日本人教師によるミャンマーの子どもたちへのオンライン実験授業が好評、ジャパンハート部による新しい支援
ジャパンハートは「医療の届かないところに医療を届ける」というミッションを掲げ、25年以上にわたり、ミャンマーやカンボジアなどのアジア、日本国内で医療活動を続けています。
そのジャパンハートをマンスリーサポーター(月額寄付会員)として支援する中学校の教員の方が、今年の9月に自ら提案し、ミャンマーでジャパンハートが運営する児童養育施設Dream Trainの子どもたちにオンラインで科学実験の授業をしました。
今回は、授業をすることになったきっかけや感想、今後の可能性などを詳しく聞きました。
執筆:峯あきら
理科を学ぶ「楽しさ」を伝えたい
―ジャパンハートとの出会いについて教えてください。
私は元々、東南アジアに興味がありました。何度か現地を旅行したり、募金活動をしたりしましたが、自分の中ではどこかしっくりきていませんでした。海外の日本人学校で働くことも検討しましたが、子どもがいる自分にとっては3年という任期のハードルが高かったです。
そんな中で3年前、私の家の隣にたまたま技能実習生であるミャンマーの女の子6人が引っ越してきました。彼女らが健気に生活している様子を見て、ミャンマーという国により一層興味を持ました。
そうしてミャンマーに色々と関わっているとき、テレビ番組の『カンブリア宮殿』にジャパンハートの設立者である吉岡秀人先生が出演しているのを見ました。その番組の中で、先生が言った「自分のためにボランティアをすればよい」という言葉が私の心に突き刺さりました。これまでは、ボランティアは自分の生活を犠牲にしてするものだと思っていましたので、自分のためにするという考え方が目から鱗だったんです。
―ジャパンハートに関わるようになってご自身に変化はありましたか?
ジャパンハートの事務局の方から公式InstagramやFacebook、吉岡先生のZoom講演会の情報などを教えていただきました。最初はインターネットに不慣れで怖かったのですが、事務局の方の懇切丁寧な説明のお陰で、今ではそれらから情報収集ができています。
マンスリーサポーターが加われるFacebook上のコミュニティであるジャパンハート部にも加入しました。ジャパンハート部で色々と話を聞いているうちに、自分も「何かできる範囲でできないかなあ」と考えるようになりました。そこから現地に「ピアニカを送りたい」と相談したときも、事務局の方が真摯に対応してくれて嬉しかったです。
吉岡先生の言葉が自分の背中を押した
―Dream Train科学実験ライブを実施することになった経緯を教えてください。
Dream Trainの存在を知ってから、現地に行きたいとずっと思っていました。吉岡先生が「大したことができなくてもいい」と言っていたので、肩ひじ張らずに行ける気がしていたんです。しかし、新型コロナやミャンマーの政情不安を考えると、今は行ける状況にありません。
そんな中、新型コロナの影響で街がロックダウンしてしまい、子どもたちが授業を受けられずに困っていると聞いたとき、自分に何かできるのではないかと考えました。そこで、日本の理科室とDream Trainをつなぐ、オンラインの科学実験を思い付きました。このアイデアを事務局に伝えたところ、諸々調整してくださり、実現しました。
―オンラインで科学実験の授業をすることに不安はありませんでしたか?
最初は自信がなく、自分のやることが本当にDream Trainの役に立つのか疑問な面もありました。しかし、吉岡先生の「成功の反対は失敗ではなく、行動しないこと」という言葉が私の背中を押し、まずは「やってみよう」と決心しました。ミャンマーの担当者の方からのお返事を待っている間は、ドキドキしていましたが、懐が深いジャパンハートの人たちが私の提案を受けてくれました。
―実際に授業してみていかがでしたか?
最初は、高校生の子どもたちに興味を持ってもらうために、酸性・中性・アルカリ性で液の色が変わり、変化を楽しめる実験をしました。ただ、オンラインなのと、ミャンマー語がわからなかったので、最初は子どもたちの反応が今一つわかりませんでした。
しかし、終わりの方に化学式を見せたところ、「アンモニア」という声が聞こえました。子どもたちが積極的に発言してくれたのが嬉しかったのと同時に、化学式は万国共通であることを実感しました。授業の後ですが、あの場面で現地のスタッフの方から子どもたちが学んできたことが実験とつながったと聞きました。
―今回の授業の狙いと次の予定を教えていただけますでしょうか?
まずは、酸性・アルカリ性といった成分が、石鹸や洗剤、果汁などのように身近なものに関わっていることを実感できるようにすることが狙いでした。それに関係する化学式とイオンの電離式は世界共通なので、頑張って身に付けてほしいことも伝えています。やはり化学式を丸暗記するのではなく、実験を楽しみながら勉強してもらえたら嬉しいですね。
次の授業は、静電気の授業をする予定で、今回同様に子どもたちに楽しんでほしいです。今回は、1回目の授業だったこともあり、子どもたちが静かな印象を受けました。次回は、それぞれの名前で呼ぶことで距離を縮め、積極的に発言できる雰囲気を作っていくよう努めていきたいですね。
―今後どのようにジャパンハートと関わりたいでしょうか?
月1回のペースでDream Trainの子どもたちに授業をしたいと思います。本当は、もっとハイペースでやりたい気持ちもあるのですが、無理なく続けるのが目標です。
さらに、Dream Trainに2泊3日のボランティア活動を希望しています。中学校の授業で吉岡先生が出演した「カンブリア宮殿」を見せたところ、ミャンマーの支援活動に「加わりたい」と希望する生徒がいて、一緒にできたら嬉しいです。ジャパンハートと末長く関わりたいですね。
***ジャパンハート マンスリーサポーター募集中***
世界にはまだまだ貧困に喘ぐ子どもたちがたくさんいます。現在私たちがアクセスできているのは、医療を届けたい患者数の5%にも及びません。今も同じ時間にこの地球で、病気や飢餓に苦しんでいる子どもがいるのです。
私たちの活動に共感し支援してくださる、さらなる仲間(マンスリーサポーター)を募集しています。1日100円からの支援で、医療の届かないところへ医療を届ける、仲間になりませんか?
詳細は、ジャパンハートのホームページからご覧ください。
ジャパンハートについて、こちらの動画をご覧ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?