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のろまな子

 嫌なこと 忘れる方法
 早く忘れたい
 失敗 忘れるには
 記憶 消す

 昔から楽しいことや嬉しいことよりも、嫌だったことだけ覚えていてしまう悲しい性質です。Googleの検索欄に打ち込んで、手当たり次第ヒットした情報を試しましたが無駄でした。メモ帳に書いてそれをびりびりに破って捨てるだとか、そういう類の。

 人生の8割の感情が羞恥でできています。思い出すと居た堪れなくなる程のそれに襲われて、いつも私の思考はマイナスでした。

「ネガティブって人に迷惑かけるんだよ?」

この意味と、直し方が最近やっとわかってきました。
いや、わかっているつもりでいたのですけれど、迸る自分のネガティブを抑えられなかったんです。
迷惑をかけていることはかろうじてわかるけれど、迷惑をかけている自分も嫌。でもそんなこと言ったって、無理に前向きになれるわけがない。あぁ、だから自分は何をやってもダメなんだ。
そこまで行くとともう負のループ。壊れた人形みたいにあからさまに不自然な笑顔で笑い出すか、思考回路がショートして無言のまま蹲るか。

自責の感情が暴走して全く他人の話が耳に入らない。

「大丈夫だよ、そんなに自分を責めなくていいんだよ」
そう言われると、この人は優しいなと思います。でもそれだけ。この人は優しくて、嬉しい言葉をくれるけどでもそれはそれとして、自分はダメなやつと信じきっている。

他人の話を聞けていない、ということにすら気づけない。周りも困るでしょうが、自分自身も困っています。もう目はぐるぐるです。

だから、他人の話をきちんと聞くことにしました。
例えば、最近アルバイト先でミスをしました。新しいバイト先で、初めてのミスで。やってしまった……!と思いました。

こういう時、いつも何回でも謝ってしまいます。失敗した自分が情けなくて、苦しくて。
「すみません、本当にすみません。次から気をつけます……」
でも、先輩は何も怒ることの無い様子で、「大丈夫、気にすんな」と言いました。
何回目かのすみませんを口から出しかけて、ぐっと止めました。

先輩が「大丈夫」と言ってくれたのなら、それでいいのです。私はもう許されています。なのに、何度も謝るのは自分の居心地の悪いのを理由に、先輩に機嫌をとらせているんじゃないだろうか。
先輩が「気にすんな」と言ってくれたので、私はできるだけ気にしないことにしました。意識を仕事に戻し同じミスをしないように心がけました。

1人になってから、落ち込みたいだけ落ち込みました。うわーっと。1人だったら、あるいは気の許せる誰かの前ではネガティブだっていいと思います。無理にポジティブになろうとして、爆発するようなことは今までにも何度も経験してきましたから……

 多分、高校生の頃の自分がこれを読んだら、そんなことできるわけない
と思っただろうなと思います。
「気にすんな」と言われたから気にしないなんて、できるわけないよ。気にすんなって言われるほど気にしちゃうよって。でもそれは、本当に”こつこつ”なのだとしか私には言いようがないです。
 自分には自分の存在を認める心が欠けている、と気づいたのは中学生か高校生の頃でした。大半の人には疑うまでもなく備わっているそれを、私は何処かで無くしてしまったようでした。昔からものをなくすのは得意なので。

なぜ、なくしてしまったのか。
どこでなくしてしまったのか。
なくしてしまったから私はこんな行動をとってしまう。
どうしたらまた自分を認められる?

そういうことを絶えず考えてきた青春時代で、なくさずにいられた人から見ると不思議なほどに時間と労力をかけてきました。ここまで辿り着くのにも長く、長く時間をかけてきました。
でもなくしたから一生欠けたままなのではなくて、自分の手で埋めていくこともできるって思いたいです。
遅くても、歩みを止めなければどこまでだって歩いていけるよ。

 









 


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