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原則のないトレーニングはブレる。

世の中にトレーニングは数多くあり、現在進行形で「方法」は増え続けている。
方法論ばかりが増えると、必ず「どのトレーニングがいいのか」という対比論が起きる。
 
専門家が自他のトレーニングについて議論するのは良いことだが、スポーツの現場では困ったことになる。
どのトレーニングがいいのか、という疑問はそのまま「本当にこの方法でいいのか」という不安になるからだ。
 
それゆえ私は物理学という普遍の概念をベースに置くのが重要と考えた。
その競技のパフォーマンスアップにつながるかどうかの選択基準、つまり物差しになるからだ。
▶︎科学的とはどういうことか言えますか?
 
***
 
努力のベクトルを決めるわけだから、トレーニングをどう選択するかは非常に重要。特に我々のような指導する側の立場は他者の努力の方向性を決めるので、なおさらだ。

だから、
どんなトレーニングを導入するかを絶対に間違うべきでない。
導入する前には指導側は徹底的に勉強するべきだ。
 
と、いうのが理想論。
実際はなかなかそんなわけにはいかない。
 
「合っているか、ずれているか」なんて、なかなかわかるものではない。
結果から見極めようにも、スポーツの結果は大小様々な要因から決定するもの。
トレーニングは勝敗に関与する1つのファクターに過ぎないのが現実。
 
強豪校やトップアスリートがやっているトレーニングが絶対に正解、と言えるわけではなく”正解の可能性が高いモノ”に留めるべきシロモノだ。

トレーニングはやればやるほど身体が変わる。
同時に、動きも変わる。
良い方向にも、良くない方向にも、だ。
いずれにせよ自身の持つ課題に対しての解決策として的確なのかどうかの検証が不可欠である。
 
*** 
 
トレーニングにしっかり取り組めば取り組むほど、身体や動きはどんどん変わる。
そうすると、同じトレーニングでは事足りなくなる。
簡単にいうと、神経や筋肉、脳に対する刺激量が足りなくなる。簡単に挙げられる重さ、簡単にできる動きばかりやっていても不十分だというのが一例だ。
 
だからトレーニングは選手の変化に応じて必ず変化させていかねばならない。
 
ここからが重要。
 
変化させるものは、とにかく変えればいい、とにかく強度を上げればいい、という単純なものではない。変化させる場合、方向性がずれないために最も重要なことは何だろうか?
 
それは、『原則』。
『原則』とは、多くの場合にあてはまる基本的な規則や法則(大辞林)。
 
つまり判断基準であり、変化の物差し。
だから応用がきく。
数学の公式みたいなものだ。
 
トレーニングを変化させて選手に最適化するには『原則』が不可欠。
軸のブレない変化には『原則』が必要なのだ。
 
JARTAトレーニングには4つの原則がある。
トレーニング時の指針であり、JARTAのトレーニング全てがここに当てはまるように設計されている。
 
1)全身操作性の原則
偏った部位だけでなく全身を思い通りに細部まで多様に操作せよ。
空間・速度・力・タイミングの操作を鍛錬せよ。
空間とは関節の角度調整のこと。
速度とは収縮速度・脱力速度・重心移動速度・身体そのものの操作(移動)速度。
力とは最大出力・最大脱力のこと。収縮・脱力の幅。リラックス度合い、外力利用。
 
2)同時実行の原則
複数のタスクを同時に実行できるように展開せよ。
そのために誰もがリラックスが難しい場面でこそリラックスできるようにせよ。
同時実行項目は、筋力・バランス・スピード・呼吸・目の操作・会話・ボール操作・内外認識・戦術実行など多岐に渡る。
試合や練習に臨む以上、それを相手よりも優位に遂行するために必要な全ての因子は同時実行に関与するタスクである。
参照▶︎アブレスト能力(同時実行能力)
 
3)反射利用の原則
伸張反射を使いこなせるように身体機能・身体操作の向上を展開せよ。
動きの中で、反射が担う割合を増やしていけ。
反射を阻害しないようにしながらパワーを向上させよ。
どんな場面でも反射を起こせる状態を獲得せよ。
参照▶︎ハイパフォーマンスに必須の回旋系身長反射
 
4)運動学習の原則
試合や日常で無意識に出現・獲得できるまで繰り返せ。
頻度と質を重視せよ。
日常の全ての動きと意識を鍛錬とせよ。
*頻度と日常レベルの習慣によって脳に変化を起こす(パターンの変化)。
参照▶︎人間の強力な学習能力
 
+)連環性
上記それぞれが相互に影響し合う。
 
以上がJARTAトレーニングが考えるパフォーマンス向上のために不可欠な『原則』だ。この『原則』を無視して行うとトレーニングと成果が乖離するリスクが大きくなる。
JARTAには明確なコンセプトがあり4原則もここに内包される。

最後に。
そもそもトレーニングにおいては一般的な原理原則がすでに存在する。
非常に基礎的な部分なので、もちろんそれも押さえた上でのJARTAトレーニング4原則だ。
 
念のため、トレーニングの3原理5原則をざっくり記載しておく。

▶︎トレーニングの3原理
1)過負荷の原理
機能を向上するためには、すでに持っている能力以上の負荷を与える必要がある。
ある程度重さや動きに慣れてきた場合には、さらに大きな負荷をかける必要性を意味する。
 
2)特異性の原理
トレーニングの種類によって効果は変わってくる。
特定の効果が必要ならそれに応じたトレーニングを行わなければならない。
 
3)可逆性の原理
トレーニングをやめてしまうと身体が元の状態に戻ってしまう。
 
▶︎トレーニングの5原則
1)意識性の原則
トレーニングを行うときに意識をすることでさらに効果が高まる原則。
自分がやっているトレーニングの意味や効果、鍛えている部分などを理解することで、トレーニングの効果向上が期待できる。
 
2)全面性の原則
全身をまんべんなく鍛えることで効果がアップする。
身体の一か所だけを鍛えると、関節や筋肉に負担がかかり、ケガの原因にもなる。
 
3)漸進性の原則
「漸進性」とは物事をゆっくり進めること。
トレーニングでは少しずつ負荷を上げていくほうが効果的としている。
 
4)個別性の原則
トレーニングを行う人の体力や性別、年齢に合わせたメニューが必要。
トレーニングのメニューはそれぞれの身体特性に合わせて決定する必要がある。
 
5)反復性の原則
トレーニングは繰り返し、規則的に長い時間かけて行うことで、効果が高くなる。
短期間のトレーニングで鍛えた身体は、運動を辞めてしまうと短い時間で元に戻ってしまう。


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