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【2020年に上場した 音声エンタメ「Lizhi(荔枝)」の決算を日本語訳】新規事業から米国4位のSNSが誕生

中国生まれの音声配信サービスでありながら、最初に米国にてIPO(NASDAQ)を果たしたサービス「Lizhi」(日本読みはリーチ、中国語で荔枝、果物のライチの意)の最新決算を、日本語翻訳 & 日本円換算してまとめます。Clubhouseブームで遅れをとることなく成長し、直近の四半期でも売上高は前年同期比135%成長、MAUや課金者数も着実に伸びています。外的要因による収益の純増だけではなく、新規事業への挑戦が成功していることも注目です。

「Lizhi(荔枝)」基礎情報

法人名は以下"Lizhi"と表記します。

トラクション:Annual Report 2020 から引用
・年間売上高  約257億円 / 年(2020年)
・月次売上高  約85億円 / 四半期(2021年3-5月)
・MAU  約5970万
・月間課金者数  約45万人(課金率 0.75%)
・音声配信件数  約 2億7,300万(累計)

Lizhiの創業〜現地点までの変遷

「音声×エンタメ」のドメインを変えずに、どのようにここまで伸ばしてきたのか。 以下はLizhiの創業以降の簡単な変遷です。(Radiotalkも似た進化をしているところがありますが)時流を追ってマーケットに求められているプロダクトを適切に開発していく姿勢、ピボットしていった背景が伺えます。

2013年:手軽に配信できるPodcastアプリ(収録型)をリリース
2015年:リアクションやレコメンドを追加
    (≒コミュニティ化)
2018年:ライブ配信、ギフティングを追加
    (このあたりで配信件数が1億件を突破)
2019年:スマートスピーカーや車と連携開始
2020年:新規アプリ"TIYA" をリリース、
    USのSNSで4位に
2021年: 新規アプリ"LIZHI Podcast"を出して
    ポッドキャストを再出発

Lizhiの過去3ヵ年の実績推移

直近のAnnual Report を日本円に換算するとこんな感じです。マネタイズはライブ配信のギフティング、費用の多くは配信者への還元。オーソドックスなモデルです。

◆売上高の推移(単位:百万円)

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◆売上原価の推移(単位:百万円)

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給与(社員)のリソースの多くはエンジニアです。詳細はまた今度記事に書こうかなと思います。

◆営業費用の推移(単位:百万円)

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2020年に起きたLizhiの変化

さて、先日2021年1Qも発表されましたが、売上高は四半期で85億円。前年同期比 135%の成長率となり、今期はさらなる成長が期待されます。注目されのが新規アプリ"TIYA""LIZHI Podcast"。まだ収益として上がっている要因ではないものの、USのAppStore SNSカテゴリで4位となり大きな話題を呼んだアプリです。

① 新規アプリ"TIYA"
TIYA
は「Clubhouseのゲームが中心版」という感じです。ゲーマーの若年層の間でバイラルしたのかもともとゲーム特化な仕様なのかちょっとわかりらんのですが(知ってる方おしえてください)、ゲームだけでなく音楽、アニメ、その他雑談も繰り広げられています。

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トラクション:Investor Presentation から引用
・MAU 約200万
・開設ルーム数 不明(昨年同期比 450%)
・ともだち承認数 不明(昨年同期比 230%)

② 新規アプリ"LIZHI Podcast"
"LIZHI Podcast"は、カテゴリごとのバーティカルなポッドキャスト再生アプリです。高品質なポッドキャストをキュレーションして、カテゴリごとに表示。音声加工技術とレコメンド技術が特徴とあり「初期Lizhiのやりたかったことがやっとできる状態に追いついた」という印象を受けます。Spotifyは中国で使えない点では国内より勝機ありそうです。そしておもしろいのがアライアンス提携での事業拡大です。

・アリババ傘下のブロックチェーン"Antchain”との連携
 →ポッドキャストの知的財産権を守る目的
・各社車のメーカーとの提携
 →車内で再生しやすい状態を作ります。(例:XPengMotors,ENOVATE Motors, WM Motors,GAC AION GAC Motor,ほか)

Ximalayaに真っ向勝負することになりますが、本体のLizhiにはコミュニティがしっかりあることに対して、LIZHI Podcastはメディアの色が強いので、「メディア」と捉えるなら複数社が共存することは充分可能かと思います。

終わりに/ボードメンバー募集中

改めて再認識なのですが、ビジネスの「タイミング」を見極める姿勢を学ばされます。創業期からの実現したいことを「プロダクト」や「コンテンツ」などの具体で考えるのではなく、「状態」で持っておくこと。そして今の時流、今の世の中の求める体験/形に適応した発展を描いていたいと思います。

さて、そんなRadiotalkのボードメンバーとなるメンバーを募集しています。今すでに、ゲーム経験者やtoCに詳しいエンジニアCTOが私の傍らを固めてくれているので、これからはセールス/アライアンスの責任者となる方、営業が得意な方などに来ていただけたらなと思っています!

PdM&BizDevをサポートするアシスタントも募集。こちらは平日毎日10:00-15:00いらっしゃればOKです!

ご興味を持っていただいた方は、「まずは話を聞いてみる」またはDM(Twitter @JD_KAORI)をお気軽にどうぞ。まずはお茶しましょう!

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