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なぜGoToトラベルキャンペーンで便乗値上げが起こるのか

コロナの影響で売上の大きく下がった宿泊業界。業界を救うために政府は2020年7月22日からGoToトラベルキャンペーンを開始した
どうせ安くなったし諦めていた旅行にいこうと、楽天やじゃらんなどの予約サイトを覗いた方も多いと思う。そこでふとお気づきになった人も多いのではないか

「値段が上がっている。。。?」

GoToトラベルがはじまる前とはじまったあと、宿泊料金があきらかに上がっているところがいくつもあることに気づきTwitterやInstagramでそのことを投稿した方もいらっしゃるだろう
なぜそのようなことが起きているのか、そもそも宿泊業界の値段設定はどうなっているのか、そういった点を解説していきたいと思う

なぜ便乗値上げが起きたのか

簡潔に言うと「需要が見込めるから」である。至極まっとうな意見である

多くの人がホテル旅館を利用することが予測されると、当然ホテル旅館側は売上をあげるために値段をより高価格に設定する。商売人として売上を伸ばすチャンスをみすみす逃すわけにはいかないのである
コロナ以前でいえば人気アイドルのライブや大きなお祭りなどが開催されるような時は軒並み周辺ホテルの値段が上がっていた。多くのライブファンの方や観光に行こうと思っていた方はこういった経験があるのではないだろうか

京都紅葉の時期、嵐のライブ、三代目のライブ、学会、カウントダウンライブがある時期、夏の沖縄、、、etc、、、

こういった時期は軒並み料金は跳ね上がり、日頃8,000円で泊まれるようなビジネスホテルがその時だけ25,000円で売り出されていた!など日常茶飯事であった

つまるところGoToトラベルについても上記と同じようなことが起きたと考えていただいて結構である
ではなぜそんなにも料金が変動するのか、そもそも宿泊業界の料金ってどうやって決められているのかについてお伝えしようと思う

宿泊業界の料金設定とは

宿泊業界は基本的に一日の売上に天井が設定されている業界である
どんなに需要があったとしても、客室数200室のホテルは1日あたり200室以上は売れないのだ。工事をしたりしない限りは部屋を増やすことができないためである
また、これは運営会社によっても大きく異なるが、ホテル旅館では1部屋あたりの最大料金(正規料金)というものを設定している。それを「タリフ料金」と業界では呼んだりする
つまり最大料金を1室20,000円と設定しているのであれば、客室数200室のホテルはどんなに需要があっても1日の売上は最大4,000,000円となる
※最近はタリフを設定しない運営が主流になりつつあります

毎日最大料金の20,000円で販売して常にお客様がきてくれるのであればそれでいいが、世の中そういうわけにはいかない。そのためホテル旅館は需要に合わせて手持ちの部屋をやりくりするために料金を正規料金から割り引いて販売することを常日頃から行っているのである

~結果~

需要が伸びるであろうGoToトラベルが開始されたのであれば必要以上に割り引いて販売することはないのである
割引率を抑えても”泊まりたい”と思っているお客様が見込まれるためである

ただしここであまりにも強気にでるホテル旅館も見受けられるのは事実だ
我々が経営していけるのは誰のおかげか、誰のお金をいただいて売上となるのか、その点をよく理解した上で料金設定やその他のサービスと行わないと思わぬしっぺ返しを食らうことは必須である

また、コロナの影響で2,3,4,5,6月はどのホテル旅館も壊滅的な売上減少を経験し、そこで発生した巨額の損失をどうにかこうにかゼロに戻そうと必死で販売を行っている
ただし上記で述べたようにこの業界の売上というものは天井があるため
「1日あたり通常200室より+500室売上アップを目指そう!」
なんてことは不可能なのである。つまり損失分を回復するということが相当難しいのである

となるとやはり、GoToトラベルを活用して少しでも売上を上げていく努力をしないと損失補てん不可→倒産→雇用者全員解雇という未来しか見えてこないのである

コロナででた損失の影響は秋口からにかけてホテル旅館に大きくのしかかってくる
夏を過ぎてはみたものの、今後の経営戦略の見通しが立たないとわかれば倒産するホテル旅館は更に増えていくだろうと思う

コロナの影響による倒産は、これからが本番を迎える

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