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新入社員研修の意義  経験に学び、自らの糧に ~日経産業新聞 HRマネジメントを考える (2018.05)

ご依頼を受けて、ちょこちょこ書いていたもののアーカイブをNOTEでしておくことにしました。今日は日経産業新聞の3回目です。一昨年の暮れくらいから、6~7名でリレー連載のようなものを書いてます。2カ月に1回くらい担当がまわってきます。各内容は広い意味でHRに関係があれば何でもOK。3回目は新入社員研修の意義について。新入社員研修は、とってもライブです。。

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日経産業新聞 HRマネジメントを考える (2018.05)
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新入社員研修の意義  経験に学び、自らの糧に
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 私たちの会社にも55人の新卒新入社員が入りました。それなりの人数の新卒採用をしている企業であれば、新入社員研修を実施しているでしょう。ここ数年感じるのは、全体的に学校世界とビジネス世界のギャップが拡がってきていること、一口に新入社員といっても非常に多様化してきていることです。これらが新入社員研修の設計をますます難しくしています。
 新入社員研修の役割は、現場でそれなりに戦える状態にして新入社員を送り出すことです。戦うためには、知恵と勇気と経験が必要であり、限られた期間でこの充足を目指します。当社では初日にまず基礎的な3つの約束をします。「殻を破る」「本気になる」「習慣化する」の3つです。
 学生生活では自らの「殻を破る」必要はあまりありません。このため、なかなかオープンマインドになれない新入社員もいます。きちんと自己開示をし、他者からのフィードバックを真摯に受けないと良い仕事はなかなかできません。成長のスピードも高まりません。
 正解を当てにいくのではなく、精いっぱい考えた自分なりの発言ができるようになるまで、意外と時間がかかる新入社員は少なくありません。社会では基準は自分ではなく相手が決めるものですから、自分で決めた限界でやめずに「殻を破る」チャレンジも必要です。
 「本気になる」レベルも相手が決めます。自分は本気になったつもりでも、相手がそれを感じて認めなければ通用しません。大学の試験で合格点をクリアするのとはわけが違うのです。「本気になる」ことができれば、うまくいかなかったときには心底悔しいものです。これを研修のときにきちんと体験することは大切です。新人にとって悔しさは成長のばねです。
 格好良く80点を取り続けるのではなく、格好悪くても120点を目指す姿勢が、顧客や上司の心を打ちます。うまくいかないことを恐れているうちは、本気ではありません。視線が自分に向いています。そうでなく、本気になれば視線はおのずと相手に向くはずです。これを体感できると、気持ちは強くなります。
 本気になった新入社員は仕事にがむしゃらに取り組めるようになります。でも、仕事にはセオリーやノウハウ、経験則といったものがあります。それらを習得せずに単にがむしゃらにやるだけでは、仕事の効率も質もあがりません。新入社員研修では仕事における多様な原理原則も学びます。
 ここでまた学校世界とビジネス世界の違いがあります。多様な原理原則を学んで理解するだけでは何の意味もありません。実際にそれを使えるようになって初めて意味を持ちます。さらには意識して使うレベルを超えて、無意識に自然に使えるようになることが大切です。「習慣化する」ことが重要なのです。
 様々な原理原則を習慣化して意識せずに活用できるようになると強いです。ですから、研修では様々なワークを通じて繰り返し繰り返し大切なことを叩き込むのです。
 たくさんの経験をして、真摯に他者からのフィードバックを受けて、自らきちんと振り返りをして、経験を腹に落とさせて自分のものにしていく。こういった経験学習のサイクルを自然にまわすことができるようになると、現場で自走できる新入社員が生まれます。今年のみんなはどうでしょうか。

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