷やされて発酵槽に移動させる

・ビール作り用の水
…カルシウムイオンが多いと味が固くなる、
重炭酸塩が多いとムギジュースの煮沸の際に雑味成分を多く溶出させキレが悪くなる
→軟水は淡色ですっきりさのある上品な苦味のピルスナーを作るのに最適、
硬水は濃色で重厚さのある味わい深いペールエールを作るのに最適

・ホップ
…アサ科のツル性の植物
(1)ファインアロマホップ、苦味・香りが上品な最高級のホップ
(2)アロマホップ、苦味の質もよく香りがファインアロマホップより強いホップ
(3)ビターホップ、香りより苦味の量が重視されるホップ
→クラフトビールではシトラス系・フルーティ系の香りを持つホップが使われる


6-24. ❸発酵
…ムギジュースにビール酵母を加えて置いておく、マルトースからアルコール・香りが作られる、若ビールができる

・サッカロミセスセレビシエ
…エールビールを作る時に使われる酵母、エール酵母、ビール醸造用の特定の酵母株だけ使われる

・サッカロミセスパストリアヌス
…ラガービールを作る時に使われる酵母、ラガー酵母
→サッカロミセスセレビシエ(清酒酵母)・サッカロミセスユーバヤヌスのハイブリッド

・ブレタノマイセス
…ワインを作る時に使われる野生の酵母

・初期に十分量の酸素を吹き込む
…酵母が活性して発酵が適切に行われる
→発酵の進み具合はエキスの消費量でわかる、発酵が進まなければ温度を上げ、発酵が進みすぎていれば温度を下げる
→酢酸エチル・酢酸イソアミル・カプロン酸エチルが作られる
→不快な臭いを持つジアセチルが作られる
→上面発酵・下面発酵ともに発酵終了時に酵母がタンクの底に沈むため回収する、酵母はよく洗浄して酵母についた苦味成分・タンパク質・ポリフェノールを落として次回の発酵まで清潔な冷水にさらしておく

・ビール酵母以外の微生物を用いる発酵
(1)ランビック、ベルギーのビール、自然の発酵によるビール、醸造所に住んでいる野生の酵母・乳酸
菌など、ワインに使われたオーク樽で熟成、乳酸菌による酸味が特徴、チェリーやカシスなどのフル
ーツを漬けて再発酵させたビールも有名、シャンパンのような風味
(2)ベルリナーヴァイセ、ドイツのビール、酵母・乳酸菌の混合発行によるビール、酸味が強くシャン
パンのような泡と清涼感がある

・凝集性
…酵母が塊となって沈む性質、酵母の系統によって異なる遺伝的特性
→速く沈む酵母の研究、凝集に関わる遺伝子により酵母表面にレクチン様タンパク質が作られる、麦芽糖・ブドウ糖が存在していると酵母が凝集しにくい
→発酵初期はムギジュースの麦芽糖・ブドウ糖がたくさんあり
レクチン様タンパク質は凝集せずにムギジュースの栄養を取り込んで発酵を進める、ムギジュースの麦芽糖・ブドウ糖がなくなってくるとレクチン様タンパク質は糖鎖と作用して酵母同士が凝集し沈む、ビールと酵母が分離する
→凝集に関わる遺伝子のある部分が染色体の別の部分と置き換わったり脱落したりするためレクチン様タンパク質の機能が失われることがある
→凝集性が変化した酵母の比率を確認して管理できる、酵母を丁寧に扱う、世代を重ねすぎない、栄養・温度・酸素を適切に保つ

・下面発酵酵母は上面発酵酵母と低温発酵酵母のハーフ
…ポストゲノム研究、ヨーロッパで使われ始めた下面発酵酵母の由来が南アメリカにある
→南アメリカのパタゴニア地方由来の低温発酵酵母が大航海時代にヨーロッパに渡った可能性、醸造所の中でヨーロッパの上面発酵酵母と交わった
→大航海時代前に下面発酵酵母は発見されたのでは?
→チベット地方由来の低温発酵酵母がシルクロードからヨーロッパに渡った可能性


6-25. ❹熟成
…タンクの中で保存する、残っているエキスを酵母で再発酵させて生じた炭酸ガスをビールに溶け込ませる
→残った酵母によって不快な臭いを消す、低温下におき不溶物を沈めて濁りにくいようにする

・発酵終了温度から0℃付近へ冷やす
…酵母・不溶物が沈み原酒は澄む、沈んだ酵母・不溶物は雑味・泡持ち低下の原因になるため除去
→不快な臭いを持つジアセチルは酵母に再び取り込まれて不快な臭いを持たない成分に変換

・ドライホッピング
…熟成中にホップを入れる
→煮沸時に比べてホップ成分の特徴をより強くつけれる


7. ウィスキー 24項目

7-1. ウィスキーで待つこと・循環する自然の力による熟成の素晴らしさを実感できる
…現代社会は待てない社会、モノ中心の社会、
つかめるモノ・数字で測れるモノに意味があるという価値観に向かいやすい


7-2. ウィスキーの個性
…ニューポットの個性+樽の個性+環境の個性


7-3. モルトウィスキー
…オオムギを原料にアラビア式の単式蒸留器で作ったウィスキー
→ラウドスピリッツ、主張する酒
→土地が作るウィスキー、土地由来の名前

・シングルカスク
…1 つの蒸留所の 1 つの樽から作られたモルトウィスキー

・シングルモルト
…1 つの蒸留所の複数の樽から作られた酒を混ぜたモルトウィスキー

・ヴァッテッドモルト
…複数の蒸留所の複数の樽から作られた酒を混ぜたモルトウィスキー


7-4. グレーンウィスキー
…トウモロコシ・ライムギとオオムギを 5:1 で混ぜた原料に
イギリス式の連続式蒸留機で作ったウィスキー
→サイレントスピリッツ、沈黙する酒


7-5. ブレンデッドウィスキー
…モルトウィスキーとグレーンウィスキーをブレンドしてバランスをとったウィスキー
→人が作るウィスキー、人由来の名前


7-6. バーボンウィスキー
…トウモロコシを原料にイギリス式の連続式蒸留機で作ったウィスキー


7-7. フレーバリングウィスキー
…ライムギを原料にイギリス式の連続式蒸留機で作ったウィスキー


7-8. ベースウィスキー
…トウモロコシを原料にイギリス式の連続式蒸留機で作ったウィスキー


7-9. スコッチ
…スコットランドのウィスキー、モルト・グレーン
→スモーキーさがある


7-10. アイリッシュ
…アイルランドのウィスキー、ストレート・グレーン
→スモーキーさ・すっきりした軽さがある
→アメリカの禁酒法でダメージを受けた


7-11. アメリカン
…アメリカのウィスキー、バーボン
→新樽の香りがある


7-12. カナディアン
…カナダのウィスキー、フレーバリング・ベース
→荒々しさがある
→アメリカの禁酒法で恩恵を受けた


7-13. ジャパニーズ
…日本のウィスキー、モルト・グレーン
→優しさ・まろやかさがある
→ペリーが江戸幕府に献上して伝わった


7-14. ウィスキーのルーツ
…メソポタミア時代、蒸留が発明される、花の蜜から香水を作るため、ビールが生まれる
→古代エチオピア、ビールが蒸留される
→8世紀、アラビア、醸造酒を蒸留する技術が普及、生命の水、アクアヴィテ、ウィスキーはウシュクベーハの訛りが語源、ウォッカはヴァダが語源、
ブランデーをオードヴィーと呼ぶ
→ケルト人の移動でウィスキーがアイルランド・スコットランドに伝わる
→18 世紀、イギリス、ウィスキーに高い税金がかけられたことで密造が増える、売るチャンスが来るまでシェリー樽の中で保存、売る時に開けると琥珀色のまろやかな香りをもつ液体に変化していた、政府公認の酒になる
→連続式蒸留機が発明される、味・香りがクリーンで軽やかになる


7-15. クェルスラクトン
…ココナッツの香りを持つ成分、水酸基・カルボキシル基がエステル結合して環状になったもの、オーク材特有のラクトン類、落葉性のオークに含まれるが常緑性のオークには含まれない、タンニンの分解とともにウィスキーへ溶出する


7-16. ・タンニン
…味・香りを持つ成分、活性酸素の消去も行う、タンパク質・金属と激しく反応する、虫・微生物に反応して侵入を阻止、皮を柔らかくする


7-17. フルフラール
…アーモンドのような香りを持つ成分、チャーによってヘミセルロースが加熱分解されて作られる


7-18. バニリン
…バニラのような甘い香りを持つ成分、チャーによってリグニンが加熱分解されて作られる
→リグニンの加熱分解、アルコール型の化合物がエステル化反応を進める、
アルデヒド型の化合物がアセタール化反応を進める


7-19. オイゲノール
…独特な快い香りを持つ成分


ウィスキーができるまで

7-20. ❶製麦
…発芽したオオムギを乾燥させる、麦芽ができる

・二条種のオオムギを用いる
…デンプンの含有量が多い、タンパク質も含む
→六条種は食品に用いられる
→オオムギの種子は発芽する時にデンプンを分解する酵素を自分で作り出せる、発芽の際にまずこの酵素を作り出す、酵母はデンプンを菌体内に取り込むことができないためマルトースなどに分解する必要

・収穫したオオムギを水分が 12%以下になるまで乾燥させて貯蔵する
…眠り、貯蔵している間に芽を出すためにデンプンを消費しないように、
1年以上品質を落とさずに貯蔵できる
→浸麦、眠りから覚ます、種子の重さの 30〜45%くらいの水を吸収させる、
15〜20℃の水で浸水・断水を繰り返して空気を送風
→発芽、目覚めさせる段階であえて発芽させて種子中に酵素を作らせる、
種子を指に挟んで擦って評価する、細胞壁も分解しているため
→焙燥、デンプンが消費されすぎない段階で再び種子を乾燥させる、
なるべく速く温度を上げずに水分が 5%くらいになるまで乾燥させる、2 段階、酵素の活性を失わないため、酵素の活性を失うと❷❸で支障をきたす、
ピートを燃料にして熱する、炭化の進んでいない石炭、
ピートの香りが麦芽に吸収されるとウィスキーにスモーキーな香りが出る
→麦芽ができる、モルト

・スモーキーな香り
…揮発性フェノール化合物が中心、ベンゼン環の水素原子が水酸基に置換されたもの


7-21. ❷仕込み
…糖化、乾燥させたオオムギを砕いてお湯を加えて高温に保つ、
オオムギのデンプンが分解酵素の働きで分解されて糖類が溶け出す、ムギジュースができる

・麦芽を粉砕して 4 倍領の温水に入れて 60〜65℃で保つ
…麦芽のデンプン分解酵素でデンプンをマルトースに変える、
発酵の時に酵母が麦芽由来のデンプンを利用できるように
→麦芽を入れた液を仕込み槽の底から自然濾過で取り出す
→冷却機で冷やされて発酵槽に移動させる
→80℃の温水を入れて同じ操作を繰り返す
→麦芽のタンパク質もタンパク質分解酵素でアミノ酸がつながったペプチドに変換されてムギジュースに溶け出す、発酵でフーゼルアルコール・カルボン酸・エステルに変換される
→麦芽の植物油脂からのリノール酸・脂肪分・ビタミン・ミネラルもムギジュースに溶け出す、発酵で酵母が活躍するために欠かせない

・穀皮は濾過材になる
…糖化できないが仕込み層の底に沈んで濾過板上に層を作る
→麦芽の粉砕が細かくなると濾過がうまくいかなくなる
→細かい粉(フラワー)が10%・中くらいの粉(グリッツ)が 70%・大きい粉(ハスク)が20%になるような粉砕が適切とされている


7-22. ❸発酵
…ムギジュースにウィスキー酵母を加えて置いておく、
マルトースからアルコール・香りが作られる、発酵モロミができる

・サッカロミセスセレビシエ
…ウィスキーを作る時に使われる酵母、ウィスキー醸造用の特定の酵母株が使われる、ディスティラーズイースト
→ウォッカ・ジン・ラム酒などアルコール度が高いお酒を作るのに使われる

・サッカロミセスセレビシエ
…エールビールを作る時に使われる酵母、エールビール醸造用の特定の酵母株が使われる

・ウィスキー酵母・エール酵母を同時に働かせる発酵
…ウィスキーの味の厚み・香りの複雑さが増す
→すぐに死んでしまうエール酵母の生存時間を長くなってウィスキー酵母の生存時間が短くなる、エール酵母が成熟エール酵母へ、細胞の中の液胞では生命維持に必要な成分を貯めるようになる、エールビールを飲む人が減ったためウィスキー酵母のみで発酵を行うスコッチも多い

・ウィスキーの発酵では発酵中の温度調節をしない
…発酵中に温度調節をすると発酵モロミの香りが貧弱になるため自然に任せる
→発酵中の最高温度が 32〜33℃になるように発酵開始のムギジュースの温度を 18〜20℃にするだけ
→30時間、アルコール発酵、酵母が活躍して糖分をエタノールに変換
→死滅期、40〜70 時間、乳酸菌が酵母と入れ違いに活躍する、
ウィスキーの発酵温度は 30℃付近であるため乳酸菌が活躍しやすい
→酵母と乳酸だけの世界を作る、乳酸が作られ水素イオン濃度が上昇すると雑菌をはじめとする他の細菌は侵入できなくなる、発酵槽は木でできているため安定して共同作業ができる、乳酸菌は発酵前半には木桶の表面でひっそりしていて発酵後半で木桶の表面から顔を出して酵母が食べれなかった糖分・ビタミン・ミネラル・死んだ酵母を利用して活躍
→後半は発酵モロミが熟成する時間、極めて重要、クリーミーさ・複雑さを与えると同時にクリーンさ・軽やかさを追加する

・オートファジー
…飢餓状態の細胞は生きるために小器官を細胞膜に包んで取り込み分解することで細胞構成成分を作り変える
→神経細胞のような寿命の長い細胞はオートファジーで細胞内にゴミが溜まらないようにする、神経変性・腫瘍形成を防ぐ


7-23. ❹蒸留
…発酵モロミを蒸留する、ニューポットができる

・ポットスチル
…特殊な形状の銅で作られた単式蒸留器
→釜、発酵モロミを入れて熱して沸点の低い成分を蒸発させる
→釜と冷却機をつなぐパイプ、
→冷却機、蒸気を冷やして凝縮させる
→ポットスチルの形が異なるとできるニューポットの質も異なる、
分縮・泡効果の影響をうまく使うため

・分縮
…蒸留器の壁に触れて冷やされて凝縮し釜に戻ってしまう
→再び蒸留されてエタノールの純度が高くなる、味・香りの成分が流出する度合いに影響
→ポットスチルの形を変える

・泡効果
…蒸留中の泡が破裂すると本来蒸発しない成分がしずくとなって上昇気流に乗って流出する

・銅で作られる理由
…蒸留で発生する硫黄系の不快な臭いが蒸留液に入らないようにするため、脂肪酸も入らない

・ウィスキーの蒸留は2度
…初留、5〜8時間、発酵モロミの低沸点成分が蒸留液に移る、
発酵モロミの成分の熱分解・化学反応で香り成分が作られる、
エタノールはほぼ出尽くすまで採取される
→再留、6〜8時間、3段階に分かれる、
前留で出る液体は刺激性の強い成分を多く含むためニューポットに入れない、
後留で出る液体は雑味のもとになる蒸発しにくい成分を多く含むためニューポットに入れない

・蒸留でどのような成分が取り出せるかを予測
…低沸点成分の沸点がわかればいいのでは?
→成分の蒸発のしやすさは沸点だけでなく成分の濃度・水やエタノールに対する親和性によっても
左右される、釜に残る発酵モロミのエタノール濃度は刻々と変化する
→発酵モロミに含まれる成分の蒸留中の挙動はエタノール基準で考える
(1)蒸留を通してエタノールより蒸発しやすい
(2)エタノール濃度が高い蒸留前半ではエタノールより蒸発しやすく、
エタノール濃度が低い蒸留後半ではエタノールより蒸発しにくい
(3)蒸留を通してエタノールと同じ蒸発のしやすさ
(4)蒸留を通してエタノールより蒸発しにくい

・連続式蒸留機の発明・普及は税金対策から
…イギリスはポットスチルの釜容量に対して税金をかけた、
釜を大きくしなくても効率よく蒸留できないか?を必死に考えた
→税金を取り立てる側の人が連続式蒸留機を改良して特許を取得、
客観的視点から優秀さ・おもしろさを見出す


7-24. ❺熟成
…オーク材の樽の中で保存する、短くて 5 年、通常は 10 年、長くて 20 年、99%の時間を熟成に使う
→手を加えることで熟成するのではなくひたすら保つことで熟成する
→熟成期間が長いとは通常よりも品質の伸びが長かったということ

・ニューポット由来の成分
…アルデヒド成分・アルコール成分・カルボン酸成分・エステル成分・β-ダマセノン、フェノール化合物、揮発成分が中心

・熟成で起こる反応
(1)酸化、原酒に空気が溶け込んだ際に酸素によって原酒の成分が酸化される、エタノールの酸化によってアセトアルデヒド・酢酸になる、スルフィド類の酸化によって不快な臭いが弱まりエタノールと共に蒸散
(2)アセタール化、アセトアルデヒドがエタノールと反応してアセタールに変化する、ジエトキシエタン
(3)エステル化、エタノールと酢酸・カルボン酸の脱水縮合でエステル成分に変化する、酢酸エチル
→エステル同士の交換反応、アルコール・脂肪酸は炭素数の多い高分子側にシフト、エステル成分は低分子側にシフト、すっきりした香り・フルーティな香りをウィスキーに与える
→樽由来の成分で酸化が速く進む、香りのもとになる低沸点成分・不揮発成分が樽から溶出する、色が琥珀色になる

・樽
…人類最大の容器革命、紀元前 1 世紀ローマ
→オークから作られる、チロースというキラキラ光る泡状の充填物が詰まっている
(1)ホワイトオーク、ウィスキーは軽く甘いバニラ・ココナッツの香りがする(2)リムザンオーク、ウィスキーはポリフェノール・タンニンが強く現れるため濃い赤みを帯びて重厚な味・香りがする
(3)ミズナラオーク、ウィスキーは甘く華やかでお香を想像させるような香りがする
→5種類の樽、パンチョン・シェリーバット・ミズナラ樽・ホッグスヘッド・バーレル、樽の容量が小さい場合はウィスキーと樽とが接触しやすいため影響が強く出る
→両端を絞って湾曲させた形の樽の中でないと熟成しない、和樽とは異なる
→熟成の反応器としての役割を持つ、
外界の微妙な湿度・温度の変化を感じ取って樽の中のウィスキーに伝える

・柾目取り
…材木を髄から樹皮に向かって放射状に切り出す方法、無駄の多い贅沢な切り出し方
→漏れのない樽を作るため、樽材の表面と裏面をショートカットする形で導管・放射組織が走るとそれを通ってウィスキーが漏れる
→柾目取りした材木をしっかり自然乾燥させる、水分が残っているとウィスキーに木の香りがつき熟成中に乾燥が進んで収縮し材と材の間に隙間ができてウィスキーが漏れ出す、乾燥度の異なる材を組み合わせると収縮度が異なるため歪みが生じて割れ・ヒビが起きる、人工乾燥させると材に歪みが生じて割れ・ヒビが起きる
→木材が選別されて樽に組み立てる、帯鉄で胴の部分を巻いて締めることで樽が崩れない

・チャー
…樽の内側の火で焼く
→強すぎる木の香りを弱める、樽からの抽出される味・香りの成分が増える

・履歴も大きなポイント
…樽が何度使われているか、作るウィスキーによって最適な履歴は異なる
→樽の寿命は70年、7 回くらいの熟成に付き合う
→現在は樽の材木が高価な家具・フローリング材として再生される、
真っ直ぐな状態に戻す技術が開発された

・樽からの溶出
(1)抽出
…オーク材に含まれる成分がそのまま溶出し原酒に溶け込む
→琥珀酸、特徴的な味、味噌・醤油・日本酒に含まれる
→酢酸、オーク材の中に多糖類と繋がって存在
→β-シトステロール、コレステロール吸収を抑える、極めて微量

(2)エタノリシス
…オーク材に含まれる高分子成分がエタノールで分解されて徐々に溶け出し
原酒に溶け込む、幹の部分の分子、非常に重要な役割
→エタノリシスに最適なエタノール濃度は 60%、
ニューポットが樽に入れられる時のエタノール濃度、
エタノールがオーク材の中に浸透するのに最適な濃度、
エタノールの親水性・疎水性のバランスがオーク材の成分を溶かすのに最適な濃度、酸素が溶けやすく酸化反応の着実を着実に進める、
水分活性が抑制され脱水縮合に向かわせアセタール化・エステル化を着実に進める

・高分子成分
…心材部分、細胞が死んでいるが樹木を支える役目をしている、分解されにくい細胞壁を構成
→セルロース・ヘミセルロース・リグニン、コンクリート・針金・鉄筋
→グルコースの結合の違い、セルロースは強固で空間に余裕がない、
デンプンは螺旋状で空間に余裕があるため消化酵素が作用して分解できる

・ウィスキーコンジェナー
…樽由来の不揮発成分
❶エタノールの水和シェルを安定化させる、エタノール濃度 60%の融解、
凍結させた後の融解は再現性よく測定できる、熟成する前と後でサーモグラムを比較する、
熟成した後では水和シェルを作る水の量が増えている、エタノールが安定化しまろやかさを生む

❷エタノールの粘膜刺激を和らげる、ゲートコントロール理論、強い刺激は抑制に働く、
ポリフェノールの粘膜刺激によってエタノールの粘膜刺激は抑制に働く、
ハイボールを飲むと炭酸ガスの粘膜刺激とエタノールの粘膜刺激が同時に受容されると
エタノールの粘膜刺激は抑制に働く

❸エタノールの粘膜刺激の際に発生する活性酸素を消去する、
血管が拡張した状態でエタノールによる粘膜刺激が起こると活性酸素が発生し過剰分泌されると炎症が起きる、エタノールの辛さが増して長引くためキレが悪くなる、
ポリフェノールが活性酸素を消去することでキレが維持される

・気温が高くなく湿度の高い環境が最適
…気温が高いと蒸散していく、乾燥していると樽に割れ・ヒビが起きやすい
→樽からの蒸散量・樽への含侵量との関係とは?蒸散量が多いとき含侵量が少ない、樽材の中を通って蒸散している原酒は少ない、含侵量が多いと樽の密着度が高まって密閉される
→ウィスキー樽は呼吸をしている、気温の上下に伴って原酒が酸素を吸ったりエタノール・成分を吐き出したりする
→天使のわけ前、最初の年は 2〜4%蒸散する、それ以降は年に 1〜3%蒸散する
→蒸散と同時に空気が入る、酸素が原酒に溶け込むと原酒の酸化反応を促す、熟成とはエタノールなどのウィスキーの成分が酸化すること
→空気だけでなく水も出入りしている、エタノール濃度はエタノールの蒸散量・水の蒸散量のバランスで決まる、温度が高く乾燥していると熟成後のエタノール濃度が熟成前を超える
→エタノール・水のバランスの変化が樽の成分の溶出・化学反応に影響を及ぼす


8. 日本酒 27項目

8-1. 吟醸酒
…コメ・麹・醸造アルコールを原料に精米歩合 60%以下で作った日本酒
→コメがたくさん必要で精米に時間がかかる、低温発酵・袋搾り・瓶火入れ
→常温・冷酒に向いている、薄い味の料理に合う
→吟醸酒・本醸造酒・純米酒・本醸造酒の順番がコースに合う可能性


8-2. 大吟醸酒
…コメ・麹・醸造アルコールを原料に精米歩合 50%以下で作った日本酒


8-3. 純米酒
…コメ・麹を原料に作った日本酒、麹米の使用割合が15%以上
→燗酒に向いている、コハク酸・アミノ酸は温めると美味しく感じる、濃い味の料理に合う


8-4. 純米吟醸酒
…コメ・麹を原料に精米歩合 60%以下で作った日本酒


8-5. 純米大吟醸酒
…コメ・麹を原料に精米歩合 50%以下で作った日本酒


8-6. 特別純米酒
…コメ・麹を原料に特別な製造方法で作った日本酒


8-7. 本醸造酒
…コメ・麹・醸造アルコールを原料に精米歩合 70%以下で作った日本酒
→燗酒に向いている、コハク酸・アミノ酸は温めると美味しく感じる、どんな料理にも合う


8-8. 特別本醸造酒
…コメ・麹・醸造アルコールを原料に特別な製造方法で作った日本酒


8-9. 樽酒
…杉樽の中で熟成された日本酒、杉の木の香り、赤味樽が使われる、甲付樽は樽割りに使われる
→ウォッシュ効果、日本酒は口の中に残る油の感じを軽減する、樽酒だと効果が強い
→お酒の成分と油の成分が混ざりやすくなって洗い流されやすい、
樽の中で貯蔵するとお酒の成分の界面張力が弱く油の成分と混ざりやすい
→日本酒は旨味を強く感じさせて感じる時間も長くなる、特に海産物、樽酒だと効果が強い


8-10. スパークリング日本酒
…甘口でアルコール度が低い日本酒、戦前から作られていた
❶活性清酒、発酵中の醪を布・ザルで濾過して火入れをしないでビン詰めしたもの
❷瓶内二次発酵清酒、発酵中の醪を粗く搾って酵母が含まれる状態でビン詰めをして再度発酵させてからビンごと殺菌する
❸炭酸ガス充填清酒、日本酒をビン詰めしてから炭酸ガスを入れる


8-10. 真紅の日本酒
…古代米を原料にする、玄米の外側に色素を含む
→麹菌の代わりに紅麹菌を使う、モナスカスプルプレウス、中国・台湾・沖縄で酒・豆腐に使う
→独立行政法人酒類総合研究所が開発した清酒酵母を使う、赤の色素を作る清酒酵母


8-11. どぶろく
…炊いたコメから作った酒、日本酒の原型、醪本来の味を楽しめる
→江戸時代まで庶民が飲む日本酒はどぶろくだった


8-12. 甘酒
…炊いたコメ・蒸したコメ・麹から作った飲みもの、一夜酒
→ノンアルコールで自然な甘味、麹によるデンプンの糖化だけが行われアルコール発酵がないため


8-13. 日本酒は様々な温度で味わえる珍しい醸造酒
❶雪冷え、5℃、氷水に浸した温度
❷雪冷え、10℃、冷蔵庫に数時間入れた温度
❸涼冷え、15℃、ひんやりしてると感じる温度
❹冷や、20〜25℃、常温、土間の温度
❺日向燗、30℃、温度が低いとも高いとも感じない温度
❺人肌燗、35℃付近、体温と同じくらいでぬるいと感じる温度
❻ぬる燗、40℃、体温より少し高めの温度
❼上燗、45℃、湯気が立つ温度
❽熱燗、50℃、熱いと感じる温度
❾飛び切り燗、55℃、持った瞬間に熱いと感じる温度


8-14. 日本酒のルーツ
…4世紀、百済の渡来人が酒作りを持ち込む、一夜酒、米芽を糖化剤として蒸したコメを糖化して作る酒
→奈良時代初期、古事記、米噛み酒、水に浸けて柔らかくしたコメを噛んで酒をつくる、清浄な巫女の仕事、噛むすが醸すに変化した・巫女を束ねる人が刀自で杜氏に変化したという説
→奈良時代中期、播磨国風土記、神に捧げた蒸米にカビが生えた、コウジカビを使うきっかけ
→平安時代、種麹が発明される、黄麹菌を繁殖させ胞子がついたものを選別して乾燥させたもの、日本酒業界ではもやしと呼ばれる
→江戸時代、そばと日本酒、そばが出てくる前に日本酒を 1 合飲む、挽きたて打ちたて茹でたて、日本酒を飲み終わったらそばで締めて切り上げるのが粋とされた、下り酒という関西からのお酒が半分
→正宗、灘の酒銘が江戸に広がってその人気にあやかる蔵元がたくさんいた、京都の寺で臨済正宗の経典を見て思いついた
→明治時代、商標条例、正宗は懇願者多数で受理されなくなったため〜正宗という商標になった、菊正宗、灘の地酒
→種麹を純粋培養する技術が開発される


8-15. 杉玉
…酒蔵の軒下に飾ってある、奈良県の大神神社の御神木の杉にあやかったもの、酒作りの神が祀られている、葉を束ねて飾っていた
→中世のイギリス、ブッシュ、植物の穂を飾る、モミ・イチジク・ブドウなど、バッカスにゆかりのある植物


8-16. 注連縄
…神聖な場所と外界を区切る結界、昔は日本酒作りが神事と切り離せなかった、自然・神のおかげで日本酒がうまくできた


8-17. 日本酒の香り
…コメ・麹ではなく酵素の働きで作られる香り
→人工的に香りをつけることは禁止されている


8-18. カプロン酸エチル
…青リンゴ・熟したナシのようなフルーティ系の香りを持つ成分


8-19. 酢酸イソアミル
…バナナのような甘い香りを持つ成分


日本酒ができるまで

8-20. ❶精米
…コメのタンパク質・脂肪を取り除く、タンパク質・脂肪は雑味のもとになる

・醸造用のコメを用いる
…精米中に砕けにくい、粒が大きい、心白というコメの中心の形・大きさ・位置が適切、外側が硬く内側が軟らかい
→食用に比べてアミロースが多くアミロペクチンが少ないためパサパサして硬い

・堅型精米機を使う
…食用米の精米機とは異なる
→細長い玄米から球状になるように削る
→タンパク質はコメの表面に使いほど多く存在するため表面を均等の厚みで削る考えもある
→時間・回転数などの複雑な調整が必要
→枯らし、精米後はコメが摩擦熱を持っているため倉庫で 3〜4 週間くらい冷やす

・良い白米
…胚芽・コメ表面の溝が十分に削られている、コメの表層部が均一に削られている、コメの粒の形が揃っている、割れ・砕けがない

・精米歩合
…玄米の重量に対して白米の重量がどれくらいの割合か
→見かけ精米歩合、玄米100kgを精米して白米が23kgになれば精米歩合は 23%、獺祭は磨き二割三分とうたった
→コメ1粒1粒の磨かれ具合にバラつきがあり砕けたコメも含まれる
→真精米歩合、玄米1000粒と精米後の白米1000粒を比較する
→精米歩合 40%まで磨けば十分、精米歩合が低いほど日本酒の質が良いとは限らない

・米糠
…玄米から精米して白米にする際の削りかす
→精米歩合が低いほど多くなる
→赤糠(一番外)・中糠(真ん中)は肥料・飼料になる、
白糠(一番内)はほとんどがデンプンで米粉として使われる、煎餅・団子


8-21. ❷洗米・浸漬
…コメについている米糠を落としてコメに水を吸わせる

・水流を利用して洗う
…コメとコメを擦り合わせると砕けてしまう
→洗い終わったら水に浸けて芯まで水を吸わせる、
水を吸いすぎるとコメを蒸した際にやわらかくなりすぎて麹造りがうまくいかない
→新米かどうか・豊作の年だったかなどで吸水率が異なるため調整する、
精米歩合が低いと吸水速度は速い


8-22. ❸蒸米
…コメを蒸して麹菌を繁殖しやすくする
→蒸したコメは❸❹❺で使われる

・一般的には連続式蒸米機が使われる
…ボイラーから熱風を送ってベルトコンベアの形で下から蒸気をあてる
→吟醸酒の仕込みではせいろを使う、
蔵の冷たい空気の中で蒸気が吹き上がり蒸し上がると若草のような香りがする

・コメを蒸す理由
…麹が作りやすく発酵がうまくいきやすいため
→コメを蒸すと水分量は35%、硬くなって米粒がくっつかず麹菌が繁殖できる表面積が大きい、
消化しにくいが溶解しにくいため糖化・発酵のバランスが安定する
→コメを炊くと水分量は65%、柔らかくなって米粒がくっつき麹菌が繁殖できる表面積が小さい、消化しやすいが溶解しやすくなるため糖化・発酵のバランスが崩れる


8-23. ❹麹造り
…蒸したコメに麹をふりかけて麹菌を繁殖させる、糖化、
白米の全使用量の 25%を麹造りで使う、麹ができる
→麹の出来によって酛・醪の出来が決まる

・麹
…コメ・ムギ・ダイズでコウジカビを繁殖させたもの、
黄麹菌(日本酒・味噌・醤油)、白麹菌(焼酎)、黒麹菌(焼酎・泡盛)
→コウジカビはカビの仲間だが無毒、アフラトキシンを作る機能を失っている
→コウジカビは醪で死滅してしまう、
コウジカビが死滅する前に作って外に出した酵素がグルコース・タンパク質を分解する
→ゲノム研究、固体培養でしか現れない遺伝子がいつくか存在する、
コウジカビは固体培養で大量に現れるグルコアミラーゼの遺伝子を持つが
それは液体培養で現れるグルコアミラーゼの遺伝子とは異なる、
固体培養で現れるグルコアミラーゼの遺伝子は水分量が少ない方が現れる

・麹室
…温度 30〜35℃、湿度50〜60%、雑菌が侵入しないように密閉状態、扉が二重のところもある
→酒蔵見学では納豆などを食べない、納豆菌は繁殖力が強く熱湯で死滅しない

・床もみ
…蒸したコメをもみほぐしてムラなく麹を付着させる
→布で包んで寝かせる、水分の蒸発による品質低下を防ぐ、10 時間おく
→切り返し、コメの塊をほぐす、10 時間おく
→木製の容器にうつして薄く積む、急激な温度上昇を防ぐ、容器を積み替えるなどしてコメの温度を 40℃くらいまで上げる
→枯らし、冷やすと同時に乾燥させる、手で握った時にパラパラ崩れるくらい乾燥してるのがいい、水分量が多いと麹の力が弱く雑菌に汚染される可能性が高い


8-24. ❺酛造り
…蒸したコメ・麹・水・清酒酵母から酛(酒母)を作る、
白米の全使用量の 7%を酛造りで使う、酛ができる
→清酒酵母・乳酸を純粋かつ多く含む酛、醪でアルコールを作り出し雑菌汚染を防ぐ
→どうやって乳酸を得るか?

・サッカロミセスセレビシエ
…日本酒を作る時に使われる酵母、日本酒醸造用の特定の酵母株だけ使われる

・生酛
…蒸したコメ・麹・水だけで仕込む、
→手酛、冷やしてある蒸したコメに麹・水を加えておけに入れる、数時間たったら混ぜる
→山卸、蒸したコメが溶解するまで時間がかかるためすりつぶす
→打瀬、酛をタンクに移して 3〜4 日低温で保つ
→暖気入れ、熱湯を入れた樽を軽く回して溶かしながら混ぜる
→徐々に温度を上げて天然の乳酸菌が増えタイミングで清酒酵母を加える
→発酵力が強くなりアミノ酸・ペプチドが多くなる

・山廃酛
…蒸したコメ・麹・水だけで仕込むが山卸を行わない、
糖化力が強い麹を使うことで蒸したコメをすりつぶさないでもよくなった

・速醸酛
…蒸したコメ・麹・水に人工の乳酸菌・酵母を加えて仕込む

・日本酒作り用の水
…酵母の発酵を促すカリウム・マグネシウム・リンを豊富に含む水
→豊富な湧き水が得られるため全て同じ水を使う、仕込みだけでなくコメを洗って漬ける水、道具を洗って熱湯殺菌するための水、酒蔵ないを清掃するための水
→灘の男酒・伏見の女酒、灘は硬水で発酵が進みやすく後味の引き締まった味、伏見は軟水で発酵が穏やかでまろやかな味
→鉄分の基準が厳しい、日本酒に色がつかないように、麹菌が蒸したコメの上で繁殖する時に作られるデフェリフェリクリシンが鉄分とつながるとフェリクリシンという褐色の沈殿物を作る
→デフェリフェリクリシンは医薬品・食品・化粧品へ応用できる、抗炎症・抗酸化作用、フェリクリシンも貧血予防に応用できる
→月桂冠がデフェリフェリクリシンを大量生産する技術を開発


8-25. ❺醪造り
…酛に蒸したコメ・麹・水を加えて発酵させる、
グルコースからアルコール・二酸化炭素が作られる、醪ができる

・三段仕込み
…酛の中に蒸したコメ・麹・水を 3 回に分けて仕込む、
一度に大量のコメ・麹・水を加えると酵母・乳酸菌が薄まって雑菌に汚染され腐敗につながる
→初添え、酛 1:蒸したコメ・麹 2、12℃
→踊、1 日休ませて酵母の密度を上げる
→仲添え、酛 1:蒸したコメ・麹 4、10℃以下
→留添え、酛 1:蒸したコメ・麹 7.5、8℃以下
→15〜17℃、20日
→10〜12℃、30日

・泡
…筋泡、水泡、岩泡、高泡、落泡、玉泡、地
→大量の泡が発生するのは清酒酵母特有
→泡が溢れると酵母・醪がこぼれて発酵が弱まる
→ゲノム研究、泡なし酵母、泡の周りに酵母が分散していた、
AWA1 遺伝子という遺伝子がタンパク質とつながって高泡が発生する
→泡なし酵母を使った場合は発酵の進み具合を知るために醪を採取して分析する

・限定吸水
…蒸したコメの状態を見極めて冷水で洗って吸水量を管理する
→吟醸酒では1%の給水量の差にもこだわる


8-26. ❻搾り
…醪を絞って原酒を取り出す、搾った後に残るのが酒粕

・袋搾り
…醪を酒袋に移して吊るしたり石を置いて圧力をかけたりして搾る、
→自然濾過、あらばしり、最初は濁った原酒が出る、後から透明な原酒が出てくる、袋に酒粕が残る
→吟醸酒を作る時に行われる

・濾過
…粉末の活性炭を使う、原酒はコメの研ぎ汁のような色をしているため
色・雑味成分を吸着させて取り除く
→濾過しすぎると旨味・香りも吸着されて無くなってしまう

・火入れ
…60〜65℃で加熱殺菌する
→ラクトバチルスホモヒオチ、日本酒を腐らせる乳酸菌、アルコール耐性が強い、従来は木樽を消毒できなかったためラクトバチルスホモヒオチが入り込んで日本酒が腐って倒産した蔵元もあった
→品質を劣化させる酵素の作用を止める
→灰炭、醪を搾る前に木炭を入れる、火入れが発明される前、平安時代の新嘗祭用の酒、甘くとろみがあり木炭独特の香りを持つ、最古の低温殺菌法
→吟醸酒ではビンに詰めてから湯煎殺菌する


8-27. ❼熟成
…タンクの中で保存する

・熟成で味がまろやかになる
(1)エタノール分子を囲む水分子のクラスターが大きくなる
(2)水分子のクラスターの隙間にエタノール分子が入り込む
→エタノールの刺激臭が抑えられ味・香りもやわらかくなる


おわりに

ここまでご覧いただき、ありがとうございます。
修正の際は、番号を指定して、フォーマットをなんとなく合わせていただけると助かります。

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