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飛行機での出来事

国家試験が終わり、予想以上に試験の出来が悪く腐り始めていた。なめていた、としか言えない自分になんともやりきれない気持ち。試験が終わったら○○するぞー!と思ってたことすらも、なんだか気持ちが失せてしまってやらずに過ごすこと2週間。

やっぱり行こう!

行き先は出雲国。日本人なら一度は行ってみたいところだと思う。私もその一人だったわけで、ただ、なかなか行く気持ちになれなかった。地図を見るとさ…遠いなぁ~と思うわけです。本州の端のはしにあるようだし、夜行バスでも新幹線でも飛行機でも遠い気がする。どうせ飛行機乗るなら海外へ!と思ったりもして、なかなか本気で行こうとはしなかった。

それがここに来て、ついに、である。

会社員を辞めて4ヶ月。頭で描いていた通りの無職生活を遅れず、なんだか顔が不細工になったんじゃないかと思うほどに気持ちが荒んできていて(元が綺麗かとかはおいといて)、解放感に溢れていたのは一ヶ月半くらいだったかもしれない。夢だったベトナムひとり旅もやってしまったし、国家試験では惨敗だし、二度目のコロナにはかかるし。おまけに「仕事してるときの方が勢いがあったよね」と言われる始末…(仕事してるときは「そんな顔してるなら辞めちまえ!」とか言ってたくせに)

なんとかこの息苦しい心地から脱したい。そのためならカウンセラーに泣きついたって、神頼みだってなんだってしよう。そう思って、飛行機のチケットが安くなったタイミングでポチッ。勇気のない私にとって、航空券を取ることほど勇気がいることはない。初めてのJALで、いざ出雲国へ。

夕方の5時に出発する、しかも駐機場までバスで行くタイプだったからこそのこの景色。最高。幸先よし。

搭乗してからの景色は、東京タワーとレインボーブリッジとスカイツリーの三点セットにお目にかかれてうっとり。チェックイン直前に座席の変更してよかった!

離陸後、少し言葉が浮かんだので久しぶりにメモを取り、頭を整理していると、機長のアナウンスが始まった。国内線だからなのか?JALだからなのか?窓の外に見える景色をすごく丁寧に解説してくれて、「この飛行機に乗ってよかった」と思わせるプロだなと思った。たった1時間でも特別感を出し、空の旅を演出する。すごいなぁと聞き入っていると、最後にこんなことを言っていた。

通常ですと、この飛行機は、6人のクルー、○○、○○、(全員の名前を紹介)、で皆様をお迎えするのですが、あと2名、○○、○○、も搭乗しております。彼らは訓練生でございます。明日が最終試験、本日が最後の訓練となります。良いことも、悪いことも、何でも彼らにお声掛けください。そのお声が、彼らの乗務員人生の糧となります。

人を育てるって、こういうことだよなぁとしびれた。親が子を育てるのもそう、先輩や上司が新人を育てるのもそう、親や上司だけじゃなくて、周りにいる人全員が育てるんだよな。本人たちも周りの人、環境すべてから育てられる。

一人じゃないぞ、見てるぞ。って言ってもらえて、訓練生も嬉しかっただろうなぁ。

残念ながら飛行機を降りる時に訓練生には出くわせなかったけど、私も陰ながら応援しているよ。大丈夫、今まで頑張ってきたんだから明日の試験は自信を持ってやるんだよ。

そんなことを思いながら空港をあとにする。そして、さっきの言葉は、私自身に向けた言葉かもな、なんて思いながら、リムジンバスのおじちゃんにバスのチケットを渡した。

マニキュア落とした爪が恥ずかしい

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