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011リーダーの行動は文化を創る

組織のリーダーを永年やっていますが、リーダーの行動が文化を創るということをとても実感していますし、またこの意識で自分の行動を意図的に考えることの重要性を認識しています。
昭和の時代からよくある話として、上司が帰らないから帰りにくくて仕事もないのに仕事をする振りをして残業せざるを得ないというのがあります。実に馬鹿馬鹿しい話ですが、これも「残業は美徳」という文化をリーダーの行動が創ってしまっているのです。制度としては、フレックスが入ったり、テレワークが入ったりしても、上司が使わないので使いにくい、何となく出社しろというプレッシャーがあるという話も聞きます。これも、上司の行動がそのような文化を作ってしまっているわけです。
となると、私たち上司側としては、自らの行動が組織文化につながる可能性があるという認識のもとに、自らの行動を上手に利用しない手はありません。もし、ルーズでどうにもならない組織に着任したのであれば、朝早く来たり、〆切を確実に守ったりなどという行動を意図的にやるわけです。報連相や情報共有が弱い組織では、自らが意図的に報連相をしたり、CCメールを多用したりします。逆に真面目なタイプの多い組織であれば、意図的にフレックスやテレワークを大胆にとったり、朝ゆっくりの日とか早帰りの日とかを創ります。
カウンセリングの師匠がよく言うことに、「カウンセラーのこの言葉はクライアントに何をしようとしているのですか」という問があります。つまり、発言の意図を聞く問です。逆にいえば、カウンセラーはすべての発言にきちんと意図を持つべきであるということなのでしょう。これは私達リーダーにも当てはまります。私たちの行動の1つひとつが文化を創ることにつながるのであれば、なおさらです。例えば、むやみやたらに休日・早朝・深夜にメールを打ってくる人がいるとします。これが担当者ならいいですが、リーダーとしては問題です。本人が意図していようがしていまいが、部下にとっては休日・早朝・深夜も仕事をしなければいけないというプレッシャーになり得ます。真面目で考え過ぎのタイプの人は、これが続くだけで鬱的な気分になるリスクさえあります。緊急連絡は別ですが、そうでないメールであれば休日ではなく翌日の営業日の朝に打てばいいわけであり、深夜のメールも翌朝打てぱいいわけであり、早朝のメールもビジネスアワーを待って打てばいいのです。でも、打ってしまうというのは、自分の行動に意図を持てていないわけです。
リーダーがまじめに行動すれば、メンバーにもまじめを要請することになりますし、リーダーが自由に行動すれば、メンバーにも自由を許容することになります。このあたり、メンバーの特性と現状をみて自分の行動を意図的に操作ことによって、組織マネジメントを行うのです。
意図的に行動するためには、相手を観ている必要があります。組織の今の状況に常に関心をもって観ている必要があります。実はこちらの方が大切なのです。

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