理念と「働きがい」

ある原材料メーカーの工場。この工場では数年前からクレドの導入が進みました。従業員に「働きがいが感じられない」という課題が長年にわたり続いていたからです。

この工場は24時間稼働で、コロナ自粛の4-5月でもラインを止めることなく、従業員が交代で出勤しつづけました。
これから本格的なクレド浸透作業が始まる矢先にコロナ禍の影響をうけた格好です。

工場長や幹部と先日実施したZOOM会議では、「ここにきて、働きがいの課題が顕著に出始めていると感じる」という報告もありました。


この事例を基にこのような現場でのクレド導入による解決策を整理してみましょう。

まず、企業理念やクレドは実践することで“従業員に前向きなチカラ”をもたらすものでなければなりません。

従来のトップダウンで理念を浸透させるやり方は、経営者が持つ「ビジネスを成功させたい」という熱い想いを号令一下で従業員に周知徹底する時代には正しい活用法でした。

しかし、皆さんもお気づきのように、それではミレニアル世代が企業の中核を担い始める時代には彼らの“前向きなチカラ”にはならなくなっているのです。

特にコロナの影響で現場の士気・モチベーションが下がっている組織には、改めて企業理念やクレドをベースにした「新しい発信」の仕方を模索する必要があります。


以前、ある製薬会社での事例です。こんな質問を従業員にしてみました。

「自分の仕事と世界との関係について考えたことがありますか?」

残念ながら、ほぼ全員が「世界」について考えたことがない、と回答しました。

この工場で生産される医薬品は世界中で売られ、原材料などは世界中から届いているにもかかわらず、です。

しかもその1つの商品は、アフリカ諸国の多くの子供たちの命を救っているというのに…。

つまり、従業員はステークホルダーとの関係性など一切、話し合ったこともないし、考えたこともないということなのです。

ここに解決策を整理するヒントがあると思います。

◎ 働きがい⇔社会的使命やこの仕事の意義を考えて行く習慣づくり

つまり社会や世界やステークホルダーと自分たちのつながりを考えることが、働きがいの向上に使えないだろうか、ということなのです。

私たちの仕事にも、ステークホルダーとの関係性を当てはめてみて下さい。多くの人々に支えられ、また支えている実感から得られる「働きがい」の一端が見える可能性があります。

そもそも、クレド実践の定義は「ステークホルダーへ価値を提供する活動」なのです。

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