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シェアの精神が音楽シーンを変える!?|origami Home Sessionsが生み出す新たな音楽未来図[後編]

「音楽カルチャーを担う才能たちの活躍の場を作る」。その揺るがぬ信念を自らの姿勢で示したかったというorigami PRODUCTIONS CEOの対馬芳昭さん。日本の音楽シーンが目指すべき在り方、期待する未来について聞いた。

──origami Home Sessionsを受けてGotch(ASIAN KUNG-FU GENERATION)がチャリティシングルを制作するなど、さまざまな反響がありました。

Gotchさんは以前から積極的にチャリティ活動をされている。本当にブレない人ですよね。僕たちがorigami Home Sessionsを立ち上げたのが3月30日。そのトラックを使用してGotchさんがチャリティシングル「Stay Inside feat. mabanua」「Mirai Mirai feat. Shingo Suzuki」の2曲をリリースしたのが4月17日でした。制作から配信までの期間はわずか2週間程度ですから、その行動力とスピードはすごいですよね。しかも、シングルの収益をWhite Teeth Donationに全額寄付してくださるというのは、本当にありがたく思います。


origami Home Sessionsを発表した翌日には、WONKというバンドが楽曲のデータを無償で提供する「Small Things Project」を始めました。素晴らしいなと思ったのはすぐに動いたこと、そして彼らが掲げたメッセージの中で僕たちをリスペクトしてくれたこと。人気ラッパーのSKY-HIも「#Homesession」という曲を作って、リリックの中で「オリガミ付きのスキルはサビつかない」と言っている。WONKもSKY-HIも僕たちに共感し、追従してくれた。その心の広さは尊敬に値します。


──コラボ楽曲を国内外の音楽関係者に共有できるシステム「origami Home Sessions – Submission」も特筆すべきポイントだと思います。

origami Home Sessionsで制作された楽曲を収益化するお手伝いとして、作り手とメディアの仲介をするイメージです。レーベル、マネジメント、ラジオ、テレビ、雑誌など、僕たちが普段お世話になっている約3000人の音楽関係者にメールマガジンのような形式で共有し、ログインすると各楽曲をダウンロードできる。ラジオでオンエアしてもいいですし、アーティストに直接連絡も取れるようなシステムになっています。

日本では珍しいかもしれませんが、海外では個人がエントリーできるシステムが確立されています。YouTubeやSpotifyなど、メディア自体が運営していることが多く、各メディアの番組制作者やキュレーターが新たな才能を常にチェックしている。日本でもいずれはこういったシステムがスタンダードになるでしょうし、新たな才能の発掘がよりオープンになると思います。日本の音楽業界の動きは海外と比較して10年近く遅れています。今後は「同時」、できれば「日本が先を行く」という流れになって、日本の音楽シーンが世界をリードできたらうれしいですし、そこを目指したいと思います。

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──今後の音楽シーンで期待していることはありますか?

ライブができない状況はネガティブに捉えられていますが、僕はポジティブに捉えています。今後ライブが再開したときには「会場でのライブ体験」と「配信視聴」の2つの楽しみ方がスタンダードになると思います。例えば、東京で行われるキャパシティー1000人のライブでチケットを買えなかったとしても、これからは配信で見られる。もちろん、国内で遠方に住んでいる人や海外に住んでいる人も楽しめる。1000と限られていたキャパが、1万、10万にもなる可能性がある。会場のサイズに依存しない集客が期待できるということです。

アーティストにとってはこれまで以上に収益を上げるチャンスですし、ユーザーにも楽しみ方の選択肢が広がるメリットがある。ライブ会場での体験に価値を感じる人、配信視聴に魅力を感じる人、ユーザーのタイプもさまざまなので、チケット料金と配信視聴料を同額にせず、配信を「投げ銭」形式にすることもありだと思います。逆にライブ会場での体験とは違う価値を配信で提供できるのであれば、金額が高くても見たいという人もいるでしょう。ライブの未来には大きな可能性を感じています。

■PROFILE■
origami PRODUCTIONS CEO
対馬芳昭(つしまよしあき)

1974年生まれ。広告代理店勤務を経て98年にビクターエンタテインメントに入社し、海外アーティストから邦人ジャズまで、さまざまなアーティストプロモーションを担当。2006年ビクターエンタテインメントを退社し、2007年origami PRODUCTIONSを発足、本格的な活動を開始する。所属アーティスト(Shingo Suzuki (Ovall)、mabanua、関口シンゴ、Kan Sano、Hiro-a-key、Michael Kaneko、Nenashi)はライブのほか、国内外問わず幅広いアーティストのプロデュース、リミックスも手がける。
<発行日:2020/06/17>
*本記事は、FIREBUGが発行するメールメディア「JEN」で配信された記事を転載したものです。

Writer:龍輪剛
Photographer:龍輪剛
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