ジブリ『耳をすませば』的な恋愛はもう生まれないんだなぁ【未来の恋愛を考える】
大好きな作品『耳をすませば』
スタジオジブリの作品『耳をすませば』は好きな作品のひとつです。
本好きのパートナーっていうのも、主人公の雫が作家を目指しているというのも、多感で受験を控えた中学3年生であることも、ほとんどすべてが憧れと共感のもと。
けれどふと思うことがありました。
「『耳をすませば』で描かれる形式の素敵な恋愛って、現代ではもう起こりようがないのでは……?」
図書館のデジタル化
2021年現在、図書館ではデジタル化が進んでいると感じています。
蔵書の裏にはバーコードが貼られ、それを「ピッ」と読みこむことで本の情報が表示される。
貸出カードを読ませてから本をスキャンしていけば、「誰が、いつ、何を、いつまで」借りるのかが、データに残るというわけです。
私が小・中学生の時は、もっと古典的な方法でした。
裏表紙をめくったところに「貸出カード」を入れる茶色いポケットが貼りつけられていて、本を借りたい人はそこと、個人のカードに名前や日付を書くのです。
鉛筆やボールペンで書き、それを司書の先生に渡して(あるいは、所定の箱に入れて)貸出完了。
このスタイルだと、この本を前に借りた人が誰なのか、すぐ見て分かるので、友達の次に同じ本を借りたり、校内の知り合いの名前を見つけて「あの人も読んだ本なんだ」などと知ることもできました。
『耳をすませば』のキーアイテム 貸出カード
『耳をすませば』で重要な役割を果たすのも、この貸出カードです。
主人公の雫は、自分が借りた本を、必ず先に「天沢聖司」が読んでいることに気づき、顔も知らぬ彼への想像を膨らませます。
この天沢聖司こそが今作のヒーロー(雫の相手役)であり、聖司はまさしく雫に気づいてもらうために、先回りして本をたくさん読んでいたのです。
雫が聖司の存在に気づけたのは、「貸出カード」に名前が書いてあるからでした。
これからの図書館恋愛の可能性を考えてみた!
私が小・中学生の頃、図書館は貸出カード方式でした。
しかし私が中学3年生の頃、「来年からはバーコード式になって、貸出作業が楽になるんだよ」と言われたことが。
また高校に進学すると、図書館は完全にデジタル化されており、カウンターに本を持っていくだけで貸出完了してもらえるように。
昔からある本には、裏表紙をめくったところに貸出カード入れがつきっぱなしになっていましたが、もうそこに貸出カードは入っていませんでした。
デジタル化の波はどんどん広がっており、近いうちにほとんどの図書館がデジタル化され、「貸出カード」は過去のものになってしまうのではないでしょうか。
「貸出カードで先回りして、自分の存在を知らせる」という非常に文学的な恋愛スタイルは、実現不可能になっていく可能性があります。
じゃあ、もし今後、図書館から恋愛に発展するとしたら、一体どんな展開が予想できるんだろう?
乏しい恋愛的想像力を駆使して、ひとつ考えてみました。
貸出カードがないので、気になる相手が読みそうな本を先回りすることは無意味です。
また、自分の図書館会員カードを持っていればスキャンで事足りてしまうので、気になる相手の名前を知る手段も限られます。
というか、幸運な偶然でも起きない限り、利用者同士では名前が分からないのでは?
そこで取れる手段は、毎日図書館に通うことではないでしょうか。
気になる相手が図書館に来る日付や時間をだいたい予想して、その時に「いつもおる人」になる。
心理学には「ザイオンス効果」と呼ばれる心理効果があり、何度も見る、触れる人物や対象のことを好きになっていくといわれています。
ことばを交わしたことがなくても、毎朝通勤電車で同じ車両に乗り合わせる人たちを、間接的な知り合いのように思う心理もこれでしょう。
その人がいつも行くジャンルの棚にいつもいて、それとなく存在感をアピール。
何かの拍子に声でもかけて、近隣のカフェでお茶でもすれば良いんじゃないでしょうか。
なんだか書いてるうちに「ストーカー的では……?」と思えてきましたが、天沢聖司のやり方も割とストーカーチックで分析的なので、おあいこかな?(;´∀`)
もちろん、恋愛はいろんな状況から発生するものですから、他にもいろんな可能性があると思います。
「貸出カード」を活用したやり方はこれからできなくなるかもしれないけれど、図書館によく通うということは、「本が好き」という共通点があるということ。
もしデジタル化された現代、または近未来を舞台にした図書館恋愛モノがあったら、どういう風に進展していくのか、作者の考えにめちゃくちゃ興味があります(≧▽≦)
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