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【ご報告】なぜインターステラテクノロジズは「誰もが宇宙に手が届く未来」を目指すのか、現在地と将来像、そして想いと決意を全文公開します

インターステラテクノロジズ(以下、IST)は2024年7月、事業報告会を東京都内で開催しました。私たちがなぜ、ビジョンである「誰もが宇宙に手が届く未来」を目指しているのか、ロケット事業と人工衛星事業の現在地と将来像、そして開発・事業開発・コーポレートの各経営陣の想いと決意を全文公開いたします。


WHO WE ARE 「ISTの現在地」

代表取締役 CEO 稲川 貴大

本日はお集まりいただき、ありがとうございます。今、宇宙業界は激しい変化の中にいます。その変化に追従し乗り切れるよう、我々の現在地と目指している姿、どこにいて、何を目指しているのかを知っていただきたいと思っています。


ISTは2013年、北海道大樹町に事務所を構えたことがスタート地点です。当時は、小型の人工衛星を小型ロケットで打ち上げると言っても、ほとんど誰もピンと来ていない時代でした。ISTは、将来どうなるのかという「未来予測」、自分たちの手でものを作る「モノ作り」、そして次につながるよい意味での「トライ&エラー」、そこに非常にこだわりを持っている会社です。そのDNA、文化を今もとても大事にしています。

目指しているのは「低コストで高頻度な、世界で選ばれるロケット」。さらに先のビジョンとしては「誰もが宇宙に手が届く未来」を当初からずっと掲げています。2013年、始まりは閉店したスーパーを改装するところからでした。原野の真ん中にコンクリートが敷いてあるだけの場所に、テントを張ってエンジンの燃焼試験をしていました。例え小さくても、最初から性能が出ないとしても、しっかりと自分たちの手でモノ作りをして開発のサイクルを回すこと。それを重視してきました。

さらに、研究開発というとお金を”使う”側の話になりがちですが、我々は最初からお金を”稼ぐ”ことを意識してきました。小さくても、民間企業として当初から事業化を見据えてきました。大手広告代理店と組んだ2013年の「ポッキーロケット」はその一例です。

観測ロケットMOMO初号機の打上げは2017年。宇宙までは到達しませんでしたが、大きな実績を積むことができました。2018年の2号機は「トライ&エラー」のエラーでしたが、ここで得られた知見、経験、困難を乗り越える基礎体力。今振り返ると踏むべき試練でした。こうした試練を経たからこそ、2019年、国内の民間企業単独で初めて、かつ唯一の宇宙空間到達を達成できました。2021年には、ひと月に2回の打上げ成功を達成。今、日本の宇宙政策では、2030年代に国内から年間30回の打上げを目指すとされていますが、ここで大きな課題となるのは高頻度打上げです。規模は小さいけれども、MOMOで連続打上げを達成できたのは大きな実績となりました。

そして今、社を挙げて注力しているのが小型人工衛星打上げロケットZEROです。この1年で事業は大きく進展しました。まず文部科学省からSBIRフェーズ3に採択いただきました。さらに、JAXAのプログラム「JAXA-SMASH」で優先打上げ事業者として選定いただきました。海外顧客も、イタリアの宇宙ベンチャーD-Orbit社と包括契約を結び、日本のみならずグローバルで展開していくための足がかりができました。

技術的にもしっかりと成功を刻み、大きな開発マイルストーンを達成してきています。エンジン燃焼器単体試験は試験自体の成功もさることながら、家畜ふん尿由来のバイオメタンを使った、民間ロケット会社としては世界でも初めての事例となりました。また、MOMOとの一番の違いであり、ロケットエンジンの心臓部となるターボポンプは、試行錯誤しながらも自社で設計して組み立て、試験までできる体制を作ることができました。推進剤タンクは機体がMOMOよりも何倍も大きくなる中で、ハンドリングを含めて大きなチャレンジでしたが、溶接や試験を自社でできたのは大きなマイルストーンです。

メンバー数は170人を突破しました。MOMOを打ち上げていた2021年は数十人でしたが、大きく次のステージに進んでいます。北海道大樹町で始まったISTも、今では帯広支社と東北支社の建設、そして東京支社の増床と大きく拠点が拡張しています。ロケットは宇宙のインフラです。その根幹を担える会社になるため、ロケットを高頻度に打ち上げられる体制を構築しようとしています。

WHO WE ARE 「さらなる前進のために」

そしてさらなる前進のため、取締役を改選し、経営体制を刷新しました。研究開発、事業開発、コーポレートそれぞれの領域に担当役員を置き、持続可能でスケーラブルな事業ができる足元を固められたと自負しています。取締役も、これまではファウンダーの堀江(貴文)が目立っていたところではありますが、事業を成長させる原動力として強力な方々に新たに入っていただきました。

最後に、ISTが大事にしているバリューをお伝えします。それはプロとしての自負を持ち、自らを高める姿勢や仕事のパフォーマンスにこだわる「プロフェッショナリズム」と、個人最適に偏重せずに、組織全体をとらえる視点を持って他者や組織に貢献する「メンバーシップ」です。ロケットは燃料と酸化剤が合わさって初めて、推進剤として力を発揮できます。我々も「プロフェッショナリズム」と「メンバーシップ」を合わせ持って、事業を加速させていきます。


ISTだからこそできる挑戦で、宇宙産業の拡大に貢献する

取締役 VP of Launch Vehicle 中山 聡

大学院修了後、三菱プレシジョンに入社。ロケットや衛星等の搭載機器開発に12年間従事。基幹ロケット含む国内主要ロケットに搭載される航法センサ開発ではプロジェクトマネージャを担当。2021年1月にインターステラテクノロジズ入社、アビオニクス開発、信頼性設計、品質保証を担当し、同年9月から開発部ゼネラルマネージャー。2024年5月より現職(衛星開発部長兼務)。

私が基幹ロケットの開発に携わっていた時、日本が世界の宇宙産業の変化に追いつき、追い越すためには変革が必要だと強く感じていました。ただ、既存の宇宙開発は実績重視になりがちで、新たな技術や新しい取り組みに挑戦しづらいという課題がありました。一方、ISTの強みは新しい挑戦ができることです。ISTの存在意義は日本産業の変革にあると思っています。

我々が開発しているロケットZEROには新しいサプライヤー、新しい部品、新しい技術、新しい取り組み、新しい挑戦がたくさん入っています。ZEROが打ち上がることで、それらの挑戦は実績となり、日本の宇宙産業全体に広がっていきます。その結果、日本の宇宙産業が拡大し、サプライチェーンを強化できる、私はそう信じています。「誰もが宇宙に手が届く未来をつくる」という大きなビジョンを実現するためには、従来のやり方だけだと難しいことは明らかです。ISTだからできる挑戦で、宇宙産業の拡大を実現する。日本、アジア、世界、未来の子どもたちに対して、これを実現することがISTの責任だと考えています。

ZEROの特徴は設計内製率の高さ、それにより設計自在性が確保されていることにあります。市場に合わせた柔軟な設計改善が自分たちの判断でできること(最適化)。責任や仕様、契約など多種多様なインタフェースを排除し、削減・統合できること(合理化)。新しい規格・基準・技術の導入を可能にすること(革新)。これらは設計自在性があって初めて実現できます。低コスト化、打上げ機数の確保、市場への柔軟な対応により、競争力のあるロケットを実現していきます。

開発部には現在、120人以上のメンバーがいます。エンジンチームはMOMOで培った技術と基幹ロケットの開発の知見を両輪で融合させることで、迅速・確実に開発しています。構造・メカトロニクスチームは航空宇宙のみならず、自動車や他の業界の知見を融合し、新技術を扱いながらも必要な信頼性を確保しています。アビオニクスは宇宙産業で活躍した中堅を核とし、新しいアプローチに挑戦できるチームです。

2023年11月から2024年2月にかけて行ったエンジン燃焼器単体試験で使用した実際のエンジン。事業報告会でも展示しました

生産技術・製造・組立チームは基幹ロケットや電機業界の経験者らを、MOMO開発にも携わったリーダーが取りまとめています。開発初期から現場が関わることによって製造・組立目線でのフィードバックを開発に生かせることも、ISTの強みです。品質試験・品質保証チームは自動車業界出身のメンバーが中心です。秩序を持った挑戦にするために必要な規格・規定を構築しています。必要な信頼性と品質を維持した上でコストを低減できる、そういった仕組みを作っています。

この1年はサブスケール試験で技術課題を洗い出せた年でした。今はフルスケール試験の準備に取り掛かっていて、既にフルスケール用モデルをいくつも製造しています。開発は確実に進んでいます。ZERO打上げに向けて、IST一同邁進していきます。


「ロケット × 通信事業」の垂直統合を実現し、サステナブルなビジネスモデルを構築する

取締役 COO 熱田 圭史

九州大学大学院航空宇宙工学専攻修了。三菱商事において自動車関連の海外営業・事業投資を担当。海外駐在時は投資した子会社に出向し、経営企画・戦略立案に従事。その後、フロンティア・マネジメントにおいて主に食品製造業・外食産業の中小企業を中心に中長期戦略策定・実行支援等に従事。2022年1月にインターステラテクノロジズに入社、事業開発、経営企画、PR・マーケティングを担当し、2024年5月より取締役 COO。

ロケット産業は、日本に勝ち筋のある数少ない分野です。地方発のスタートアップ、しかも製造業で世界に勝てるものを作る、そんな機会はそうないだろうと思って入社しました。自分の社員番号は70番なのですが、現在の社員数が170名なので、この2年で会社の規模は約2倍になりました。会社がどんどん成長する中で、自分も成長し続けないといけないと思っています。

打上げコストを下げることができれば、今までになかったビジネスモデルを創造することができます。例えばインターネット。今は海底や地下に光ファイバーケーブルを敷設していますが、SpaceXの「Starlink」や「OneWeb」「AST SpaceMobile」など、宇宙空間を使った全地球インターネットが盛んになっています。ビジネスは投資コストに対して売り上げが立てられるかで決まります。売り上げによって投資コストを回収できれば、事業としてサステナブルになる。通信衛星のコンステレーションは現実のビジネスになってきています。

我々は足元ではロケットを作っていますが、ロケットと衛星事業、その中でも特に通信事業との垂直統合を実現して、サステナブルなビジネスモデルを構築したいと考えています。まずは垂直統合のど真ん中にある宇宙輸送に注力していますが、ロケットの0段目とも例えられるロケット発射場に加えて、今後は衛星事業も手がけていきたいと考えています。

ロケットの事業開発は、顧客との契約から衛星の搭載、打上げウインドウ確保まで一気通貫で対応することで、顧客ファーストの体制を構築しようとしています。まず、Sales & Business Development は国内外の官民のお客様との契約を着実に獲得していきます。続くMission & Payload Integration では顧客から衛星をお預かりして、宇宙まで確実にお届けします。宇宙輸送事業ではここが肝になります。この分野で知見のある人材は国内にあまりいませんが、グローバル人財を獲得することでISTでは強いチームができてきています。Communications & Brand は、いわゆるPR・マーケティング機能だけではなく、ロケット打上げに欠かせない地元の方々の理解促進の役割を担っています。打上げは地元の皆様と一緒に産業を作るもの。地元の理解があって初めて打上げウィンドウが決まっていきます。民間でロケットを開発する会社としては、顧客ファーストが何より重要です。衛星のお客様からの要望にテーラーメイドで応えてサービスを作り上げ、顧客の声を開発にフィードバックしていく。こういう体制を作ろうとしています。

小型衛星の需要は、10年前と比べて20倍以上に伸びています。特にリモートセンシングと通信、これらの需要が非常に伸びています。こうした中で、この1年で官民それぞれの包括契約を締結できました。官はJAXA-SMASH、民はイタリアの有望スタートアップであるD-Orbit社。D-Orbit社は、ISTの株主でもある丸紅が直近シリーズのリード投資家となり、軌道間輸送などを手がける会社です。ちょうど昨年秋頃から打ち合わせを重ね、2024年4月に打上げサービスに関する包括契約を結びました。打上げ以外の分野でも提携を検討しており、よい議論ができています。

商用打上げに向けてですが、MOMOではクラウドファンディングや機体へのネーミングライツなど、広告マーケティング的な要素を使ってきました。ZEROは衛星を運ぶという、技術的難度が格段に上がるロケットです。これまで培ってきたMOMOのノウハウを尊重しつつ、最優先ゾーンである国内衛星事業者や省庁によるアンカーテナントなど、官民の需要に着実に応えていきます

最後に、業界内外の方々と話すと、ロケットに加えて衛星にも手を広げて大丈夫かと指摘されることも正直あります。ただ、アメリカのSpaceXのような巨大な産業を作ろうとしている会社が、今の日本にどれだけあるでしょうか。難度が高いのは重々承知しています。しかしながら、どうせ同じ後悔をするなら小さな失敗よりも大きな失敗をした方がいい、それぐらい大きな挑戦、より価値があることをやりたい、自分はそう考えています。


勝ち抜くためには、ファイナンスのパワーも必要

取締役 CFO 辻 高広

東京大学経済学部経営学科卒業。日本政策投資銀行(DBJ)にて宇宙・航空分野の投融資を中心に12年勤務。重工メーカー所管、小型ロケット企業での海外事業開発・管理部門兼任、オランダ金融機関(ING)本社勤務を含め、 グローバルな実務から地域創生まで従事。2022年にHR-Rocketを創業し、宇宙機関・宇宙系スタートアップを中心に人的資本や資金面で伴走支援。2023年4月から資金面のアドバイザーとしてインターステラテクノロジズに参画・伴走し、2024年5月より現職。

私はDBJ在籍時代の10年前、宇宙産業に出会ってしまいました。重工メーカーのロケット企業を担当した時のことです。この業界は、確実に成長性があり、日本がグローバルでも競争優位性を持つ、非常に意義ある分野だと直感しました。この頃、宇宙産業をファイナンスの力で成長支援すると考えている人は皆無でした。当時の上長に掛け合った結果、宇宙チームが立ち上がり、チームとして複数の大型投資を実行しています。自身は別の小型ロケット企業のvalue up担当として、事業側に入り込み、海外事業開発やコーポレート領域で力を尽くしました。その後、異動となって宇宙領域を離れ、さまざまなご縁とタイミングも重なってDBJを卒業し、人的資本領域で起業に至りました。創業して1年後、やはり宇宙産業のお役に立ちたいと感じ、宇宙産業へのコミットを決め、経営伴走支援(宇宙系スタートアップの人事やファイナンスなど)を開始します。その1社がISTでした。

そして、なぜ今ここにいるのか。3月に和歌山県での他社のロケット打上げを現地で見て、ロケットの産業的意義と社会的意義を改めて感じ入りました。そして、古くから先約・ご縁のあるISTの”中”からこの産業にコミットするのも意義深いと考えたのです。

宇宙系ベンチャーキャピタルの一つ、Seraphim Capitalが出しているロケット業界のカオスマップはご存じでしょうか。2018年のマップに日本のプレイヤーはいません。当時、海外のいくつかのロケット系スタートアップが鳴り物入りで何百億円もの大型調達をして、業界の構図はそこで決まると思われていました。

6年後に蓋を開けてみれば、それらの会社は、ほぼいなくなり、SpaceXとRocket lab(いずれもアメリカ)の2強は実質的に変わっていません。宇宙輸送の圧倒的な供給不足は変わっていないのです。翻って見て、2024年のマップにはISTがいます。そして、研究開発も事業開発も確実に進んでいる。改めて、ISTの勝ち切れる要素は積み重なったと思いました。

一方、どんなに開発と事業が進んでも課題となるのはファイナンスの力です。この業界は、お金を集めるだけでは勝てません。開発も事業開発もファイナンスも政府ロビイングも、バランスを適切に取ることが勝ち筋だと思っています。そういった意味で、私は今こそISTにファイナンスのパワーが必要だし、成長の最たるドライバーだと信じています。

ISTのこれまでの資金調達の方法は非常にユニークで、工夫を重ねてきています。ふるさと納税なども活用しながら、一部の大型投資家と個人投資家の方々に支えられてきました。今後は既存株主の皆様に感謝しながら、金額やグローバルの観点を含めてアップデートしていくことが、さらなる成長には必要です。融資もこれまでは北海道の地場の金融機関の方々に支えられてきました。今後は、宇宙系の他のスタートアップが活用している大型・王道のファイナンスを活用することは必須です。その実現に全力を尽くしていきたいと思っています。

人的資本の面ではメンバーが170名になりました。もしかすると今も十数人のサークル活動のイメージを持っている方がいるかもしれません。ISTに参画する前は、私も少なからずそういうイメージがありました。実際は航空宇宙、自動車、電機メーカーを中心に各領域のトップエンジニアが、そして、事業開発やコーポレートでも力強いメンバーがISTやロケット産業の熱に引き寄せられて集まっています。北海道が本社であることに変わりはありませんが、東京や他の拠点で活躍したい方にもオープンです。ロケットという事業の性質上、顧客を含めてグローバル化していくことは必然です。日本のステークホルダーの皆様のお力添えもいただきながら、グローバル化とダイバーシティも推進し、ますます成長していきます。


どこでも・だれでも・なにとでも、つながる世界を実現する

代表取締役 CEO 稲川 貴大

ここまでロケット開発、事業開発、コーポレートの話をしてきましたが、最後に、より未来の話、衛星事業についてご報告したいと思います。衛星事業、サービスブランド名「Our Stars」は世界で初めての衛星技術を用いた宇宙利用サービスです。多くの企業がさまざまなアイディアで宇宙利用サービスを進めていますが、我々はロケットと深く垂直統合するからこそイノベーションを起こせる事業領域に特化していきたいと考えています。

IoTやユビキタスなどを通じて、つながる世界は実現しつつあります。一方、本当の意味でどこでも、誰とでも、何とでもつながる世界は、宇宙を使わないと実現できません。さらに言うと、今の技術よりもう一段階アップデートしないと実現できません。そこに挑戦するのが我々の野心です。

通信領域は非常に大きなマーケットです。今もインターネットに接続できない世界の人口は30億人。通信キャリアをすべて合わせたグローバルのマーケットは100兆円を超えます。そうした中で、インターネットサービスの増加やIoT拡大による通信需要は一層大きくなっています。地上のインフラが整備されていない地域は意外と多く、山頂や海上、飛行機だけでなく、実は郊外に行くとつながらないなど、これらのエリアへのサービス提供も非常に重要になってきます。災害時のバックアップ回線の確保も大事です。宇宙を使った通信の重要度は5年10年でより増していくことは明らかです。

これまで通信と言えば、光ファイバーなどの地上インフラによるブロードバンド通信か、大型の静止衛星による限定的な衛星通信でした。今、時代は既に変わっています。小型衛星による地球低軌道のコンステレーションを使った、高速大容量の衛星通信の時代に移行しつつあります。こういった時代の変化、パラダイムシフトが元に戻ることはなく、通信領域はより一層、高速大容量の衛星通信を求める方向にシフトしていきます。その中で、ISTはどうするか。今後は、デバイスと直接通信ができ、より高速で、より大容量な通信が当然に求められます。しかし、この実現には技術的なブレイクスルーが必要です。次の世代の「衛星通信3.0」を作る、その一つのカギとなる技術がISTが開発しているフォーメーションフライトです。

技術的課題は大きく分けて「通信」と「飛行制御」の2つです。我々はこれらの基盤技術を固めて社会実装することを目指しています。一つ目の「通信」では、隊列を成す超々小型衛星群から高帯域のマルチビームを出す技術が欠かせません。2023年秋から国立研究開発法人情報通信研究機構(以下NICT)との共同研究を始め、2024年4月にはNICTからの出資もいただきました。6月には総務省の研究開発を受託し、「ダイレクト通信のコア技術を固めること」をテーマに、5大学との共同プロジェクトを始動しています。二つ目の課題である「飛行制御」は、衛星群が隊列を成すというこれまで宇宙で実証したことのない技術です。電磁石の力によって一つひとつの衛星が隊列を成して一つのアンテナを構築するまでを数値シミュレーションで確認したり、現物での技術実証のために自社で地上実験を行ったりして、基盤となる技術の研究を本格的に始めています。

最後に

改めて、我々は10年以上前から今も変わらず、未来を予測して、モノ作りをして、トライ&エラーを恐れずに挑んでいます。この会社のDNAは今後も揺るぎません。我々の事業は宇宙に“だけ”目を向けているのではなく、地球の生活を豊かにすることで初めて価値が生まれます。そのためのロケットであり、衛星です。ISTのこれからにさらにご期待いただければと思います。


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