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さび猫バッチ

~メンタル・ユリのメッセージ~

どうして僕だけこんな運命になったのか、わからなかった。僕は生まれてはいけなかったの?...

僕は4兄弟で生まれた。上の3匹はきれいな茶とらで僕だけが『さび猫』だった。最後に生まれたこともあって一番、体も小さくおっぱいも3兄弟がお乳のよく出るおっぱいを占領してる中、はじっこで飲んでいた。

4匹でじゃれあっているときも一番ちからのない僕は仲間外れになってしまうことが多くて、茶とら3匹の取っ組み合いに横から参加しているだけだった。

おなじ兄弟なのに茶とら3匹は僕をからかっていじめた。「なんでお前だけ色が違うんだよ?」「お前だけおとうさんが違うんじゃないのか?」「私たちのきれいな色と比べてみてよ。」

おかあさんは弱々しい僕のことは、あまりかまってくれなかった。子猫社会も弱肉強食、強いものが勝ち残っていく世界だ。体のちいさい僕よりもおかあさんは上の茶とら3匹をかわいがっていた。

乳離れする頃がやってきて、最近では人間のおかあさんが、べちゃべちゃにやわらかくした離乳食を毎日3回与えてくれた。茶とら3匹がお皿を陣取ってむしゃむしゃ食べる。

僕はその横から遠慮がちにお皿に顔をいれて、ふちについたご飯を食べるようにしていた。上の茶とら3兄弟は丸々として可愛らしい姿をしていたが、僕は痩せっぽちのままだった。

僕たちはおトイレの練習もさせられて、砂の上で用を足すように人間のおかあさんにしつけられた。茶とら3兄弟はふざけて、おトイレでも取っ組み合ったりしていたが、僕は真剣におトイレの練習をした。

ある日おうちにお客さんがたずねてきた。僕たち4兄弟を見にきたのだ。「あらまぁ、モフモフしていてみんな可愛らしいこと。1匹だけさび猫ちゃんが生まれたんですねぇ...。」僕のことだ。

「メスをもらって行きますよ。尻の始末がいいのはやはり、メスのほうですからね。」こうして3番目に生まれたメスの茶とらがもらわれて行くとこになった。(さようなら、元気でね。)

こうして3匹になったが他にたずねてくる人がいなかったので、人間のおかあさんは『新聞』にもらい手募集をかけた。すると問い合わせの電話がきて、上の茶とら2匹も引き取りにこられることが決まった。

余ったのは僕だった。人間のおとうさんとおかあさんが相談している。さびのバッチをどうしましょう?」「おい、新聞に保健所の里親探しが載っているぞ、申し込もう。」人間のおとうさんが言った。

僕は保健所の里親探しに連れていかれた。ひとつのサークルにたくさんの子猫が入れられて、集まった人々は欲しい子猫を係員さんから受け取っている。(みんな新しいおうちへ行くんだな...。)

アナウンスがあった。「里親探しは本日はこの時間をもって終了です。もらい手のつかなかった方はご自分の猫ちゃんを連れて帰ってください。」僕は人間のおとうさんとおかあさんを待っていたが現れなかった。

「無責任な飼い主もいるもんだな、置いていきやがったぜ。」係員が言っている。置いていかれてしまった僕は保健所のケージに入れられてしまった。ご飯とお水はもらえるがもう何日も閉じ込められたままだ。

いろんな家族がやってきては、子猫を連れて行く。(僕も新しいおうちに行きたいです。誰か僕を選んでください。)僕は毎晩毎日、そう祈りながらケージでいい子にしていた。

しかしもらわれていくのは、やはりきれいな色の子たちばかりだった。(どうして僕はこんな風に生まれてきてしまったんだろう。

僕がなにか悪いことをしたなら一生懸命なおします。どうか僕に新しいおとうさんとおかあさんをください。

難病 FIP(猫伝染性腹膜炎)という病気があります。致死率99.9%という恐ろしい病気で、治療薬は未だ国に認可されておらず、輸入薬しかないのが現状です。
治療は大変高額でどの飼い主さんも100万円は下らない治療費のために奔放されております。
ここにもそういうご家族がいます。紹介させてください。
ショコラ君(愛称ちびたん)のご家族です。飼い主さまは土日も返上して休み無しで黒猫ちびたんの治療のために働いておりますが、到底追いつく金額ではありません。
このお話はちびたんが少しでも多くの人に知ってもらえるように書いたものです。どうかみなさまのあたたかいお心を少しでいいので分けてください。

ご支援いただける方、ご興味をもってくださった方、拡散ご協力をいただける方は飼い主さまへコンタクトをよろしくお願いいたします。

ショコラ君(愛称ちびたん)
飼い主さま ちびたん FIP 闘病中さん
Twitter : FipChibi

「クラウドファンディング FIP ちびたん」でも検索できますので、お子さまたちの大切な家族、黒猫ちびたんの応援をよろしくお願いいたします。

ユリ Twitter : yuritugu_me

※最後まで読んでいただき、ありがとうございました。タイトルが「さび猫バッチ」となっておりますが、バッチとは道産子弁で一番下の子、末っ子という意味です。

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