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人としての品格

2、3年前だろうか。TVでバラエティー番組をみていた時に、韓国で実際に起きた感動的な話を紹介していた。 

それは、両親を事故で亡くした兄弟の話だった。高校生の兄は、7歳下の弟と祖母と、バイトをしながらその日暮らしをしていた。ある日、小学生の弟が「チキンが食べたい」と駄々をこねる

兄は、5,000ウォン(日本円で500円前後)しかなく、それ以上は払えない。韓国ではチキンは2万ウォン位が販売の最小単位らしい。近くのチキン店に「少しでも良いので、(所持金分のチキンを)売ってほしい」と頼んだが、相手にしてくれるところはなかった。

諦めようとしたときに、チキンチェーン店の看板を目にした。そこの店長は、もじもじしている兄弟を店に招き入れ、明らかに多いと分かる量のチキンを出してくれたという。食べ終わって、5,000ウォンを払おうとすると、店長はお金を受け取らずに「また食べたくなったら、いつでもおいで」と言ったそうだ。

それから1年。それまでの間、弟は兄に怒られるのを恐れて、こっそりチキンを食べに行っていた。
それを知った兄は、店長への感謝の手紙をチェーン店の本社に送ったそうだ。

手紙には、久しぶりに感じた人の温かさと弟が無銭で食べに行っていたことへの申し訳なさと恥ずかしさできちんとあいさつに行けなかったという心情が綴られ、「僕が大人になってお金をたくさん稼げるようになったら、貧しい人たちを助ける店長さんのような人になりたい」と書かれていたそうだ。 

本社の代表がその手紙を読んで、SNSで公開したことで、全国に感動が広がり、募金が寄せられたらしい。本社は、高校生の兄に奨学金を出したいと思い、呼びかけたが、その兄弟が名乗り出ることはなかった。 

ようやく本題にうつるが、チキンを無料で提供した店長の優しさも当然、心を打つが、(おそらく差出人住所も書かず、一切表に出なかった)その兄に対して、なんだか「品格」を感じる。 

一般的に「品格」とは、人の立ち居振る舞いや雰囲気とかに紐づけて、表現される言葉だ。
 
一方、私の解釈だと、品格はその人が持つ良い意味でのプライド(自尊心)だったり、尊厳のような気高さに近い。
 
金銭的に苦しくても、そんな心を持てるなんて、凄い。
 
私がその立場で、学費を援助してくれるというのであれば、「ありがとうございます!頑張ります!!」と施しを受けてしまいそうだ、笑。

常々、社会的地位や知名度を利用して、一部の政治家などお金に汚い人たちの話を聞くたびに、人の品格や品性とは何だろう、と考える自分がいる。
 
最近も、パワハラに加え、おねだり疑惑が浮上している某県知事が話題になっているが、結局、品格や品性はその人の生き方や人間性であって、地位や財産、輝かしい学歴・経歴など関係ないんだな、としみじみ思う。

「金持ち喧嘩せず」ではないが、お金にゆとりがあれば、比較的人は寛容になれる、とも言われているけれど、本当に自分が弱い立場になった時に、どれだけ心に「品格」を保っていられるだろうか。 

自問自答するたびに、今回のエピソードを思い出す。 

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