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人が無意識に持つ偏見を可視化する「UB-Finder」のご紹介

UB-Finder(ユービーファインダー)開発の経緯

私たちJBFAのビジョンは、ブラインドサッカーを通じて、視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざり合う社会を実現すること。

競技団体として、大会や視覚障がい者への普及活動を行うだけでなく、ブラインドサッカーを活用したダイバーシティ研修や、学校への体験授業を推進しています。

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これらのプログラムに参加した皆さんからは、

「自分がどういう人間かを相手に伝え、相手がどういう人間かを理解し、相互に最大限の能力を発揮できる場を作り上げることがダイバーシティであるということを学びました」(企業研修・OFF T!ME Biz参加者の声)

「授業を通じて、ブラインドサッカーは、ぼくたちの日常にもつながっているんだなと思いました。理由はガイドが仲間に声をかけたりすることが、学校での生活でも同じだからです」(体験授業・スポ育に参加した小学生の声)

「ブラインドサッカーは、目が見える人と見えない人が協力してできるスポーツであることがわかりました。私もこれからみんなと協力をしていきたいと思いました」(体験授業・スポ育に参加した小学生の声)

といった、うれしい声をたくさんいただいています。

ダイバーシティ&インクルージョン事業では、ブラインドサッカー特有の「見えない」状態で、コミュニケーションの大切さやチームビルディングを体験いただいて、多様性を理解するきっかけをつくり出しています。


ところで、これらの活動は、社会に対してどの程度インパクトを持っているのでしょうか?

ブラインドサッカーには、本当に人々の考え方や行動を変える力があるのでしょうか?

私たちの活動は、本当に「混ざり合う社会」の実現につながっているのでしょうか?

「混ざり合う社会」の実現を阻害する心理的要因の一つに障がいや、障がい者への偏見があります。

そこで私たちは、障がいや障がい者への偏見を数値で測りたいと考えました。

それらを数値化することで、JBFAの活動の評価・一つ一つのプログラム内容の改善ができます。また、「混ざり合う社会」の実現についての進捗状況を可視化し、ビジョンの実現を加速させることができるはずです。

その数値指標を計測するために開発したのが、UB-Finderです。


皆さんも以下の質問に答えてみてください


【Q1】あなたは、障がい者に対してどの程度の偏見がありますか?

7段階でお答えください(「とても弱い」=1、「とても強い」=7)


では、次の質問の場合はいかがでしょうか?

【Q2】次の単語を左右に分類してください。深く考えずに、直感的に、分けてみてください。

「松葉杖」「家庭」という単語を「A:障がい」「B:健常」のどちらかに分類してください
「ラグビー」「正社員」という単語を「A:障がいまたは強者」「B:健常または弱者」のどちらかに分類してください
「起業家」「車椅子」という単語を「A':障がいまたは弱者」「B':健常または強者」のどちらかに分類してください


いかがだったでしょうか?

皆さんには、それぞれの単語を、下のA・A'・B・B'へ分類していただきました。

A:障害または強者、A':障害または弱者、B:健常または弱者、B':健常または強者

そのときに、

「障がい または 強者」に対して、違和感を抱いた方が多かったのではないでしょうか。質問自体が、おかしい・成り立っていないと感じた方もいらしたと思います。

他方で、「障がい または 弱者」に対して、その違和感を抱いた方は少なかったはずです。

障害または強者には違和感を抱く、障害または弱者には違和感を抱かない

私たちは、日頃の生活のなかで「障がい」と「弱者」が結びつきやすい概念として教育され、社会化されています。特定の概念と概念のあいだに連想を持っていることは、ある意味「自然なこと」でもあります。

顕在的態度と無意識バイアス

顕在的態度とは・・・人が自分自身で自覚している偏見(バイアス)のことです。先ほどの「Q1.あなたは、障がい者に対してどの程度偏見がありますか? 7段階でお答えください」といった、主観的な考えを聞くアンケートで調査することができます。

無意識バイアスとは・・・人が自分自身では自覚することのできない無意識に持つ偏見(バイアス)のことです。この無意識バイアスは「IAT:Implicit Associate Test」という認知心理学で確立されている手法により計測されます。IATの手法では、これまでに一般に多く用いられてきた主観的な考えを聞くアンケートとは異なり、潜在意識に潜むありのままの結果を得ることができます。

先ほど「Q2.次の単語を左右に分類してください」という質問はIATの手法を応用したものです。この質問で抱いたような違和感を、システム上記録しながらスコアを算出します。

UB-Finderの開発と調査結果

「混ざり合う社会」の実現を目指すJBFAでは、経営管理指標に「無意識バイアスの改善」をおいています。

そして2020年より、IATにより無意識バイアスを測定するサービス「UB-Finder」を展開しています。

▼こちらでUB-Finderを無料公開しています。簡単に個人受験が可能ですので、ぜひお試しください。あなたの障がいに関する無意識バイアスが測定できます。


なお、UB-Finderの一般公開に先立って、JBFAは2019年11月に「障がいや、障がい者への無意識バイアス」に関する調査を行いました。

その調査結果により、以下のことがわかりました。

(1)顕在的態度と無意識バイアスには大きな違いがある
(2)顕在的態度が変化しても、無意識バイアスは変化しない
(3)年齢を重ねても、無意識バイアスは低減しない
(4)学歴を重ねても、無意識バイアスは変化しない
(5)障がいのある友人知人がいることや、定期的に障がい者に接していても無意識バイアスは変化しない


※調査について
・調査実施日:2019年11月11日~29日
・調査対象:10代~70代(平均年齢41.0歳)の全性別
・調査人数:2,099人(有効回答2,060人)
・調査手法:インターネット調査

※調査結果の詳細レポートはこちらから


今後の展開について

JBFAでは、UB-Finderを活用し、企業研修やブラインドサッカー体験会・ボランティア活動のアセスメントを繰り返しながら、無意識バイアスにもアプローチする活動の提供を目指しています。

また、障がい者との共生、多国籍人材との協働などを目指す企業や団体への、UB-Finderの提供・提携を推進していく予定です。すでに、認定NPO法人ReBitと株式会社ダイヤモンド社へのプログラム提供をしています。

今後、UB-Finderをスポ育・OFF T!MEに続く人材育成研修の柱として育てていき、自主財源獲得に貢献することも期待しています。

▼詳細はこちら▼

JBFAは、UB-Finderの活用し「混ざり合う社会の実現」にむけた活動をさらに推進していきます。

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編集後記

最後までお読みいただき、ありがとうございます。ブラサカマガジン担当の貴戸です。

いまの社会は、ダイバーシティの推進を掲げながらも、組織・個人のアクションを実際に変えていくことの難しさに直面しています。その”理想”と”現実”のギャップを埋めるために、私たちにできることは何でしょうか。

それは、「みずからの無意識バイアスを知ること」です。

無意識バイアスを知ることは、無意識バイアスを抑制していく重要な要因になります。UB-Finderの個人受験、また企業研修も可能なので、ぜひこちらのホームページをご確認ください。

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寄付とは、自分が共感する活動や団体を支えて応援し、ともに歩むことで「なりたい社会」へ変えていくアクションです。

皆さまからいただいた寄付は、
・ブラインドサッカーを通じて視覚に障がいのある子どもたちの成長をサポートする「ブラサカキッズ」
・小中学校・高校向けの体験型ダイバーシティ教育プログラム「スポ育」
・視覚障がい者ならどなたでも! あらゆる日常生活のお悩みを解決する「おたすけ電話相談窓口」
その他、ブラインドサッカー男子日本代表・女子日本代表、ロービジョンフットサルの活動等に充てさせていただいています。

「目をオフにすると、発見がある」

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