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ひとりの不買が業界を滅ぼすか?

どうも。直也(無気力)です。

疲れている時に限ってTwitterを見続けてしまい、第1話のみ無料公開されている良さそうな漫画のツイートなどが目に飛び込んできたりする。

そのたびに、僕たちは申し訳なくなる。

疲労が自他の境界線を揺らがせ、出会ったばかりの物語の売れ行きが、すべて自分の双肩にかかっているような錯覚に陥ってしまうのだ。

作者さんががんばって描いたもの、つくったものを、無料で読ませてもらってしまって申し訳ない。
試し読みしたからには、買わなければならないような。

そうしないと作者に印税は入らず(たいていの出版契約では作者への印税10%と聞き及んだことがあるので、仮に1000円の本を買ったとしたら100円ぶん応援できることになる)、
出版社は儲からず、ひいては出版業界全体の衰退につながってしまうのではないか……。
そんなことまで考えて、息苦しくなってしまうのだ。

以前はここから果てしない自己否定と批判が始まっていたのだが、数ヶ月前に「これは疲労によって精神の境界線が不具合を起こしているだけだ」と気づいた。

すべての漫画を買い占める程度の財力は持ち合わせていない僕たちを責める必要はなく、やるべきはスマホの画面を閉じて(時には視線を引き剥がして)休むことだった。
僕たちは15分でも、30分でも眠ることで、かなり精神をととのえることができている。

休むと、冷静になれる。

僕たちは本当にそのマンガを、本を買いたいだろうか?
罪悪感からではなく?
貯金を切り崩してまで購入する算段をつけようとしている今「申し訳ない」という気持ちだけで動いてはいないだろうか。

罪悪感から購入を決めた本には、罪悪感がつきまとうように感じる。
届いた本を見た時、本棚にしまった時、読んでいる時おりおりにその罪悪感を思い起こしてしまうのは嫌だし、それこそ本をつくっている人たちに申し訳ない関わり方な気がする。

……というように、一旦休んだあとだとだんだん考えを広げていくことができる。安全な境界線の内側から。

出版業界は斜陽といわれて久しい。
確かに誰も買わなければ、業界は潰れてしまうだろう。

だが本が好きで、大好きな作家や出版社やシリーズ作品を持っているのは、なにも世界に僕ひとりではない。
これまで周りに本好きが少なかったから、仲間がいないように感じているだけなのだ。

そう自分に言い聞かせて、モノとの健康的な距離を保っておこうとしている。


画像はPixabayよりお借りしています。


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