見出し画像

フィジカルが勝利に結びつくための条件

サッカーの試合で勝つために必要な「フィジカルの要素」はどんなものがあるだろうか?
試しにピックアップしてみてほしい。
例えば「体幹の強さ」や「スプリント」などだ。

ちょっとサッカーのフィジカルに関心のある方でしたらかなりたくさん出てきたのではないだろうか。
普通にピックアップすると余裕で100は超えてくるほど、サッカーにおけるフィジカル要素は数多い。(というかフィジカルが関与しない競技動作は存在しない)
私はサッカーの他にもプロ野球やカヌー、ラグビー、空手や柔道など多くの種目の選手を指導しているが、その中でもサッカーは含まれるフィジカル要素が群を抜いて多い。
それだけに、しっかり論理立てて優先順位をつけなければ”場当たり的”になってしまいやすいものと言える。
今回はそんなサッカーにおけるフィジカル要素の扱い方について掘り下げたいと思う。




画像4

トレーニングが試合でのパフォーマンスと繋がらない

出てきた一つ一つの要素について、その要素を鍛えるためのトレーニングは数限りなく当てはめることができる。
例えば”〇〇筋に対するトレーニング”である。
多くの発信者が好きにタイトルを付けて「サッカーのための〇〇」とやっているのがこれら要素に対してである。ぶつ切りの簡易化構図である。
一般的に要素は細かく分解すればするほど、わかりやすくなる。「サッカーのトップ選手はみんな〇〇筋が発達している。だからサッカーが上手くなるには〇〇筋を鍛えるべきだ。」という構図。

これが私が繰り返し述べてきている、要素還元的な思考によって全体構造を無視した”パーツの暴走”である。
これの何が問題かが全くもって分からない場合は、かなりパーツの暴走にやられている。


この非常によく目にするフレーズにはツッコミどころ満載である。

一例を挙げると、
サッカーのトップ選手たちの〇〇筋が発達しているのは、鍛えたからなのか、それとも彼らの動きを実現するために(重心位置などにより)使うことを要求された「結果」としての発達なのか。
最低でもこの2つは分けて考えなければ、同じ量の筋肉は付いたけれど動きはまったく不十分、というベクトル上で努力することになる。
それぐらい、”単純ではない”。

サッカーは全体構造をA+B+Cと要素を分解できても、A+B+Cの総和は全体と同じにはならない。
これはA,B,Cのそれぞれの要素が独立していないことを意味し、AからCのそれぞれが影響関係にあることを意味している。要素の和よりも全体は常に大きい。

フィジカルだけでなく、シュートだけ、ドリブルだけ取り出す行為も同様である。

つまりいくら細かく要素を分解してそれぞれを鍛えたところで、全体との関係や要素間の関係を無視してしまうとサッカーに戻らない。トレーニングが試合でのパフォーマンスと繋がらない。
(かといって細かく構成要素を分解して分析する姿勢が不要なわけではないが)

冒頭でサッカーの試合で勝つために必要なフィジカル要素は、どんな要素をあげていたとしても、無意識に「サッカーで有効な」が頭に付いていたはずだ。

「体幹を強化したい」
本当は→(サッカーで有効な)体幹を強化したい

問題はこの「サッカーで有効な」の部分。
どうやって有効であることを担保しているかだ。体幹トレーニングの提供者を信頼しているから確認は不要?有名選手がやっているから大丈夫?
本当にその理由だけで大丈夫だろうか。
上手くいかなかった時、どうやって検証するのか。
体幹に負荷をかけるのは確かに体幹トレーニングと言えるが、それがサッカーで使うべき体幹機能と本当に合致しているのか。
その体幹機能を使う時の『状態』すなわち意識の向け方は果たしてサッカーの構造と合致しているのか。
トレーニングを選ぶ際に最も重要なことは、何をやるかではなく、『何をやるかを決定するに至るプロセス』の方である。




画像1

勝利から逆算した股関節トレーニング

要するに重要なことはフィジカルの要素が「どのように」サッカーの勝利に関係するのかという「つながりの部分」を常に論理的に把握しておくことだ。
決して股関節や背骨などの身体の各部位からスタートするべきではないし、同様に「速く走るためには」から始めるべきでもない。
股関節をトレーニングする場合は「勝利」から逆算して股関節にたどり着かなければならない。
スプリントトレーニングをする場合も「勝利」から逆算してそのトレーニングにたどり着かなければならない。

トレーニング方法の決定プロセス
勝利

戦術実行に必要な動作

その動作に必要な運動の組み合わせ

その運動が発揮できるための条件

組み合わせを構成する各運動に必要な身体部位の機能
(ここで股関節が出てくる)

その機能を発揮するためのトレーニングの選択
(様々な前提条件が設定された股関節トレーニングが決定)

*このあたりの詳細なプロセスとその重要性はサッカー戦術動作アプローチの講義に譲る

サッカー戦術動作アプローチではフィジカルトレーニングを決定するためのプロセスを徹底して習得していただくための学習プログラムです。

あなたはピックアップされ分離され耳ざわりの良いタイトルを付けられた”要素分断トレーニング”に陥っていないだろうか。




戦術動作インスタ/note用.007

サッカー戦術動作アプローチ

詳細はコチラ→https://jarta.jp/soccer-approach/

チームとして実現すべき戦術を実行するための動作構造を『戦術動作』と名づけ、戦術動作の理解を通して戦術実行レベルの向上につなげるための学習プログラム。
トレーニングの方法はほぼ出てこない。
指導者は、選手を守るために、選手の努力を守るために、”専門家”以上にあなたの戦術における身体の動きの構造に詳しくなる決意をしなければならない。
これはサッカー指導者のための『フィジカル取り扱いマップ』である。


次回は同じ練習をしているのに差が生じる理由について




画像3

全てはパフォーマンスアップのために。



中野 崇 
YouTube :Training Lounge|”上手くなる能力”を向上
Instagram:https://www.instagram.com/tak.nakano/
Twitter:https://twitter.com/nakanobodysync

画像2

1980年生
戦術動作コーチ/フィジカルコーチ/スポーツトレーナー/理学療法士
JARTA 代表
プロアスリートを中心に多種目のトレーニング指導を担う
イタリアAPFトレーナー協会講師
ブラインドサッカー日本代表戦術動作コーチ|2022-
ブラインドサッカー日本代表フィジカルコーチ|2017-2021
株式会社JARTA international 代表取締役

JARTA
Home Page
トレーナーカレッジ|トレーナーのためのハイレベルオンライン学習
ホームGym|自宅で動画を見ながらできるトレーニングプログラム
トレーニングオファー
あなたの状態と目標のギャップを埋めるための身体操作トレーニングを指導します

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?