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人事に欠かせない6カ条 ~日経産業新聞 HRマネジメントを考える 第32回 (2024.03)

「ビジネスやテクノロジーの最先端トレンドを伝えてきた日経産業新聞は2024年3月29日付で休刊します。1973年10月の創刊以来、50年間にわたり皆様のご愛顧を頂きました」。
日本経済新聞社からのリリース文ですが、3月29日付を持って日経産業新聞は休刊しました。それに伴い、連載させていただいていた日経産業新聞連載「HRマネジメントを考える」も終了しました。32回に渡っての連載でした。とても、よい勉強をさせていただきました。
新卒で1社目に入った時、ある先輩から「日経3紙はちゃんと目を通すように」と言われたのをよく覚えています、日経・日経産業・日経流通(その後、日経MJ)の3紙です。その中でも日経産業は土日は刊行されない日刊紙というユニークな存在でした。そんな想いのある新聞に連載を書かせていただけたことを本当にありがたく思います。
最終回は、総集編のような内容にしてみました。こちらに引用します。

全32回分の「HRマネジメントを考える」のまとめサイトも作成しました。コチラをご覧ください。

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日経産業新聞 HRマネジメントを考える (2024.03)
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人事に欠かせない6カ条
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長らく人事責任者を担ってきた上で、大切に感じることをあらためて整理してみたいと思います。人事機能のミッションとは、人と組織を通じて企業業績に貢献すること、そこで働く人のウェルビーイングを高めることだと思っています。実現のために、私たちが意識をするべきこと を6つあげてみました。  
①「顧客を意識すること」。これはすべての仕事の基本だと思いま す。顧客を意識しない仕事は単なる作業です。人事のような管理間接部門であれば、なおさら重要です。人事の顧客は経営と社員の2つです。双方の気持ちを理解することが重要です。過度に片方に忖度してはいけ ません。そのためには、聴く力を磨くことが求められます。  
②「持論を持ち、それを書き換え続けること」。持論というものは、積極的に経験を取りに行き、しっかりと振り返ることによって育まれます。そして、多様な持論を持つことによって意思決定のスピードは高まり、次の行動の幅も拡がります。これを怠ると、去年と同じ仕事をやって満足する人になってしまいます。  
③「曖昧さに耐えること」。私達の仕事は曖昧に満ちてます。白黒が明確につく課題は稀で、ほとんどの課題はグレーです。これが人と対峙する仕事の特徴なのです。グレーだらけの世界にまみれ、そこで必死に考えて自分なりの決断をしていくのが、人事という仕事なのです。  
④「感情労働者であれ」。次代は感情労働の時代だと言われています。人事はまさに感情労働者でなければいけません。多くの人は合理的な判断などしてくれません。人は感情の生き物です。感情を理解し感情に訴えなければ、物事は進まないのです。ここを理解しなければトラブ ルシューティングはできませんし、重要な変革もできません。ロジックでは世界を変えられないのです。  
⑤「未来を意識すること」。多忙な現在にまみれてしまわないことです。5年、10年後の後任に感謝してもらえる仕事をやるのです。時に素っ頓狂と思われることでも本当に必要と思ったら前に進めるのです。今だけをみて仕事をしている人とは、 見える景色がずれるのは当然のことだと自信を持つのです。  
⑥「自ら学び続けること」。人事を担う人こそ学びのフロントランナ ーであってほしいです。志のある人は、学べば学ぶほどアウトプットをしたくなります。これは学んだことを仕事に活かすことです。良質なアウトプットをし続けると、学びへの渇望が生まれます。この循環を作ることができればしめたものです。  
ここに書いたことは、いずれも私の持論です。これまで仕事をさせていただいた企業の経営陣、社員の皆さん、様々な取引先の皆様、他社人事の仲間、アカデミアの皆様、様々な方とご一緒する中で形成されてき たものです。これが人事という仕事をする醍醐味かもしれません。人事という仕事では、経営者のパートナーと、働く人のサポーターという2つの役割を果たす必要があります。 前者のためには戦略性を持った人事に、後者のためには信頼性に溢れる人事になることが必須です。常に動き、常に様々な人とのやり取りを続ける仕事です。経営と社員の声にしっかりと耳を傾け、多くの社外の仲間と切磋琢磨し、自らの持論を磨き続け、「よい仕事」をし続けましょう。

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