見出し画像

実行機能トレーニング関連書籍

実行機能のトレーニングに活用できそうな書籍を紹介します。

1.10代のための実行機能トレーニング:準備が苦手、忘れ物が多い、考えがまとまらない、子どもをヘルプするワーク

実行機能を10分野、「自己理解」「整理力」「時間管理力」「感情制御力」「行動制御力」「柔軟力」「自発力」「集中力」「ワーキングメモリー力」「持久力」に分け、それぞれを鍛えるためのワーク集を収録。

翻訳本で、監修者は発達心理学を専門とし、実行機能の研究をされている京都大学の森口祐介先生。

10代というくくりで、小学生~高校生まで活用できる。小学校低学年未満にはやや難しい内容も含まれているし、欧米のものなので、問題行動として酒やタバコがしばしば出てくる点は、現代の小中学生にはなじみにくいかもしれない。

また、10代の子供が一人で進めるには難易度が高そう。

教師、保護者、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等が、支援の一環で活用するにはとても優れている。これ1冊あれば、実行機能コーチングが可能になると感じさせる素晴らしい内容。

監修者の森口先生があとがきで述べている通り、掲載されている方法が長期的に実行機能を向上させることが科学的に認められているわけではありません。先進的な手法で、今後効果が検証されていくことになるでしょう。


2.自分をコントロールする力 非認知スキルの心理学

2021年9月現在、日本語で読める実行機能についての解説の中で最もわかりやすいと思います。認知リハビリテーションや高次脳機能障害の文脈では、実行機能(遂行機能)の説明はありますが、言葉遣いが難解なのと、発達心理学というよりは医学寄りの説明で、わかりにくいように感じます。それに対してこの書籍は、発達心理学の専門である、京都大学の森口祐介先生が書かれており、読みやすいと思います。


3.家庭で育てる 発達が気になる子の実行機能

日常生活の困りごと毎に考えられる実行機能の問題とサポート方法が解説されています。漫画が多用されているので、活字が苦手な方にはありがたい。子供と一緒に読み進められる利点もあります。

編著者は専門作業療法士の方。内容は研究成果に基づいているというよりは、支援者としての経験に基づいているものと思います。書かれている方法は、発達障害に関わらず、実行機能に課題を抱える子供の支援でとても有益なものだと思います。ただし、これらの方法に実行機能を向上させる効果が短期的・長期的にあるのかどうかが科学的に確認されているわけではないだろうという点には注意が必要です。実行機能を育てるというよりは日常の困りごとを解消するためというスタンスで行うのがいいだろうと思います。実行機能の向上を期待する場合には、効果を確かめながら、試しに実践してみるという姿勢が適切に思います。


4.体験しながら育もう実行機能力ステップアップワークシート

① プランニング、② 優先順位、③ 時間管理、④ 空間や情報の整理、⑤ S0Sを出す、⑥ 忘れない工夫、⑦ モニタリング(行動観察)、⑧ シフティング(柔軟性)、⑨ 開始と持続、⑩ コントロール について、57の基本ワークと12の実践ワークが紹介されています。

ワークシートがイラスト入りでかわいく作られているので、そのまま使えます。実体験を基にしたような、具体例に沿ったワークが多く、取り組みやすいと思います。

5.やる気スイッチをON! 実行機能をアップする37のワーク

やる気スイッチ、計画立案、時間の管理、空間や情報の管理、お金の管理、切り替え、ワーキングメモリ、集中と制御のそれぞれについて、合計で33のワークと寝坊、遅刻、ゲーム依存、防災プランに対する4つのワークが提供されています。

実行機能の重要な要素が網羅されていて、特に、発達障害のお子さんにとっては、困っていることに対する支援が得られる内容ではないかと思います。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?