瑠花

思考中毒。 ✉️ 03ruka10@gmail.com

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最近の記事

終わる

 私は覚えている限り2度ほど本当に人生が終わる、と思った経験がある。 それは何もかもが辛かった高校生の時と、つい最近大きく転ぶような挫折をした時。  何度か書いてきたけれど死を望む気持ちは長い間私の傍にいて、とても大きく心を揺らされるような出来事があると「よし、本当に終わらせるか!」と走り出してしまうのもままあることだった。それが、実現可能に近かったのが残念ながら、人生で2回。  私の中で死ぬことはは恐ろしく残酷でも、悲しいものでも、真っ暗なものでもない。だからといって大袈裟

    • のろまな子

       嫌なこと 忘れる方法  早く忘れたい  失敗 忘れるには  記憶 消す  昔から楽しいことや嬉しいことよりも、嫌だったことだけ覚えていてしまう悲しい性質です。Googleの検索欄に打ち込んで、手当たり次第ヒットした情報を試しましたが無駄でした。メモ帳に書いてそれをびりびりに破って捨てるだとか、そういう類の。  人生の8割の感情が羞恥でできています。思い出すと居た堪れなくなる程のそれに襲われて、いつも私の思考はマイナスでした。 「ネガティブって人に迷惑かけるんだよ?」

      • 天国にはいけない

         私は灰色だった。明るさも暗さも秘めていた。どっちつかずの、陰鬱で、切ないグレー。  高校の制服のスカートは灰色だった。しっかりとした生地で重みがあり、端正にプリーツの入ったそれを膝上にくるように折っていた。本当は校則違反なので、律儀に校内に入ったら伸ばしてしまうような従順さに苦しめられていた。  6月の電車は灰色だった。というか、目に入るすべてのものが大体色彩を失っていた。  期末テストの1日目。起きようと思ったら、本当にさっぱり体が動かなかった。全身が粘土みたいにひ

        •  モラトリアム延長戦!

           全く私は本当にどうしようもないやつだよなぁと思います。  成績はそれほど良くないですが、単位を落としたことはありません。それなりに学んでいることに興味をもってやってきました。4年目に入り、あとは卒業研究くらいのものなんですけど、ねぇ。  逃げ癖なんて、とうについています。  昔、部活動で一生懸命やっていたのに、私だけできなくて周りに置いていかれたことがあります。私は本当に本当に悔しくて自主練習だってたくさんしました。毎日、劣等感でいっぱいになりながらそれでも諦めることがで

        終わる

          感想文が書けない

           昔から”感想を書く”ことが苦手だった話。  小学校でも、中学校でも、感想を書く機会って意外とある。例えば、国語の授業で新しい作品に入る時だとか。  当てられた順番にがたりと椅子を引いて立ち上がり、1人一文ずつ読み上げてはまた座る。何度か音読が回ってくるとようやく作品は終盤に差し掛かり、そのあとは配られたプリントに初読の感想を書いて提出、授業終了。  余談だが、春に国語の教科書が配られるとほとんどの作品に目を通してしまうので、授業で読む時には展開を知ってしまっているのが常だっ

          感想文が書けない

          緑萌ゆ

           「私はこのクラスの全員と、友達になりたいです!」  自己紹介で彼女がそう言った時、絶対に友達になれないと思った。  真新しい制服を不自然に着崩している。端正なプリーツをそよ風が揺らして、彼女の白い膝を晒した。  愛想よく笑う彼女はどこまでも呑気で伸びやかで、一方私はというと自閉的で鬱屈としていた。  ああいうタイプが一番苦手だ、と思っていた。できれば関わりたくない。”陽キャ”とか”陰キャ”とかそういう言葉を使えば、彼女と私は対極の立場にいて__今でこそそういった価値観は

          緑萌ゆ

          カタツムリみたいな

           ちょっと日記に近い雑文。  1週間に1回はnoteを更新するようにしたくて、それは継続が何より苦手な私にとっていつまで続くかわからない挑戦でもあるのだけれど、意識しなくても14週続いたみたいなのでたまには意識して15週に繋げてみてもいいかなと思った。続けようと思うとたちまち続かなくなってしまう性質で、元々自分のことはあまり信用していない。書きたいときに書けばいいし、書かなくては、と思うとどんどん遠ざかっていくので、自分が好きでいられる範囲でやれたらいいなぁと思う。    ”

          カタツムリみたいな

          微笑

          姉妹喧嘩の仲裁はだいたい全部「どちらも悪い」で終わったけれど、「どちらも正しい」ではダメだったんだろうか。 「ごめんね」 どんなに相手が先に手を出しても、悪いような気がしても、必ず謝った。勿論自分の行いを振り返り、非を認めることは当たり前にできた方がいい。自分は悪くないと思い続けることで得られることは何もない。 ただ、私は。いい子に育った私は、純然とした悪意を前にしてさえあなたが悪いのではなく私も悪かったと思うようになった。 いじめられる方にも問題がある。 小学校低学年の時

          与太話

           春は始まりの季節で、ベタですけれど私はそれが好きなんですよ。桜も咲くし、シロツメクサもタンポポも。最近流行りのネモフィラもいいけれど、オオイヌノフグリが道端にいじらしく瑠璃色を添えているだけで幸せを感じます。花冠を編んで手を汚し、四葉のクローバーを探す。20有余年行きてもまだそういうことをしてしまいますね。  さぁ、今年も頑張るぞ…….と1ヶ月前までは意気込んでいたのですが、またまた転けてしまいました。やっぱり自分で想像のつくことは大体現実に起こらなくて、良いことも悪いこ

          与太話

          諦めるならば愛せよと 映画「哀れなるものたち」感想

          人間は好きですか?  私が最も好きな生物は、と問われたら”人間”だと答えられるかもしれない。 人間は面白い。私が狭いコミュニティに帰属する意味として、人間同士の交わりが面白いからだと書いたこともある。  こういうように痛みすらやや傍観的に、醜さすら愉悦的に愛してしまうようになるまでは人間も、自分自身も大嫌いだった。どうにも傷つけ合わずにはいられない、平和を願うほどに折り合いの付かなくなっていく社会。定義づけられない正義を貫くほどに誰かが悪になっていって、懲悪的に振るう暴力

          諦めるならば愛せよと 映画「哀れなるものたち」感想

          p135に挟んだ栞

            世界を何もかも、思い通りにする術を知っていた。    幼い頃、「好きな絵や本を枕の下に入れて寝るとその中の世界に行ける」というまことしやかに囁かれる言説を信じていた。 放課後にすることといえば、本を読むことくらいで毎日図書室で借りてきた3冊を一晩で読み切っていた。自室のベッドの上で寝転がりながら読むのが常で、その日読んだ中で一番お気に入りの一冊を枕の下に押し込む。そして閉じた瞼の裏でその世界にいる自分とストーリーを空想した。  その頃読んでいたのはファンタジーの児童書が

          p135に挟んだ栞

          ガール・ミーツ・ガール

           昔からベタな少女マンガにときめいたり、ラヴソングの切なさに泣いたりすることはしない。むしろ苦手な方だ。 でももしまた恋ができるのなら素敵な女性がいい。忘れられない、恋の話をしよう。  1人は、高校の部活の先輩だった。少年のように短い髪、直線的でキリリとした眉。整った目鼻立ちは女性のそれだったので、中性的な雰囲気を纏っていた。やはり少年のような言葉遣い、振る舞いをするが長く柔らかなまつ毛とか、校則を守った長いスカートは強さと共存しつつもどこか儚さを感じさせるところがあった。

          ガール・ミーツ・ガール

          天使とバイブル

           Yahoo!知恵袋が人生の参考書だった。  親や友人に相談するより先にインターネットに聞いた。悩みを端的なキーワードにしてヒットさせ、似た状況の過去の質問・回答を何時間でも何件でも漁った。そうして様々な回答の中から最も自分の意思に沿うものを解決法として採用していた。 私がインターネットの海に飛び込んだのは、小学3年生頃のこと。家にあるノートパソコンで見つけたとある本好きの掲示板との出会いだった。一年以上眺めるだけの日々が続き、どうにもそこにいる人々と交流したくなった私は父

          天使とバイブル

          現時点で遺す言葉

          もしも私の死体を見たのなら。 きっとあなたには色んな私の姿が浮かぶだろう。幼い私、笑う私、涙する私、怒っている私、苦しんでいる私。無表情の私かもしれない。    ただ一つここに書いておくのは、私の周りにいたあなたたちが見た全ての私が、本当の私でないということだ。 私は道化が得意だった。本当と嘘を織り交ぜたとびきりの仮面、演劇。 本当の私は私しか知らない。あなたの知る私は、それも一種の私だとも言えるけれど、「本当の私」ではない。 あなたがそう捉えたのなら、それが「私」という人

          現時点で遺す言葉

          声も出せない君へ

          苦しかった記憶は大体、学校の中だった。 茫洋とした眼差しで何時間も黒いアスファルトを眺めていたこと。わざと乗り過ごした駅のホームから見た青い海。遅刻した朝のやけに暑い陽と、ギラギラした街路樹の緑葉。自分の想いすら言葉にできずに、押し黙って泣いた保健室の白い部屋とか。  どれも忘れることができないし、忘れてなんかやらないと胸に刻んだ光景だった。 なぜなら、絶対この場所で復讐してやろうと誓っていたから。 「お前は教師に向いていない。お前には無理だ」 卒業する少し前、担任の男

          声も出せない君へ

          進め、迷わずに

          「やりたいこととできることが全く違うんですよね……」 高校3年生になりたての私はそんなことを考えていたな、とふと思い出す。暖かい春風が肌を撫ぜる。最後の一年が始まろうとしていた頃だ。遥かに伸びる道の、見えぬ行先を見ようと目を凝らしながら、私は絶えず自分に問いかけていた。 私にできること。  中学2年生を過ぎた時点で自分が人より「できないことがある」人生であることに気づいていた。それは悲観ではなく、経験に基づいた自意識で、この先を生きていく上でも自分にとって受け入れなければ

          進め、迷わずに