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お洒落とは無縁な僕の生活(26)

 令和五年四月四日(火)

『ONE PIECE FILM RED』を観た。
 実際に観るかどうかは迷ったのだけれど、結局は気になってしまい、全部観てしまった。
 結論から言えば、面白かった。
 はっきり言ってAdoさんの歌は、ちょっと世界観から浮いている感じもしたけれど、それはそれで「そういうもんだ」と受け入れれば、あとは加速度的に面白くなる。
 後半の展開はいかにもONE PIECE的というか、ジャンプ的で、みんなで力を合わせて敵を倒すという、盛り上がる展開。
 ただ、ちょっと雑というか、安っぽい気がした。これは尾田栄一郎先生の脚本なんだろうか、と気になった。
 エンドロールを確かめてみると、どうやら違うらしい。やっぱり観る人には伝わるものなのかな、とも思う。
 日本のアニメとしては十分なクオリティだし、楽しめた。これをいわゆる「映画」として考えると、サブスクで観てよかったかな、という感じだった。
 曲と映像を合わせるミュージカル系の作品としては、どうにもちぐはぐだったし、やっぱりファンに向けての映画なんだろうな、と。
 もちろん、僕はONE PIECEは好きだれど、ファンというほどではない。そこがどうしても熱量の違いになってしまうんだろうと思う。
 日本は情緒とか、のぞき見的感覚とか、ゆったりとした時間の進む映画が得意だから、ミュージカル系は苦手なのかもしれない、などと考えながら、他にも名作のアニメ映画を観ていこうと思った。

 田中慎弥の『図書準備室』を詠み終える。
 デビュー作である「冷たい水の羊」は、僕が思っていたのとは違う着地点に到達した。きっと、これはプロットを作っていない効果なんだろうと思う。作者が書きながら成長し、世界への理解を深め、想像もしなかったところまで連れて行ってくれた。それが嬉しい。
『図書準備室』に収録されている短編は、どちらも若い性愛や暴力を一部で描いているものだけれど、そこには生々しさというより、若々しさがある。主人公が中学生ぐらいだというのも、その要因の一つだろう。
 気になったのは、どちらも意外にも希望の匂いが漂っているところ。決してはっきりとしたものではないけれど、嫌な気分で終わる作品じゃない。暴力的描写は人によっては受け付けないが、それを補って余りあるくらいの、人間の性への欲求や、矛盾や、どこか心の中で生まれる希望を描いている。だからこそ作品は受賞作たり得たし、芥川賞候補にもなったんだろう。
 いかにも純文学的な作品だった。
 今後もこうして質の良い作品をどんどん吸収していきたい。
 しばらくインプットを控えめにしていたから、またたくさん読む生活に戻りたいものだ。もちろん、書くこともやめずに。小説を1000字ほど書いたが、これは続きを書くかどうかわからない。
 描写って何だろう。ストーリーって何だろうと、色々考えてしまっている最中である。

パステル画94枚目「散歩中の風景」

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