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【完結】ディストピア長編小説「牲愛」 あとがき

3月31日より連載しておりました長編小説「牲愛」が、4月16日をもちまして完結いたしました!

↓うまくリンクカードにならなかったのですが、こちらから本編をお読みいただけます

https://sutekibungei.com/novels/664486c5-d16e-4cf6-a260-2fb54093a861


連載にお付き合いくださいましたみなさま、ありがとうございました!

毎日1話ずつの更新はエンディングまで到達したわけですが、本編はいつでも無料公開中ですので、これからはお好きなペースで、お好きなだけ読んでいただくことができます。

挑戦中の「ステキブンゲイ大賞」では、ページビュー数なども審査の観点の一つです。
読んでくださることが応援になります、ぜひご一読いただけますと嬉しいです。


ここで改めて、あらすじとあとがきのようなものを少し。


――私が初めて犯されたのは、7歳の時だった。
壁で囲まれた繁華街「華街(はなまち)」の近くに住む「私」は、国に奉仕する「令嬢」となることを運命づけられている。母親の意向で華街の中に建つ名門校に通う「私」だが、学年が上がるごとに疑問と違和感が増していく。 ある日の放課後、同じクラスの花が「私」に秘密を打ち明ける――花は禁じられた文字を読み書きすることができたのだ。 「私」は自分を取り巻く日常から、「需要」からの脱出を試みる。その先に待つのは路地裏、仕事、別れと出会い。 「私」に常につきまとう「需要」は、どこまで行けば彼女を離してくれるのか。 遠い将来、あるいは近い未来。一人称型ディストピア。

※この作品はフィクションであり、作中に登場する個人名・団体等は架空のものです。
筆者はあらゆる暴力と人権の蹂躙に反対します。

ステキブンゲイ作品ページ「牲愛」より



最初にことわっておくのですが、これは作品形態が一人称小説をとっているだけで、作者の実体験ではありません。

資料をめちゃくちゃ読みました。巻末に「主要参考文献」のページをつけていますが、ここに記載のない、読んだ上で設定を変更したから使わなくなった情報やWebページもたくさん。


実体験ではないけれど、同じような鬱屈や搾取や心の傷を体験している人、記憶に覚えがある人は、今現在も増え続けているという腹立たしい現実に私たちは覆われているのではないでしょうか。

あんまり作者が強い思想を打ち出していると敬遠されてしまうかもしれないけれど……。どこかでだけは書かずにはいられませんでした。

もちろん、作品は誰かに読まれた時点でその「誰か」のものにもなります。

荒唐無稽なエンターテインメント小説として読む人がいても、それはそれでいいのです。

読む人の数だけ受け取り方があるのと同じように、作者も人間ですから、「こういう思いを込めたよ」とひっそり書き留めておく場があっても良いのではないか……。そんなふうに思いました。


「私」ちゃんの体験のほとんどは僕の実体験ではないけれど、女性が性的な対象として見られる傾向が強いことに異様さや気持ち悪さを感じるきっかけになった出来事は僕にもあります。

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