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ISTの進捗は何合目?



1. 再度活動の拠点を東京に


今から約2年半前となる2022年1月にインターステラテクノロジズ(以下IST)に入社すると同時に東京から北海道・大樹町に移住しました。以前のnote(前編後編)でも記載した通り、北海道において仕事ではロケットに関わるたくさんの方々とのご縁を頂きました。またプライベートでは北海道旅行に北海道の食材を使った料理にと非常に充実した日々を過ごすことができていました。

また入社した当時の70番だった社員番号がいまでは170番と、この2年半で会社の規模が2倍以上に拡大しました。会社がどんどん成長する中で、優秀なチームメンバーもどんどん参画してきてくれており、自身としても成長し続けなければならない点は言うまでもありません。

長く続いたコロナ禍も2023年になりようやく終焉を迎え、オンラインのみのカンファレンスやビジネスのネットワーキングは鳴りを潜めました。そのお陰で時には月の半分は出張で東京や海外で過ごすといったことが多くなってきました。幸いなことにチームメンバーの大活躍により事業の進捗も目に見える形で対外的にも公表できるようになってきました。詳細は「2. 事業の現在地と将来像」に記載していますが、文部科学省の研究開発を目的とした補助金制度SBIR(Small Business Innovation Research)、JAXA(日本宇宙航空研究開発機構)やイタリアの民間企業D-Orbitとの包括契約などがその一例です)。

国産ロケット、新興4社で選抜競争 27年度に打ち上げへ

日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC271J30X20C23A9000000/

JAXA selects Interstellar Technologies as priority launch provider

Space News
https://spacenews.com/jaxa-selects-interstellar-technologies-as-priority-launch-provider/

イタリアのD-Orbitと打上げサービス提供に関する包括契約を締結しました

自社プレスリリース
]https://www.istellartech.com/news/press/8745
▲ 2024年2月にシンガポールで開催されたGlobal Space and Technology Convention(GSTC)にてD-OrbitのMatteo Bartolini(VP of Sales Engineering)さんと記念写真
▲ GSTCにおけるパネルディスカッションの様子。テーマは「- Celestial Innovators - Revolutionising Launch Services for Tomorrow's Missions  」。コロナ終息後はオンラインのみのカンファレンスやビジネスのネットワーキングは鳴りを潜めた

もちろん引続き北海道をベースにしながら良質なアウトップは出せたと思います。しかしながら機会損失に繋がっていないかと問われると、もっと事業をドライブするためには関係省庁や主要顧客が集まる東京を拠点にした方が効率的ではないかと考えるようになりました。このような背景から2024年4月からロケットのセールス、衛星インテグレーションのオペレーション、経営企画の機能については東京をメインに、ブランディングや地域渉外の機能については北海道をメインとすることにしました。

2. 事業の現在地と将来像


東京に拠点を移してからは毎日東陽町にある東京支社に出社しています。中央官庁もすぐに行ける距離にあり、また海外からカンファレンスに来る顧客候補との商談など、これまで以上に効果的にこなせていると感じています。単純に機能分割しただけなので、北海道には引続き月に2回程度は出張しています。

そんな中、今月(7月)に東京都内においての事業報告会を実施しました。主な目的は・・・

「新経営体制および開発・事業進捗を報告し、会社のステージが変わった」

ということを社内外に認知してもらうことでした。私自身としてもこれまでの実務側から取締役 COO(Chief Operating Officer)として経営側に役割をシフトすることになりました。これまでの商社での投資先への出向経験や経営コンサルティング会社で経営改善の伴奏を行ってきた知見を駆使しながら、ドライバーズシートに乗って「ディープテック」×「スタートアップ」の事業をドライブできるチャンスを創業者、投資家、代表といった経営メンバーから頂けたことは非常に稀有なことであり、ありがたいことだと感じています。

一方で結果が全ての世界なので、結果が残せなければ選手交代であることは重々承知の上で今回のオファーを受けました。

事業報告会の詳細はCommunications & Brandチームが作成してくれたnoteをご参照いただきたいのですが、事業面で記載していることは以下の5点です。

  • ロケット産業は、日本に勝ち筋のある数少ない分野地方発のスタートアップ、しかも製造業で世界に勝てるものを作る

  • 打上げコストを下げることができれば、今までになかったビジネスモデルを創造することができる

  • ロケットと衛星事業、その中でも特に通信事業との垂直統合を実現したい

  • 顧客ファーストの体制を構築し、官需と民需の需要の取り込みを加速する

  • 難易度は非常に高い。しかしながら、どうせ同じ後悔をするなら小さな失敗よりも大きな失敗をした方がいい、それぐらい大きな挑戦、より価値があることをやり遂げたい

ちなみに当日の内容は日経新聞様やUchuBiz様など各種メディアにも取り上げて頂きました。本当に感謝です。

3. ISTをどのような会社にしていきたいか


出身業界、年齢、専門性、国籍、性別などさまざまなバックグラウンドのメンバーが増えてくると意思統一の難易度は指数関数的にどんどん上がっていきます。部門間の情報の格差も出てきますし、コミュニケーションの仕方も工夫していかないと思わぬところで誤解があったりもします。自身としてもこれらの課題に対する改善の伸びしろはまだまだたくさんあると感じています。私としてはISTという会社がさらに飛躍していくために以下の3つの価値観を大事にしています。

▲ 大事にしている3つの価値観

I. 会社と個人の関係|会社は個人の成長に寄与する機会を提供し、個人は成長のために努力を惜しまないこと

これは会社と個人の関係性があくまでもフェアでありたいということを示しています。つまり会社は個人の成長に寄与する最高にエキサイティングな職場を提供する。それに対して個人は自身が成長するために全力で取り組む、矢印が一方方向ではなく、いわばGive&Takeの関係でありたいと思っています。

II. 個人と個人の関係|個人と個人が互いに成長し合える環境を意識すること

これは一緒に働く仲間の優れたところを見つけ出し、自然とスキルシェアしたくなるような雰囲気を醸成するように意識することを示しています。まさにバックグラウンドが異なる分野出身の仲間がたくさんいるISTだからこそできることだと思っています。

III. 会社とステークホルダーの関係|最大のステークホルダーは従業員であること

ステークホルダーというと株主や取引先が真っ先に頭に浮かぶとは思いますが、それはあくまでも対外的なステークホルダーであり、最も重要なステークホルダーはやはり従業員であると思っています。従業員が輝かない会社に将来は望めないと思います。もちろん経営資源が限られる中、会社としてできること、できないことは優先順位を付けて対応していかなければなりません。

いまだ道半ばではありますが、ISTで働いていて良かった、友人や親戚にもぜひこの会社を薦めたい!と言ってもらえるように経営として不断の努力をしていくしかありません。

4. 最後に


さて、藪から棒ですが、今年2024年は私が社会人になってから18年目の年になります。私は1年間のカナダへの留学と理系大学院卒なので普通の人よりも3年ビハインドで社会人になっています(商社的な表現をすると新卒2007年入社、換算2004年入社となります)。人生100年時代とは言われるものの、年金支給開始が早期の60歳とした場合、何気に仕事人生のほぼ半分が終わったことになります。今の時点で自身の仕事人生を振り返った際、前半が種蒔きの期間、後半が刈り取りの期間とすると、2024年はまさに折り返し地点、すなわち刈り取りの期間の初年度となる重要な年だと思っています。

スタートアップは売上を立て、独り立ちして、世の中の不を解決してなんぼの世界です。その観点からすると、今のISTはまだ何も達成していない段階です。もちろんその過程において観測ロケットの打上げを成功させたり、日本政府からバックアップを頂いたり、ベンチャーキャピタルや事業会社といった投資家から投資頂いたりして、何とか成り立っているいわばよちよち歩きの状態です。

応援してくれている政治家の先生方、これまでなかった新しい制度を作り運用まで漕ぎつけて頂いた官僚の方々、将来性を信じて投資検討・実行して頂いた投資担当の方々、本社の地元・大樹町の関係者の方々、そして日々難題に立ち向かっているISTの仲間たちと、たくさんのステークホルダーが一丸となってこの事業を成功させようと頑張っています。これらのみなさまからの応援を反故にしないためにも、感謝の念を忘れず、着実に成長して一日でも早く独り立ちできるように日々実直に頑張っていきたいと思います。

こんなISTで一緒に事業を創っていきたいという方がいらっしゃれば、全方位で仲間を募集中ですので、ぜひ応募頂きたいと思っています。

▼ インターステラテクノロジズ|採用ページはこちら
https://www.istellartech.com/career


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