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いわば現代の軍師!?|スモールチーム時代に求められるマネジメントの存在意義

エンタメ業界をはじめ、さまざまな業界・業種で活躍するキーパーソンが集う「JENオンラインコミュニティ」のボードメンバーにお話を伺う連続インタビュー企画。
今回は、過去にSEKAI NO OWARIのマネージャーを担当したのち、現在は新人アーティスト・にしなのマネジメントを手がける株式会社RED代表・宍戸亮太さんが登場。佐藤との対談で、スモールチームで制作が可能な今の時代だからこそ求められる作品の届け方、そしてマネジメントの重要性について語っていただきます。

プロモーションよりキュレーション

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佐藤 こうして宍戸くんと対談するのは初めてだね。

宍戸 新鮮でいいね。よろしくお願いします。

佐藤 宍戸くんは、10年にわたってSEKAI NO OWARIのマネージャーを務めて、2年前に独立してREDを立ち上げたんだよね。率直に今どう?

宍戸 アーティストが望む道に向かって一緒に並走していくのが僕の目指すマネジメント。REDは今は自分一人しかいないから大変ではあるけど、理想に沿って進んでいるから楽しいですね。

佐藤 ゆくゆくはどうしたいの?会社として大きくしていきたいのか、職人的にマネジメントを突き詰めていくのか。

宍戸 いずれは多少は人を増やしていきたいけど、100人規模の会社にしたいという気持ちはなくて。愛情と熱量にあふれた10人くらいのチームが作れたらいいなと。

佐藤 まさに、今はスモールチームで制作ができる時代

宍戸 そう。YouTubeや一つのコンテンツからマスに広がっていくように、10年前と比べたらミニマムチームでヒットを出しやすくなってるよね。

佐藤 だからこそ、よりシンプルに、いい作品を生み出すことが重要。

宍戸 今は情報があふれていて埋もれてしまいがちだから、型通りのプロモーションが効かなくなってきていると感じることも多い。TikTokを例に挙げても、人によって見えているコンテンツは全然違うじゃない。いかにそのユーザーにあった見せ方、届け方をしていくか。大切なのはプロモーションよりもキュレーションだなと最近思ってる。

佐藤 なんとなく20代女性といってもその幅は広いからね。具体的にどんな人たちに聴いてほしいか/見てほしいかを制作段階から細かく考える必要があって、そのターゲットに的確に届けられるとコアファンが増えて自然と広がっていくようになる。

求められるマネジメントの存在意義

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佐藤 創作に関してはアーティストとどう対話するの?

宍戸 「次はどういう曲を作ろうか」みたいな打ち合わせはしないけど、普段の会話の中でピースを拾っていく感じかな。マネージャーはそのアーティストの一番のファンだと思っているから、上がってきた作品に対してファン目線で素直な感想を伝えるようにしてます。にしなの場合は、彼女が作った曲をどうアレンジしていくか、彼女の中にあるイメージを引き出して、言語化して、本人の中からヒントを見つけて一緒に作り上げていく感じ。

佐藤 なるほど。何をインプットするかは作品に対して確実に作用があるし、今の空気感をいかに敏感に捉えられるかはアウトプットする上ですごく大事だよね。

宍戸 そうだね。日々の活動すべてがアーティストとしてのパフォーマンスにつながっていくから。

佐藤 だからこそ、マネジメントをする人間はインプットやコーチングといったクリエイトに関わるサポートができないと存在意義がないと思うんだ。制作の技術的なサポートはできないとしても、アーティストの性格を形成したりマインドを保つことはできる。不安で崩れそうなときも「ここが目標だよね」というように基準を示す存在というか。

宍戸 座標軸だね。どうしても気持ちがブレてしまうことはあるからコーチング的発想は重要で、アーティスト本人が何をしたいか繰り返し考えていくことで頭の中が整理されて実現に近づいていく。

佐藤 宍戸くんはまさにそういう存在だよね。

宍戸 何もしてないけどね(笑)。

佐藤 何もしてないように見せて、根幹をしっかり握っているでしょ。

宍戸 例えるなら「水」のような存在かな。アーティストが「水を得た魚」になって最高の状態で泳ぎ回れるようにする。行きたい方向に行けるような「水の流れ」を作る。そういう意識は持ってるね。

佐藤 やっぱり、軍師はみんな「水」に行き着くよね。黒田官兵衛も「水五訓」という教えを残しているし。

今までにない新たなフォーマット

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佐藤 キャリアを考えていく上で、「続けること」と「売れること」は避けて通れないテーマじゃない。「芸人として売れるためにどうしたらいいですか?」という質問に対して、千原ジュニアさんが「続けることだ」っておっしゃっていて。

宍戸 ホント、その通りだね。続けるって難しいこと。キャリアの考え方は人それぞれだけど、そこを見極めてマネジメントすることが大事だし、せっかくなら長く続けて満足してキャリアを終えてほしいと僕は思ってる。

佐藤 続けないことには、そもそも売れないからね。舞台に立って、ウケなかったならその理由を考えて、次に生かす。これはお笑いに限ったことではなく、エンタメ全般、もっと言えばビジネス全てに言えること。まずやってみる。そして改善する。使えるデータは活用する。そういった柔軟なチューニングを重ねていくことで次第にその人の「型」ができる

宍戸 佐藤くんはフォーマットを生み出すのが得意だよね。既存の型にハメるのではなく、新しく作っちゃおうというような。

佐藤 FIREBUGは音楽だけじゃないから、いろんなジャンルの掛け合わせで今までにないフォーマットを作っていきたいと思っていて。FIREBUGが全体の設計をして、細部はいろんなクリエイターと一緒に作るようなチャレンジがしたいね。

宍戸 JENのコミュニティで何かできたら面白いよね。

佐藤 コミュニティのメンバーと直接会えるようになれば、一気にアクティブになっていくはず。

宍戸 佐藤くんが作ってくれた素晴らしい場なので、面白いことや普段はできないようなことが実現したらいいなと楽しみにしてます。

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■PROFILE■
宍戸亮太(ししど りょうた)
株式会社RED代表取締役社長。約10年にわたってSEKAI NO OWARIのマネージャーを担当したのち、2019年に独立し、株式会社REDを設立。現在は、新人アーティスト・にしなのマネジメント、yamaの「春を告げる」を作詞作曲編曲したくじらのエージェントも行う。
自身の経歴やマネジメント論をまとめたnoteも注目。

https://note.com/ryotashishido

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Writer:龍輪剛
Photographer:​栗原洋平


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