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原作とアニメ版そしてゲーム版のバディミッションBOND

※2021年2月14日 追記 一番最後に追記があるので、ネタバレがすごく心配な方は中身は見ないで一番下までスクロールして目を開けてください

 今回SwitchでADV化されたバディミッションBONDは、月刊Gファントムに連載されていたバディもの漫画を原作としている。
犯罪組織DISCARDを4人のメインキャラクターたちが追いかける話であり、単行本は19巻出ており完結済みである。こちらは2019年にアニメ化されていた。この漫画とアニメを元にそのゲーム化されたものが1月末に発売されたSwitch版のバディミッションBONDである。
以降はバディミッションBONDのストーリーに関するネタバレが含まれているため、バディミッションBONDを未プレイの方は気を付けて読んでほしい。


バディミッションBONDのこれまでの経歴

 漫画版の原作はO氏、漫画作画はM村氏によって2000年3月から2020年9月まで掲載されていた。2018年から現在はイラストレーターのK氏による公式スピンオフである「みにっとBOND」というデフォルメされたキャラクターたちによる四コマ漫画が隔月で掲載中でありファン達からは、

「不発弾の地雷処理」
「情緒殺し通り魔」
「マイン・カフォン」

などと、呼ばれている。
ただしBOND4人組の関係やヒロインとの関係を掘り下げたものが多いため、1部では、

「BLっぽすぎる」
「みんな恋愛脳にするな」
「公式エロあり2次創作」

と、批判もされてきた。
今回、バディミッションBONDがSwitchのADV型ゲームになるにあたり、この「みにっとBOND」を元に主に作られたのがサプエピソードとバディストーリーである。
1部のスチルが原作作画のM村氏により書き下ろされ、ストーリーの恋愛部分はかなりの部分がオミットされている。
例えばみにっとBONDではモクマとナデシコの夜のロマンスシーン(もちろんデフォルメキャラであるため扇情的な画ではないしシルエットによるものだ)が複数存在したが、Switch版ADV型BONDではハグに置き換わっている。

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みにっとBONDの絵は捜査時の絵に使われている

ちなみにアニメ版、ADV版より前に発売された格闘ゲーム版のモクマのcvはF原K氏であったが、やむを得ない理由でSwitch版ADVのキャストは変更されており、SwitchのモクマのCVが違いM川T之氏となっている。
ボイスドラマや漫画版のcmまで長年に渡ってF原氏を起用していたため、往年のファンであればあるほどそちらに馴染みが深いようで、モクマのcv解釈違いだと言う声をSwitch版発売後SNSで目にすることがある。
自分としてもF原氏版を遊びたかったというのが本音である。(M川T之氏の演技が悪かったわけではなくむしろ熱演。熱演ということは違うクセが存分に活かされているということである。鋼の錬金術師のショウ・タッカーがアニメ版でもOVA版でも味わいが色々と変わるあたりを想像してもらいたい)

原作とADV版の違い

 また漫画とアニメをSwitchのゲームに落とし込むにあたって、原作漫画版にもアニメ版にも存在しない「捜査」というシステムが取り入れられた。
こちらも評価が賛否両論はっきり分かれている。
キャラクター同士の細かいやり取りや掘り下げを楽しめる一方で、原作では捜査なんかせずにすぐに潜入していたため捜査自体を面倒と感じるという声も大きい。
例えばシリーズ2巻目(ファンの中では0巻と呼ばれており、Switchのゲームではミッション0の話となる。数字や順序のズレの理由は後述する)原作漫画版(アニメ版も共通)では、ルークはアラナの脅迫動画だけで居場所を特定し潜入して黒服を倒していた。
同様にSwitch版ADV型BONDのミッション1にあたる部分は、漫画・アニメ版ではアーロンとルークは合流してすぐに船に乗り込み(ルークがアーロンを助け出した時間が11時45分であり、残された時間はほとんど無いという設定だった)黒服とのバトルの後にアラナを助け出している。
ちなみに漫画版では非常に戦闘シーンが多い。戦闘シーンは1部はQTEでゲームに落とし込まれているがADVプレーヤー層はQTEに馴染みのないものが多く全体的に不評となっている。従来ファンの意見ではあるがモクマvsフウガのシーンがQTEにならなかったのだけは評価したい。これは前作の格闘ゲームでフウガが非常に厄介な敵として登場していたことも起因する。

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捜査も含めてプレイヤーに委ねる選択肢は多く、ネタは原作より踏み込み、「ルークはこんなこと言わない」「みにっとなら言ってた」と楽しませてくれる


話を戻し、捜査というシステムが導入されたけことにより従来のファンからは、

「ルークくん賢くなったな」
「アーロンの短気が治ってる……」
「グレースーツの同僚はさらにねっとり責めてくる」


と、体験版時点でキャラクター崩壊を心配する声が上がった。ただしこちらはゲームが実際に発売された後は聞かなくなった。事実、原作漫画版でも中盤以降はルークがより知略を巡らせるようになりアーロンは落ち着いてきたからだろう。

 さて、先程後述すると言った話数のズレだが。
原作漫画版では1巻がルークとアーロンが合流しアラナを助け出すエピソード、2巻で過去の回想としてルークがアーロンを倉庫から助け出すという順番になっている。巻数としては2巻目なのだが単行本のサブタイトルが 「ミッション0 ふたりのヒーロー」だったため0話と呼ばれ、やがて2巻自体も0巻と呼ばれるようになったのだ。
Switch版では分かりやすくするためにミッション0とミッション1を時系列に合わせて並び替えているのだ。

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ちなみに原作の巻数とゲーム版の1巻分中身は結構違うため、割とミッション選択画面の本のような表示はオリジナルだったりする。

色んな道があること自体が幸せかといえば

 さて本題。
 バディミッションBONDのゲームは2つあり、1つは2019年に発売された格闘ゲームである。こちらのほうが先に出ているが使用出来るキャラクターが少なく、ストーリーモードも原作のストーリーをなぞっただけのものであるが当時はコミックスが完結していない都合上、ACE本社でファントムに勝利するところで終わっている。基本的にはオーソドックスな(悪くいえば古めかしい)3D格闘ゲームである。イアンは差分だけで4キャラ分作られていて、水増しかこだわりかでファンでも意見が別れた。

今回話したいのは2作品目である今年1月末に発売されたADV型のバディミッションBONDだ。
どちらもアニメ版をベースにしているが、ADV版の方は漫画版の演出なども重視している珍しいタイプ。非常に演出が熱く自分も2作品目は広く他者に進められるゲームになったと思う。

けれどそこで問題になるのはクリア後の話で。
現在非常に掲示板やSNSで荒れていることがある。Switch版の「もう一つの道」というアナザーエンディングである。
実は、これらはアニメ版の最終話の話である。

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ファンの間でアニメ版と原作コマとゲーム版全てで延々擦られるネタ

ここでアニメ版と原作漫画版の違いを知らない人のために話そう。
原作版は現在近くまで連載されていたためアニメ化されたときはまだ完結していなかった。
しかしもともと2期予定のないアニメ版(全24話分割2クール)だったから、放送当時の原作最新話相当部分である、とある人物の登場や物事の解決また、伏せられていた導線の回収を別の形にして最終話に出したのである。
分かりやすく言うと結末を変えたのである。
つまるところファンサービス仕上げにしていたのだけれど、当然原作漫画部分と矛盾するわけで、当時はめちゃくちゃ賛否両論。もうコミュニティもツイッターも荒れまくった。困ったことに、出来が良いのだ。

しかし連載中であった原作版のアツい展開を期待していた方からすれば、肩透かしにもほどがある。
格闘ゲーム版はこのアニメ版の話をベースにしており(ただし格闘ゲーム版はこちらで最後にラスボスとしてほぼオリジナル展開でファントムが超狂化され襲ってくるが別の話)、今回のADV版は「通常ルートでは原作版、アナザールートではアニメ版」という、豪華2セットとなっている。力技の解決だ。

だけど困ったことに原作ルートとアニメルートの剥離と派閥対立はそれで収まるほど甘くはなかった。
まず原作ルート派としてはアニメルート派のキレイなオチを単に認めてしまえば、それはBONDの否定にも繋がってしまうと考えた。
この先の展開でも多くを救い、またバディものとしての展開力では圧倒的に原作ルートのほうが上だからだ。つまり激アツ。
そもそもアニメ版ルートは原作ルートを元に考えられており、原作ルート前提で考えないとアニメ版ルートには若干の破綻があるのでは? との議論もなされた。
まあ原作版ルートのようにアツい戦いの末に心が通じ合わないと、なんだか今までの展開からしたらいきなり絆されやすくなった相手がいるため、そう考えられるのもおかしくはない。

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BOND界隈で起こる全ての出来事にBOND内のセリフ回しで回答出来るかもしれない、そんな気分にさせられる

そしてアニメ版ルート派。アニメからはいった人も多くて、アニメ版歴史と原作版歴史がズレたという認識すら曖昧のままでアニメ版歴史を前提に、BOND全体を語る人が増えたので、そもそも原作版ルートでどうこう言ってくるのは厄介老害ファンでしかないという認識が流行った。
また間違いなくアニメ版ルートはきれいに話がカタをついており、こちらのほうが展開に無駄がない。犠牲も少なく好まれるのも納得のルート。
しかも公式が「アニメ版と原作版は、別の世界線の話であってどれが本史という概念は無い」と発言したため大荒れ。 
上記複数の原因で原作ファンの一部がこの和解ルートをすごく毛嫌いして。まあだいぶ揉めてたからね。よくある話だね。

つまるところエンディングのどちらか

 話が要領を得ない? つまり、ADV版BONDはアナザーとはしつつもアニメ版をまるで真エンドみたいにしちゃって、たとえ敵として立ちはだかってもその相手に手を差し伸べるから、違う世界の話にしたのにこれはどうなのかなって……
ん? 何の話をしているかって? もちろんSwitch版ADVバディミッションBOND。世界を救いに行く通常版と相手と繋がりに行くアニメ版、どちらが好きですか?

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でもこいつとは繋がらなくていい気しかしない

追記
この記事はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

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