「withコロナ」の企業理念③

理念変遷の第2期は「お客様」への価値提供に焦点を当てた企業理念作成を多くの会社が模索していた時期でした。クレドもこの時代に注目を受け始めたことを前号で記しました。

ただし、クレドが「お客様満足」を実現するための魔法のツールであるという誤解もされていた頃です。その当時、多くのビジネス関連のメディアやビジネスマンから脚光を浴びていた大阪リッツカールトン。その経営者や幹部に話を伺うと、「当社はそのような意味でクレド(ゴールドスタンダード)を大切にしている訳ではないのですが…」と困惑して語っていたことを思い出します。その理由がこれから語る「第3期」の理念やクレドの在り方に表れています。

さて「第3期」です。概ね2010年前後になります。

理念変遷とwith コロナ期の理念_社員満足

お客様満足は、企業経営の目的であることには全く疑いありません。しかしそれらを実現するのは従業員一人ひとりであるわけです。そうであるならば従業員こそが自社の環境や仕事に満足して働いていなければ、到底お客様満足も生まれない、という考えが出てきました。

至極当たり前のことですが、そういった概念に光を敢えて当てることなく「お客様が神様」という考えのもと経営がなされ、理念もそれを後押しするツールとして存在していたのは多くの企業での実態でしょう。

従業員満足は、昨今もよく言われている「働きやすさ」と「働きがい」の両方を包括していますが、どちらかといえば後者です。いわゆる「エンゲージメント」寄りの概念を重要視するようになってきたのです。

そこで脚光を浴びたのが2010年前後に発売された書籍で、年輪経営で有名な寒天メーカー・伊那食品工業の経営者が書かれた「いい会社をつくりましょう」であったり、日本理化学工業の大山氏が書かれた「働く幸せ~仕事でいちばん大切なこと~」などです。

このころ、当社が手掛けたクレドや企業理念は「従業員」の項目が増えたり、これまでは「お客様」項目が1番先頭で2番目が「従業員」であったのが、逆になったりしました。これまでとは見た目も、内容作成のアプローチも変化し始めてきました。

さてこうして始まった2010年代。この動きがさらに進化をし始めます。それが「第4期/社会的価値」の時代に適した企業理念に変遷していきます。次号で明らかにしましょう。

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