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少しだけ優しくなれる
先月のブログの中で、弊社の推進する「アクアプラス(A+)」が心の変化をもたらす施設を目指していることについて記しました。(まだ読んでない方はこちらから👇)
今回はここを少し掘り下げてみたいと思います。
タイムパフォーマンスの時代に
今は「タイパ」の時代。タイパとはタイムパフォーマンスの略で、「かけた時間(タイム)に対する満足度」を指す造語です。コスパ(コストパフォーマンス)が費用対効果であるのに対して、タイパは時間対効果ということですね。
タイパ現象の代表格は、映画やドラマの「倍速視聴」。スマートフォンやサブスクリプションサービスの普及によって、いつでもどこでも膨大な量の映画やドラマが観られるようになる中、作品を1.5倍速や2倍速にして観るのが倍速視聴です。
まさにその効果は、短時間で多くの作品を観ることができること。それは映画を鑑賞するというよりも消費することで短時間で多くの情報を収集することを目的にしているわけです。
更にその延長線には「ネタバレ視聴」という、先に結末を観てから本編を見始める形式の視聴も。そこには「映画を2時間も観た挙句に結末がつまらなかったら時間が勿体ない」という心理だそうだ。
自分好みも効率的に
デジタルマーケティングにおいて常識となっているレコメンドは、ユーザーが閲覧するWebサイトにおすすめのアイテムやコンテンツを表示する機能で、ユーザーはこの機能によって自分の好みのアイテムやコンテンツを効率的に見つけることが出来ます。
今やユーザーにとって良いWebサイトとは良いレコメンドをしてくれるWebサイトということのようです。
リアルな場でも同様の現象が現れているようで、集客施設においても刺激的なコンテンツ(映像や演出)や一瞬の写真を競い合うインスタ映えする場づくりの全盛期です。
来場者は事前にWebサイトでしっかり情報収集しておき、施設に到着するなり一目散にメインイベントに辿り着いて、それをいただいたらお役御免とばかり帰路につく。
来場者の感想(持ち帰ってもらった果実)は全員一致していてハズしません。
「タイパ」のアンチテーゼ
「タイパ」を否定するつもりも非難するつもりもまったくありませんし、私自身も実際に生活の場面でレコメンド機能は大いに活用させていただいています。
ただ、世の中で大きなトレンドが生まれているときには、敢えてそのアンチテーゼが必要不可欠であり、そのことで一定のバランスが取れると思っています。
先程、「倍速視聴」に触れましたが、「視聴」なのですよね。
従来、映画は「鑑賞」ですが、スマートフォンの中では動画のカテゴリーとして視聴するものに位置付けられているわけですね。
ちなみに、「鑑賞」の意味を調べてみると、
鑑賞(かんしょう)とは、芸術作品などの美的な対象を視覚、あるいは聴覚を通して自己の中に受け入れ、深く味わうことである。対する表現とは異なり、能動的とはいえないものの、対象に直接的なおかつ積極的に関わり合うことによって、対象の中から具現化された美的なものを見出すことのできることから、受動的な美的体験でもない、という特徴も持っている。
ちょっと、「倍速視聴」や「レコメンド」の概念とは一線を画す感じですね。
我々の目指す施設(水族館)はある意味でこの方向性に向かっているのかも知れません。
我々の施設では刺激的なコンテンツは登用しません。
水を眺めて、水音に耳を傾けてもらいたい。
魚たちと一緒に浮遊感に没入してもらいたい。
何もしないを楽しんでもらいたい。
時間を忘れて過ごしてもらいたい。
そして、施設を後にした時に自分が少しだけ優しくなっていることに気が付く…。
映画を鑑賞するように水族館を鑑賞してみませんか?
JCEL株式会社 代表取締役 三坂伸也
三坂伸也の略歴
一級建築士
早稲田大学理工学部を卒業。
1985年大成建設(株)入社。
1989年オリックス(株)入社。
オリックス不動産(株)水族館事業部長、オリックス水族館(株)常務執行役員を経て、2014年12月オリックス水族館(株)代表取締役に就任。
京都水族館(京都市下京区)、すみだ水族館(東京都墨田区)の開発・運営責任者として陣頭指揮を執る。
2019年 2月JCEL(株)設立、代表取締役社長に就任
JCEL株式会社
国内で常に新たな水族館の形に挑戦をしてきた三坂伸也が代表を務めるJCEL株式会社。満を持して海外へ進出、「水族館の公園化」
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