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つみきとパフォーマンスのコラボレーション企画 「風見鶏」 荻野雅之さんにインタビュー!「その2」

前回に引き続き、「風見鶏」公演に向け、つみき遊びを担当する荻野雅之さんに、制作の惡澤がインタビューさせていただきました。

インタビューその1はこちら↓

https://note.com/je_tokyo/n/n7ed0bb2570c5

荻野さん:
つみきで遊んでいる時、中には崩して楽しむ、というダイナミズムを楽しむ大人もいる。でも、例えばウクライナのこととか、9.11、3.11、僕の家族も怪我をした阪神淡路大震災・・・今の子供たちは当事者なんだと思うんですね。予期せぬことが毎日のように生きる時代、つみきという遊びのなかで繰り広げられるドラマを子供のうちに目一杯経験してほしいな、と思います。崩れるのを人のせいにするのか、つみきのせいにするのか、自分のせいにするのか、でもまた積み上げて、次は崩れないようにするのか・・・そのことは、つみき遊びで楽しい環境を作りつつ、何かしら僕も投げかけているんですね。多分、言葉ではないと思うんだけど。・・・それが具体的に何になるか、というのは、積み木研究所という屋号を出しておきながら、今自分でも研究中です(笑)

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惡澤:
それが今回わかるかもしれないですね。

荻野さん:
(笑)どうしても私は形として作り上げる、という思いがなくならないんですよ。だから「崩れてしまってもうやらない」というのは一つの生き方だと思っている。でも私は、どうもまだ邪念が多くて、形を求めることが多い。形を求めずなるがまま、という冒険をしたいんだけど・・・。今回の公演の「つみき遊び」では5回とも全部同じたどり着き方をしないわけですよね。つみき遊びも全部参加者が違うから、ぶっつけ本番。だから今回がうまくいくかは、演出の櫻井さん次第かな(笑)パフォーマンスの方が面白いんじゃないかな、という思いもあるし。この間、パフォーマーのみなさんに会いましたけど、その時に言われた「つみきおじさんが大事にしたいことは何か?」という質問が、私はいまだに残ってるんですよね。夜な夜な出てくる。

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惡澤:
急所に当たってますね!

荻野さん:
今回、つみき遊びを舞台の上に上げるのは、それだけでとんでもないこと。いい大人の戦いだとは思っています。お互いプロなので、私と舞台の方々と、犯しちゃいけない部分はあるのかな、とも思ってるんだけど、そこは一歩引き合ったり時間を作ってくれたり。その中で舞台やドラマが進行するのかな、と思います。お互い感じたことは身体や言葉から出てくると思います。わたしもつみきの立場を思うと出てくるだろうし、それは参加者たちもそう。それを引き出して上げること、出ちゃう瞬間があることを発見してあげられる立場でいたいし、それをキャッチボールしていくのかな、それが5回の公演で行なっていくのかな、と思いました。

惡澤:
演劇でいうと「舞台上の人間は、アクションでなくリアクションを行いなさい」という演劇表現の基礎を示す言葉があります。それも含めて、芸術というのは会話する、とかリアクションをするためのツールかな、と思うんです。いい大人の戦いということで、攻め合う、もリアクションですよね。どんなリアクションが出るのかとても楽しみです。

荻野さん:
そのリアクションという言葉は、わたしは「リスポンス」だと考えます。反応が返ってくるわけですね。言葉もそうだし、態度や目の表現。リスポンスというのは子供達の遊びの中で、どういう反応をしているのかは目ざとく見ています。それがわたしのファシリテーターとしての多くの仕事かな、と。言葉によらないことの方を大事にしている。そちらの表現の方がいっぱいあるはずだからね。

惡澤:
言葉はいろんなことができるし、いろんな距離感が取れますからね。
ちなみに、先日別のつみき遊びにお邪魔した時、荻野さんが参加者の皆さんに作った積み木の造形を、橋を作ったり道を作ったり色々な形で繋げていきましょう、と声かけしていましたよね。なぜ繋げるのか、という話題について、荻野さんの中で答えはありますか?

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荻野さん:
なぜ繋げるのか、というのは説明できないんですよ。気持ちが出ちゃうんでしょうね。僕の答えとしては、つみきが繋がりたい、って言っている。ひとりぼっちでつみきを積んでいる状況は燦々たるもの。子供は積んだものを足で蹴って帰ってしまうこともある。そこまで野放図だと、みんなバラバラになってしまう。責任が伴う自由だったら、私も少しは何しても良い。でも自由という言葉に、そこまでの意味を含めていない人もいるんですよ。繋がること、繋がらないことに対するアンチテーゼもあって良いのかな。その意見も聞きたい。そのためには今回の公演で一緒にチャレンジをやりたいと思います。

惡澤:
では、質問を変えまして、「風見鶏」に期待することは何でしょう?

荻野さん:
すごく期待してます。チャレンジングにしていただいたこともですし、人に来ていただくようになっている。風見鶏の内容がどういうことを言わんとしているか、わからないにも関わらず、これをプログラム化している。成功、という言葉でわたしは言い切りたくないけれども、何か心に残る。後からあの舞台表現はなんだったんだろうか、と・・・大きなクエスチョンや驚き、その中に色んな示唆があると良いと思います。櫻井さんも計画しているだろうし、演者の方も、それこそどのようなリスポンスをされるのか・・・その一言が蓄積されていく。目に見えない構築物になる。時間と空間の彫刻になる。
わたしは櫻井さんの呼びかけには感謝しています。大いなる挑戦だと思う。
私のつみき遊びは私の人生の延長線上にある臭い何か、があると非難を浴びることもあります。その辺を是正はしているけれども。・・・ ウクライナのことや人々のこと、人ひとりでは解決できないことが世の中にはたくさんある。一人で悩むことも大切だけど、昨今は自分の尺度を持って結論づけないといけない、ということが多々出て来ています。

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そのことに対する投げかけを、贅肉をなるべく端折って、クリーンな形で、櫻井さんの舞台で私自身もリニューアルして・・・培ったものは多々出てしまうと思うんだけど。
でも、伝えたいことは出て来てしまうと思うんですよ。
核家族の時代、家族という枠組みだけでは子供達は育てられなくなって来ている。外の関係性の中で、子供は思慮を深めて、生きる道を探っていくわけじゃないですか。それは親と離脱するベクトルでもある。そういう時に、今回5回の実験的な試みがどのようになるか、心して、今までのやり方と少し違う、新しいコラボの世界を見たいな。こういうやり方、参加の仕方があるんだ、同じ道具立てだけどこんな展開になるんだ、と。今回の風見鶏は大いなる挑戦じゃないかなと思います。

惡澤:
リアクションとリスポンスという感じですね。すごく本番が楽しみになりました。

荻野さん:
君の一つ一つの営みが、決して些細なことではないということ、あなたの心のリスポンスが、そのようにつみきで現れているんだよね、というのを対応で・・・皆さんにお伝えしたいなと思います。

惡澤:
わからないことが多いのが意義深いですね。ストーリーもそうですし、結末も。本日はどうもありがとうございました!

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つみきとパフォーマンスのコラボレーション企画「風見鶏」
果たせなかった想い、伝えられなかった想い、あの時こうしていたらという後悔や、過去の歴史の出来事から想像で作り出した架空のif。
元々は「風に向かって雄々しく立つ」という意味を持っていたけれど、昨今では、くるくると方向や立場を変える人の例えや日和見主義者などの意味を含む「風見鶏」をイメージし、過去と向き合い、今をふまえつつ、未来への想いを描くパフォーマンス作品。
「ディバイジング」による創作です。


*パフォーマンスの各回に先んじて「つみき遊びイベント」を実施します。皆様と共に組み立てた「つみき」をセットの一部として、公演中に用います。
つみき指導:「木楽舎つみ木研究所」荻野雅之(おぎのまさゆき)


【公演詳細】
場所
パルテノン多摩市民ギャラリー
〒206-0033 東京都多摩市落合2丁目35番地
日程 
2022年10月14日(金)~16日(日)
全席自由


*つみき遊びイベントとパフォーマンスの間の休憩では、舞台転換のため、すべてのお客様に客席外に一度ご退出いただきます。
つみき遊びからパフォーマンスまで、連続でのご観覧をされるお客様は、休憩後優先的にお席にご案内するお時間を設けます。


***


10月14日(金)

つみき遊びイベント: 18時~19時30分
パフォーマンス: 20時~21時
10月15日(土)

つみき遊びイベント: 11時~12時30分
パフォーマンス: 13時~14時

つみき遊びイベント: 17時~18時30分
パフォーマンス: 19時~20時
10月16日(日)

つみき遊びイベント: 11時~12時30分
パフォーマンス: 13時~14時

つみき遊びイベント: 16時~17時30分
パフォーマンス: 18時~19時


チケット料金
*学生は中学生、高校生、大学生、大学院生、専門学校生等を指します。


公演&つみきチケット
大人 ¥4500/ 学生 ¥3500/ 小学生 ¥2000
つみき単発チケット
大人 ¥2000/ 学生 ¥1500/ 小学生 ¥1000
公演単発チケット
大人 ¥3500/ 学生 ¥2500/ 小学生 ¥1500


*当日券は各値段から+¥500分のお値段で販売いたします。
*0歳〜2歳までのお子様について、保護者の方の膝上鑑賞は無料です。お座席が必要なお子様は小学生以下の料金でご案内いたします。


出演者名義チケット
http://confetti-web.com/tsumiki-cast/
一般チケット
http://confetti-web.com/tsumiki/


演出 櫻井麻樹
出演
木原萌花
大迫健司
土屋詩織
樋笠理子
松永佳子
演奏 Hitomi*
つみき指導 荻野雅之


衣装 kuuki
舞台美術 森聖一郎
舞台監督 野口清和
照明 岡村尚隆 (リザ・プロジェクト)
宣伝美術 Minako Akutsu
制作 惡澤仁美
主催 一般社団法人ジャパンエンターテイメント東京
企画 千夜二夜
文化庁「ARTS for the future! 2」補助対象事業


*受付開始は開演の45分前、開場は開演の30分前です。
*開演時間を過ぎてのご来場は、ご希望の座席へのご案内ができかねますのでご注意ください。
*新型コロナウイルス感染症対策のため、マスク着用、手指消毒、検温にご協力をお願いします。

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