Jelly(仰木杏寿)

地方のワイナリー勤務とて二人の子持ちなワインエキスパート。週一でポットキャスト配信とKindleでは個人で小説とワイン本等を出版中。 「ワイングラスからこぼれ話」 https://open.spotify.com/show/1I4SVQ8dsk1yxart7ODNGU

Jelly(仰木杏寿)

地方のワイナリー勤務とて二人の子持ちなワインエキスパート。週一でポットキャスト配信とKindleでは個人で小説とワイン本等を出版中。 「ワイングラスからこぼれ話」 https://open.spotify.com/show/1I4SVQ8dsk1yxart7ODNGU

最近の記事

短編小説「ぶどう畑で懐古する」〜Kindle出版短編小説集「RING」より。

日本ワインとデラウェアをテーマにした、短編小説集をKindle出版にて電子書籍化させていただいた。 この作品の中の短編を一つ公開するのので、宜しかったらご一読いただきたい。 『…そういえば、そろそろデラウェアの収穫が始まるころですね。ぶどうといえば秋のイメージですが、生食ぶどうのデラウェアは夏に採れるぶどうなんです。もとはアメリカ原産なんですが、日本では全国的に栽培されているポピュラーな品種で、昔からワインにも…』  カーステレオからは、お馴染みの女性の声が流れていた。た

    • コナン好きの友達のこと。

       こないだ、職場で休憩中に雑談していたら、たまたま名探偵コナンの話になった。  言わずと知れた国民的人気の長寿アニメだが、あれは実は私が中学生のときにアニメ放送が始まったのだ。懐かしいな、と思いながら、私は当時仲良しだったとある同級生のことを思い出した。  彼女は、コナンが好きだった。仮にアイちゃん、とでも呼ぶことにする。アイちゃんとは小学校から中学まで同じで、仲が良かった。おっとりした性格で、背が高くて色白。運動神経はイマイチだったが、すごく頭が良かった。私と同じく漫画や

      • 理性より時には大事な衝動の話。

         先日、三冊目のKindle出版を果たした。 iPhone1つで初めてKindle出版した話 https://amzn.asia/d/itOfM2a  出版時の個人的ドタバタを本にしてみた。個人的備忘録に近い。本当は現在書いている小説を完成させてから、と思っていたが、記憶が薄れそうだったので、先に書かせていただいた。気分転換を兼ねて、という感じだ。  書きながら、私はワインエキスパート試験時の苦労を思い出した。状況が似ていたからだ。  別に誰に言われたからでもなく、仕事と

        • 私の「欲」と埋められない穴の話

           現在、ワインを題材にした小説を制作中である。  仕事とプライベートの合間を使って書いているが、実は思うように進んでいない。  そんな中、久しぶりに昔の友人とランチをしてきた。お互い子どもが出来てからはなかなか時間がなく、休みも合わないので数年ぶりだった。  ひとしきりお互いの子どものことや近況を話したあと、私は自分なポットキャスト番組の配信やSNSでの活動、Kindleでの出版のことを話した。これからこういうことをやりたい、という希望なども交えてだ。  あまり熱く語ると鬱

          心のテイスティング

           こないだ、私は自宅で買ったワインをテイスティングしながら色々考えていた。  ワインのテイスティングは、ヴィンテージや品種、銘柄を当てるための儀式みたいに思われている節がある。だが、やっていることは「分析」である。  どういう味わいなのか、どういった温度で飲むべきか、どんな料理が合うか、お客様にはどこをアプローチすべきか。  そういうことを探りながらするのがテイスティングだ。ふと私は、これはプライベートや仕事での悩みを解決するのに、応用できるのではないか、と突然思った。

          心のテイスティング

          ワインの飲み方は二律背反である。

          誰も教えてくれないワインの飲み方 ワイン売り場は怖くない https://amzn.asia/d/bdP4M4J  二冊目のKindle出版をさせて頂いた。  タイトルは「誰も教えてくれないワインの飲み方」である。2024年8月いっぱいは期間限定で99円セールをしているので、良かったらみなさまダウンロードして読んでいただきたい。  さて、今回は本のタイトルにある「ワインの飲み方」について書こうと思う。  私は地方のワイナリーで長らくワイン販売に携わっている。お客様の層と

          ワインの飲み方は二律背反である。

          「ワインは一人で飲んではいけないよ」

          「ワインは、一人で飲んではいけないよ」  だ、そうだ。ワインを題材にしたドラマの中のセリフだ。  あー、はいはい、そうですね、としらけた感じでゴロ寝しつつ、私はそのドラマを観ていた。  息子が胃腸炎をもらい、私に感染して下痢と嘔吐に苦しんだあと、娘にも感染して一週間ほど仕事を休んでいた時の話である。体力はカスカスだが暇なので、ドラマを観ていた。  有名なワイン漫画を題材にした日本とフランスの合作ドラマだ。元々原作の読者だったので、興味があったし、内容は面白かった。

          「ワインは一人で飲んではいけないよ」

          二つの夢を叶えてくれたKindle出版

           先日、AmazonのKindle出版にてとある電子書籍を販売させていただいた。 タイトルは「ワイン売り場は怖くない!何も知らない人のためのワインの選び方」で、ある。  こちらは、私が普段自分の仕事でお客様に説明していることをそのまま文章化したような形だ。 普段から感じているが、何の予備知識もない人にとってワインというのはひたすらに「難しい」酒だ。  私は地方のワイナリーに勤めているが、弊社は観光地的側面が強い。なので、以前も書いたがワインに興味がない、または好きでもな

          二つの夢を叶えてくれたKindle出版

          積年の「シャンパン問題」

          「あの、シャンパンありますか?」   これは、いまの職場に勤め始めた当時、私が接客中に一番恐れていた質問である。  私は地方の、とある観光ワイナリーで働いている。様々なお客様がワインを買いに来るが、この質問はよくある質問だ。  で、一見シンプルに見えるこの質問。  結論から言うと、うちに「シャンパン」はない。答えそのものは簡単だ。  では、何が問題かと言うと、その質問に「当店にはシャンパンはございません」では済まないからだ。  ちなみにスパークリングワインなら、ある

          積年の「シャンパン問題」

          女より男はワインに詳しい?

          「あの、その金のぶどうのバッジって、何のバッジなんですか?」  そう私に聞いてきたのは、先程、ワインを選ばれていたところを接客した、女性のお客様だった。 「ソムリエバッジですよ」  とお答えした。本当はワインエキスパートだからソムリエとは呼び方が違うのだが、同じ有資格者だし、実質中身は一緒だ(ソムリエは、受験のためにワイン関係の仕事に勤続年数がある程度必要なのと、エキスパートは抜栓の試験が無いだけである。知らない方に説明するとややこしい上に面倒だし、そう言わせて頂いてい

          女より男はワインに詳しい?

          ワイン好きがワイン嫌いについて考えて見る。

          「私さあ、ワインって嫌いなんだよね。なんか、臭いし」  これは、学生時代の友人と久しぶりに一緒に呑んでて言われた言葉である。わりと昔過ぎて、何年前のことなのかすら、よく覚えていない。  友人が好きで呑んでるものを、よくも目の前でこき下ろしできたものだ。当時の私は特にキレなかったし流したが、あの時もうちょい怒っても良かったのでは。今更だが。  まあ、でもこの時一つ、確実に分かった。私が愛してやまないワインを「嫌い」な人がいるらしいということだ。  現在、私はJSA(日本ソ

          ワイン好きがワイン嫌いについて考えて見る。

          乾杯にワインを頼んで「ダメ出し」された話。

          「はあ?最初にワイン頼むかフツー?お前さあ、空気読めよ、空気」  さして仲良くもなかった中学の同級生に、私は地元の居酒屋でそう言われた。いかにも「常識ねえ奴」と言わんばかりだったのを、十五年前くらい前のことなのに、よく覚えている。  彼の名誉のために言っておくが、別に意地悪とか私を嫌ってたとかではない。中学時代は特に親しくもなかったが、顔を出した同窓会でたまたま隣になっただけ。それに最初の一杯を頼むまでは、思い出話で楽しく盛り上がっていたくらいだ。  なのに、幹事が注文をと

          乾杯にワインを頼んで「ダメ出し」された話。