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JBAライターのリアル③~私は“生の現場”が好き~

はじめまして、JBA大阪拠点の学生インターン生です。
2021年2月にJBA大阪拠点に入社し、ライターとしてお仕事をしています。
普段の私は神戸大学の文学部生。4回生の冬、大学生最後の年越しを迎えようとしている今、JBAのお仕事はお休みをいただいて、卒業論文と向き合う日々が続いています。

私がJBAで経験してきたライターの仕事は、主に、企業の社内広報記事の執筆です。社内広報記事とは、『○○に新工場がオープンします!』とか『若手社員にインタビュー!』とか『人事部からのお知らせ<福利厚生を活用しましょう>』などといった、企業の「広報部」から自社の社員向けに発信される記事です。大きな会社になると、社員さんが自分の部署以外のことをよく知らないということもしばしば。広くコミュニケーションを取るために、社内で広報誌を発行するんです

せっかくの機会なので、この場では、企業をお客様として書くライターのリアルを、ちょっとでも知っていただきたいと思っています。
「JBA学生ライターのリアル」と題した私のリアルな体験談だけでなく、日々の仕事で考えていることや主義思想までご紹介できたらなと思います。

(同シリーズの過去記事もぜひご覧ください)


私は“生の現場”が好き

私は“音源・取材派ライター”である。
(もちろん、ライター業界にこんな流派が存在するわけではありません)
では、いったい“音源・取材派ライター”とは何かというと、
取材の場に同席したり、取材音源を聴いたりした上で原稿を書くことを大切にするライターのこと。

「資料とか取材のメモさえあれば書けるじゃん」という声もありますが
私自身、お客様と取材者が対話する、生の取材現場が大好きなんです。
今回はその理由をお話したいと思います。

前提として、ライターが記事を執筆する際に必要になる、記事に掲載する「情報」の形態が大きく2種類あります。
一つ目は「資料」。資料からの執筆の場合、既にネット上に公開されている他社の記事や、企業のニュースリリース、またはお客様から共有いただく社外秘資料などを元に、改めて広報用の記事を作成します。大学生っぽく例えると、論文や書籍などの先行研究をレポートとしてまとめる、みたいな。

二つ目は「取材」。これは、世の中に出ていない新しい情報を、当事者の口から直接聞きだす作業です。
「社内で新プロジェクトが始まったらしい!社内で情報は回っているけど、概要しかわからない。実際、どの部署のどんな人が、どんな想いでプロジェクトを動かしているんだろう?」
そんな時、私たちがプロジェクト担当者の元へ取材に行き、「このプロジェクトにはどんな意義があるんですか」とか「大変なことはなんですか。どんなふうに乗り越えられましたか」とか、そんな風に、当事者であるその人しか知らない情報を引き出し、“言質をとる”わけです。

原稿を左右する取材のキャッチアップ力

記事の情報源が「資料」のみであれば、既に手元に文章になった情報があるわけですから、それを組み合わせて書けばいいだけなので、その点簡単です。しかし、「取材」を元にした執筆だと、そう簡単にはいきません。

なぜなら、JBAでは取材と執筆を別々の人が担当することがほとんどだから。つまり、ディレクターAさんが取材を担当して、ライターBさんが執筆を担当する。この時、Aさんが行った取材のアレコレを、ライターであるBさんがどうにかしてキャッチアップしなければなりません。このキャッチアップの精度が、ライティングのクオリティにそのまま直結するのです。

キャッチアップの主な方法として「音源お越し」というものがあります。「音源お越し」は、取材の内容を文字に起こしたもののこと。「音源お越し」があれば、ライターは大体1時間以上ある取材音源を聴く手間が省けて、短い時間でどんな取材だったかを把握し、執筆に取り掛かれるというわけです。取材に参加できなかったお客様のために、短い相槌や細かい言い回しまで精密に再現した、お客様提出用の音源お越しを用意することもあります。また、文字データになっているので、自分で文字を打ち込む手間も減るというメリットもあります。

しかし、私は「音源お越し」のみから執筆を行う習慣には懐疑的です。どういうことかというと、実際の取材現場で起きている、人(取材者)×人(取材対象者)のコミュニケーションの化学反応という真実は、発言を文字に起こしただけの音源お越しでは表現しきれないのではないかと思っているからです。

声、表情、感情……立体的な情報を“文章”にするということ

分かりづらい言い方をしてごめんなさい。
例えば、取材でインタビュアーが
「あなたの仕事のこだわりはなんですか?」という質問をしたとします。
それに対して、取材対象者であるTさんは
「いや、特にないですね。しいて言うなら、笑顔でいることでしょうか」と答えたとします。

このやり取りが「いや、特にないですね。しいて言うなら、笑顔でいることでしょうか」とそのまま表現された音源お越しがあります。それを見たライターが「Tさん仕事のこだわりは、笑顔でいることです」と記事に書く。
おそらく、この原稿をこのまま提出すれば、ほとんどの場合突き返されてしまうと思います。チェックのために原稿を見たTさんの方も「全然伝わっていないんだなあ」とガッカリされることでしょう。

では実際の取材の場の様子がどうだったのか、取材の録音を聞いてみます。

「あなたの仕事のこだわりはなんですか?」とインタビュアーが聞きます。Tさんは「いやあ……」と言葉に詰まり、少し考え込んでいるのか間が空きます。そのあと、照れたように笑いながら「そんな、特にないですね…」と答えます。「大したことはしていませんが……しいて言うなら、笑顔でいることでしょうか」Tさんは恥ずかしそうに、小さな声で呟くように話します。
これを聞いたライターは次のような原稿を書きました。

「仕事のこだわりを伺うと『特別なことは何もしていませんよ』と笑うTさん。そんなTさんは“笑顔でいること”を、何よりも大切にされているそうです。」

そうなんです。音源お越しではたった一行で終わっていたやり取り。
しかし、実際の取材の場では、その何倍もの情報量が行き交っています。
音源を聞くだけで、取材対象者がどこで言葉に詰まり、どこで間が空いたのか、言葉に詰まったのは困ったからなのか、躊躇ったからなのか、はたまたどこでテンションが上がったか、口調が早くなったか、声のトーンが上がったかなど、様々な情報をキャッチすることができますし、実際の取材現場に行くと、声だけではなく、表情や視線など、さらに多くの情報に触れることになります。

それら、三次元の立体的で繊細な“生の”情報を、2Dの画面の上に文字という媒体だけで表現するのがライターです。
どうでしょう。私が“音源・取材派ライター”を名乗りたい理由、分かっていただけたでしょうか。

伝えたいことはすべて、取材現場に

私が初めて音源お越しからの執筆を依頼された時、思ったのは「なんも伝わってこんな」ということでした。お客様の人柄、取材現場の温度感、どの質問にお客様は楽しそうに反応されたか、笑っておられたか、言葉を詰まらせたか。その音源お越しからは、ライターが本当に知りたいことが何も伝わってこなかった。
それ以来、どんな執筆依頼でも、取材音源は必ず聞くようにしています。

そして、音源を聞くよりももっと効果的なのは、自分が取材現場に行くこと。JBAにおける取材のプロであるディレクターさんと一緒に取材に参加し、自ら質問をしてその人を「取材」することです。

初めての取材同席から半年。画面に顔を映すこともせず、画面外でひっそりとメモを取っていたところから、お客様が働く現場まで足を運び、「ライティングを担当します」と名刺をお渡しするところまでようやく辿り着くことができました。

いつかは、「あなただったから、思わず本音を話しちゃった」と言っていただけるような取材者に、そして「私の言いたいことをすべて書いてくれたね」と言っていただけるライターになりたいと、ささやかなようで大きすぎる夢をいだいています。

私が入社した当時からJBAも進化し、ディレクターとライターの協力体制はますます良くなっています。学生ライターが取材に同席することも一般的になってきました。ライティングのクオリティももっともっと上がっていくだろうと確信する今、ワクワクの気持ちでいっぱいです。
もっと多くの仲間と、ライティングの力、言葉の力で、お客様に寄り添っていきたいと思っています。この気持ちに共鳴してくれるたくさんの同志と出会えますように!これからも心を込めて書き続けていきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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