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JBFな人たち #22 松本健一(MOTOMOTO inc.)


JAPAN BRAND FESTIVALにかかわる人たちは、一体どんな想いを持ってものづくりやビジネスをやっているのか? 当事者たちにインタビューしてきました。
今回は、JBFのあの印象的な赤マルロゴを制作、その後も様々なクリエイティブでアートディレクターを務めるMOTOMOTOの松本健一さん。数多くの企業CIやVIを手掛け受賞歴も数多い松本さんだが、ベースにあるのは少年のような「勇気」と「ワクワク」でした。

いち職人として、JBFに共感している

――JBFの印象的なロゴ、松本さんがつくられたんですよね。
松本 そうですね、最初に二本栁さんから熱い想いを伺って。「日本の、頑張っているものづくりや企業が、点から線、線から面へと広がるようなプラットフォームにしたいんです」ということだったので、日本のシンボルである赤い円をモチーフに、面を表現しました。

――イベントや商材としても汎用性が高く、それでいて印象深いロゴですよね。
松本
 ありがとうございます、めちゃくちゃパターンはつくりましたが(笑)。でももうあれから5年かぁ…。JBFも全国各地、様々な業種とのつながりがどんどん広がっているようなので、とても嬉しく思っています。

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――JBFの事業者さんに対して、思い入れはありますか?
松本
 特定の誰か、ということではなくて、ものづくりや職人という大きな軸ですごく共感する部分があります。僕自身、何かをつくるときは手を動かしながら考えており、その意味では職人タイプなのかな、と。

――実際、地産品や地方の企業のデザインも多数行っていますよね。そういう時に、どんなことを意識されているんですか?
松本
 JBFもそうなんですが、やっぱりしっかり当事者の方のお話を聞くところからですね。逆に言うと、課題や長所を言葉にしていただける経営者さんが相手だとデザインもしやすいです。それと、なんといっても情熱を感じられると、こちらも頑張って応えたいと思いますよね。JBFの参加事業者さんたちは、そんな熱い人が多い印象です。

やっぱりデザインは、かっこよくなくちゃ

――JBFでは、参加期間中にサービスのVIやCIを刷新する事業者さんもいます。松本さんはCIを作る時に心がけていることはありますか?
松本
 そうですね……。その企業や人のやろうとしていることやマインドを、デザインとして凝縮して見える化するーーというようなことがよく言われるんですが。

――違うんですか(笑)。
松本
 いやいや、それはもちろん正しいんですけど、個人的にはやっぱり「かっこいい」とか「面白い」と思っていただけることの方が、大事な気がします。デザインですからね。

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――たしかに。結局直感に勝るものはないですものね。ちなみにJBFの事業者さんでは、紆余曲折の末に、現在の仕事に天職を見出したという人も少なくありません。松本さんは、子供のころからデザイナー志望だったんですか?
松本
 そうですね。美大を出て、グラフィックデザインの事務所に入って…。紆余曲折でなくてすみません(笑)。ただ、入社して3〜4年はずうっと働きっぱなしでしたね。それこそ夜の12時に終わったら「今日は早いから飲みに行こう!」みたいな環境で。

――ハードな下積み時代ですね…。
松本
 ただ、そこで学んだことはたくさんあります。アートディレクターが何人もいたので、いろいろな考え方やものの見方を得ることができました。それと、チャレンジさせてくれる土壌があったんですよね。独立も歓迎!みたいな感じだったし。

――独立のきっかけはなんだったんですか?
松本
 デザイナーってあまり外とのつながりがないんですよ。そこに対する閉塞感と、もっといろいろなことにトライしたいという気持ちが抑えきれずに、2013年に独立しました。当初は特に顧客もなかったので、コンペとかに応募しまくっていましたね。

――そんな地道な取り組みを。
松本 
ただ、コンペでパッケージデザインをはじめてやってみたらデザインの賞に入選したりして、それが自信につながったりもした。アクションを起こすことは大事です。

勇気とワクワクが、いい作品をつくる

――松本さんはデザイナーというプレイヤーでもありながら、MOTOMOTOの経営者でもあります。経営者として心がけていることはありますか?
松本 
やっぱり僕自身がそうだったように、どんどん新しいチャレンジができる場であってほしいと思います。個人的に、デザイナーには勇気が大事だと思っていて。若い頃、自分ではいいと思っているデザインでも出せなかったり強く押せなかったりしたことが何回もあったんですが、もう後悔しか残らない(笑)。だから勇気を持って、いいと思うものを堂々と出せるデザイナーになってほしいですね。

――センスよりも、勇気。
松本
 センスも大事ですが(笑)。ただ、ぼくもいまだに恐怖すること、たくさんあるんです。「これでいいのか」「もっと違う正解があるんじゃないのか」と、最後まで探っています。

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――その煩悶に打ち勝つものはなんなんですか?
松本 
やっぱり粘って手を動かして、「これだ!」と思えるデザインが生まれたときですね。もう、最高にワクワクしますよ。JBFのロゴができたときも、他にパターンはあったけど内心「これしかない」という気持ちでした。

――松本さんのワクワクが詰まったロゴが、多くの事業者さんのワクワクと化学反応を起こした5年間だと思います。これからもJBFをよろしくおねがいします!
松本
 こちらこそ、よろしくおねがいします!

松本健一
アートディレクター/グラフィックデザイナー

1980年東京都出身。2004年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。デザイン制作会社を経て、2013年MOTOMOTO inc.設立。グラフィックデザインを軸に、ロゴ・シンボルマークデザイン、CI・VI計画、サイン計画、パッケージデザインなどの分野で活動中。ONE SHOW DESIGN BRONZE、NY ADC YOUNG GUN 8選出、日本タイポグラフィ年鑑 ベストワーク等を受賞。2020年より東京工芸大学 デザイン学科教員。
https://www.moto-moto.jp/


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