「秒速5センチメートル」にサヨナラをするということ
新海誠は「君の名は。」の大ブレークで日本を代表する監督となったが、昔から見ている私のようなファンにとっては違和感しか残らなかった。未だにストーリーがちゃんと分かっていないのだけど(笑)、何故にここまで作風が変わるものかと不思議な感じで見ていた。
その理由を検索して調べようと思ったが、ああなるほど、川村元気がプロデューサーだったと分かってそういうことなのかーと。(ファンに対しては大変申し訳ないが)川村元気は、マーケッターとしては天才的であり「売る」嗅覚はもの凄いなと思うけれども、彼の小説「億男」「四月になれば彼女は」も読んだのだけど、読ませるけどここまで何も残らないのも凄いなと思うのです。売れてるから凄いんだけど。RADWIMPを使うあたりも、正直なんだかなと思ったのでした(これ以上書くと嫌な奴になるので書かない)。
やはり新海誠は、秦基博とか山崎まさよしをバックに、うじうじした男を描くのが非常にうまいし、親近感がわく。秦基博に大江千里の「Rain」を歌わせたのは絶妙だったし(ほんと、大江千里は天才だ。noteも面白いし)、「秒速5センチメートル」とまさやんのマッチアップがやはり最高傑作だと思う。
ドストレートのラブソングに、過去の思い出に囚われて前に進まないという選択をした男の話。
「君の名は。」は逆ですよね。素直じゃないラブソング(やっぱりどうしてもRADWIMPの歌詞って好きになれなくて。。すいません)に、前向きな男の話という感じがしております。
20代の頃の私は、まさにこの映画の貴樹くんのような考え方をしておりました。別れた恋人のことばかり考えて、その思い出に浸り、綺麗な思い出の中で、寂しさを感じることに快感を覚えていたのでした。失恋後の寂しさに快感を覚えていたのでした。(この頃の私は失恋するために恋愛するような屈折した考えがあった)
独身の後輩が時々「秒速5センチメートル大好きなんですよね」と言ってくることがある。私は「あんなもの見ていたら結婚できない」と言う。
なお、女性でこの映画を好きという心境は私には分からない。誰か教えて。
貴樹くんのような心境は、本気で恋愛したことのある男なら、必ず通る道ではあるのですが(女性の場合は分からん)、それにサヨナラを言えるかが、ある意味大人になることなのかなと思う。貴樹くんは、どんな手を使っても明里に会いに行って、もう絶対に離してはいけないのだ。実家に行けば連絡先くらいすぐわかるだろ、と。玉砕してもいいじゃないか。映画的には全く面白くないけど。
本当に大事に思うならば、時間がかかっても、求め続けているのならば、アクションを起こさねばならない。それがどんなにカッコ悪くても、大人になることなんだろうと思います。時間がかかっても。
「秒速5センチメートル」はそんな映画なんだと思います。なお、「天気の子」は見るべきか未だにわからない。
最後に、このシーンが一番切なくて好き。男目線ですかね。