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同一労働同一賃金を普及させなくては日本がさらに衰退するわけ

正社員の保身のため増え続ける非正規社員

今、日本の非正規社員比率は、男性22.3%、女性が56.4%だ。この数字を見てどう思うだろうか?なぜ非正規になったのか?という話をすると、それは個人個人で様々な事情を抱えており、一概に理由を一括りにはできない。人の人生を垣間見ると、安易に"自己責任"という言葉に帰結させることは出来ない

ただ、一昔前に比べて圧倒的に非正規の割合が多くなっているのには、当然社会的な事情がある。結局のところ、正社員の給与水準を保てなくなり、雇用の調整弁として、非正規社員を制度上生み出しているのである。皆ご存知の通りだ。言い換えれば、正社員全員を終身雇用で守り続けることは出来なくなっているのである。

今世界中でインターネットが普及し、情報格差がなくなっている。また、その影響か、教育格差もなくなっており、発展途上国はじめ、経済の底上げが図られている。

自分たちの競合が内外でたくさん増えているのが現状である。

つまり、全体のパイを奪い合う人々が増えているのである。中国の台頭がいい例だ。

このような中で、競争力を維持するためではなく、正社員の保身のために非正規労働者の増加と固定化が行われているのである。

正社員の給与水準を保てなくなったら、都合よく非正規を切り、保身を保つ

そうして、日本の非正規割合男性22.3%、女性が56.4%という数字に至るのである。

非正規労働の苦労について

まず、非正規だと、例えば短期間で職場を転々とする可能性が高い。そうなると、まず各企業文化にいちいち順応しなくてはいけない。その上で、慣れない自社システムや仕事の進め方を覚えていく。この作業は、経験したことがない人には想像できないだろう。

正社員はその会社に長くいるので、簡単に見えることでも、新しく入った人は当然順応するのに時間がかかる

ここに認識の差が生まれる。「なぜこんな簡単なことができないのか?」と長くいる正社員は思う。

また、いつ切られるか分からない中で、順応し、仕事を覚え、その会社の一員として働くのは、思った以上に負担である

A社では当たり前だったことが、B社に移ったとたん当たり前ではなくなる。C社ではまた違う文化に遭遇する。価値基準はそれぞれ違うし、そもそも一緒に働く人が良い人もいれば変な人もいる。

このような中で、モチベーションを維持していくことは容易ではない。

つまり、非正規社員を雇用の調整弁を使いたい気持ちは分かるが、結局日本の3割(非正規)は、こういう苦しい環境で働いているのである

このような状況で、日本の国際競争力トップを保てないのは当然である。

日本の非正規(派遣含む)は優秀である

とはいえ、日本人は根がしっかりしているので、非正規、派遣だろうと、与えられたことはしっかりやろうと試みる。はっきり言って、日本の非正規への要求水準は非常に高い。それでも、しっかりやり遂げる。

もし日本人じゃなかったら、悪条件でこんなしっかり仕事はしない外国人ならブチ切れるレベルである。もちろん、業務レベルが高いかどうか、というのはよく分からない。

ただ、正社員並みにしっかり人の話を聞き、与えられた業務をしっかりやり遂げようとするのは、日本人ぐらいである

私はアメリカと欧州の大企業で働いていたので、それは断言できる。

言い換えれば、日本の国際競争力がまだそれなりに維持できているのは、間違いなく非正規の頑張りがあるからである。

もちろん、正社員の力も大きいのだが、そもそも全体の3割もいる非正規が手を抜いたらそれまでである。非正規はマネージメントよりも実務を担っているケースが多いので、実務が乱れれば信頼を失ってそれまでである

日本では非正規(派遣含む)への要求水準が非常に高い

先ほども述べたが、とにかく日本人は他人への要求水準が高い。それが出来て当然、と考えている。

もし、正社員並みに働いてほしいならば、それ相応の待遇にしなくてはいけない。しかし、制度上雇用の調整弁にされつつ、悪条件でしっかり働いてほしい、というのは矛盾する。

性善説に頼る」というのは聞こえがいいが、確かに日本人にはいい人が多いのかもしれない。高い要求水準に、悪条件でも応えようとするのは、確かに素晴らしい心意気だが、それは大体報われない

しっかり高い水準で仕事をしても、時期が来れば「ご苦労様でした」の一言で終わりである

それでもまだ日本の業務レベルの信頼が保てているのは、確かに善人のおかげなのかもしれない

正社員も明日は我が身

トヨタの社長が「終身雇用はもう維持できない」と、数年前から言っている。時価総額日本トップの会社の社長がこう言っているのだから、他の会社はもっと厳しいだろう。

三菱自動車が最近希望退職500人ほどを募っている。しかし、実際はもっと切ってスリムにしたいのだ。田町にでかい自社ビルを最近建ててしまったが、コロナ化で哀れな虚像にしか見えない。もうテレワークでいいじゃないか。

ANAの社員が給与3割減、ボーナスカットだ。空の便は当分厳しいだろう。

嵐は突然やってくる。いつ自分が転落してもおかしくはない。正社員で将来安泰だと思っているのは、よほど頭がお花畑な人だ。しかし、相変わらず正社員の雇用を守るため、無計画に非正規という雇用の調整弁を生み出し続けている。

同一労働同一賃金を普及させ非正規の負担を減らすこと

ここまで話して分かっていただけただろうか。結局、今の時代、非正規と正規社員の分断が、経済に悪影響をもたらしている

非正規の実務者の頑張りのおかげでまだ国際的な信頼性を保てているのである

トヨタの社長が「もう終身雇用は維持できない」と数年前から言っていることからも、そもそも正社員をずっと維持していく、という理想は幻想へと変わりつつあるのである。

雇用の調整弁としての非正規を増やすことも限界、下請けへコストダウンを迫ることも限界、関連会社に転籍させることも限界、そうなってくると、もはや正社員を切るしかないのか?

答えは"No!"である。

正社員を切るのではなく、正社員の給与水準を下げて、非正規の待遇を正社員並みに近づけるべきである。

まさに、同一労働同一賃金だ。

そうすれば、日本は再び活況を取り戻す。

その後に、再び正社員の待遇を考えればいい。

終身雇用を維持し続けようとすれば日本は崩壊する

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