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三菱自動車の衰退と終焉(倒産)回避方法

株価は25年前から大幅下落傾向

2020年11月4日に、2098億円の赤字という9月中間連結決算を発表した三菱自動車。2021年3月期の連結業績予想は、純損益が3600億円を見込むなど、厳しい状況が続いています。

三菱自動車は今年9月に、600名程度の希望退職を募っている。コロナ化で経営が厳しくなったのか、と思うかもしれないが、経営が傾いたのは、今に始まったことではない。

三菱自動車1112

これが三菱自動車の株価推移だ。1995年ごろと比べて、10分の1以下の株価だ。危機は今になって始まったわけではなく、昔からあった火種が顕在化しただけだ。

トップのなり手が不在?

本意の質問をさせて頂きます。どういった経緯で、いつごろ三菱自動車の社長に決まったのでしょうか。
加藤隆雄代表執行役CEO(以下、敬称略):それは私も聞いてみたいくらいです(笑)。社長になって欲しいという連絡を頂いたのは発表の1週間前なんです。
国沢:いままでインタビューしたなかではトップ3に入る唐突度ですね(笑)。心の準備はまったく出来そうにありません。それにしてもなぜ御指名が加藤さんだったんでしょうか。
加藤:私もよく解らないんです(笑)。それ以前に社長になるような話だって出ていませんでした。

簡潔に言うと、適任者不在、歴代社長がポジションを理由があって投げ出したのではないか。厳しい現実を変えるのは、なかなか骨が折れる作業で、会社を引っ張るなり手がいなかったのだろう。

社員に元気がない

国沢:私は最近の三菱自動車を見ているとまったく希望を感じないんです。社員だって前向きではない。元気がない。活力もない。すべてネガティブな雰囲気です。ユーザーからすればそんなメーカーのクルマを買おうという気になりません。

社員も元気がない。皆感じている、この会社の未来は暗い、と。恐らく、ルノー・日産・三菱連合を組んで、人を簡単に切る傾向が強まって、没落していったのではないか?

申し訳ないが、ゴーン元CEOに要因があるように思える。

そもそも、簡単に人を切るような会社が、業績回復を目指すのは容易ではないだろう。

どんなに頑張っても、いつか切られるかもしれない、そう思いながら会社のために働くのは容易ではない

欧米のように雇用の流動性があり、上下関係のあまりない環境では、お金を貰っている以上会社に貢献する、というドライな感情でも前向きにやっていける。

しかし、ここは日本だ。結局年功序列は大きく変えられず、上に行きにくい、給料は上がらない、ボーナスも出るか分からない、景気も悪い、売れない、しかし、一部外資の理論でリストラ、非正規切りが簡単に行われる。

このような中で、社員が元気をなくすのは当たり前だ。

これ以上のリストラは考えていない、という嘘

国沢:残念ながら日本は平均年収で欧米に引き離されASEANに追いつかれています。中東や中南米だけでなく日本でもエクスパンダーを売るつもりはないんでしょうか。
加藤:先ほどお答えしたように、これ以上のリストラは考えていません。なんとか踏ん張り、人や開発のリソースと国内とASEANに集中し、収益を挙げられるようにしていきます。そしてASEANベースに事業を拡大したいと思っています。

三菱自動車はASEANに重点を置きたいようだが、平均年収でASEANに追いつかれている状況なのは皮肉だ。

これ以上のリストラはしないというが、今までリストラや非正規切りを露骨にやったのに、いまさら手のひらを返し善人面で、「これ以上リストラはしません」といっても説得力がない

正社員のリストラはしない(予定)が、非正規の首切り、派遣切りは、引き続き簡単に行うのだろう。言い換えれば、正社員の雇用を守るために多数の非正規が犠牲になっているのである

このような状況を経ても、一向に業績は回復しないので、結局正社員のリストラは引き続き行うのだろう。もう薄々気づいているだろうが、一番固定費を圧迫しているのは、高給取りの正社員である

そもそも非正規は固定費を抑えるためにいるのだから、そこを切っても、根本的な解決にならない。対処療法であって、結局人手不足でまた人をかきいれる、という悪循環だ。

コロナ化でリモートワークが叫ばれている中、田町にでかい自社ビルを建ててしまったセンスのなさだから、同じことを繰り返すだろう。結局またリストラをするだろう。

雇用形態の壁を壊すべき

三菱自動車1112

冒頭の株価のグラフに戻ろう。

株価が一気に落ち始めた1990年代後半。これは、派遣社員を増やしはじめた頃と重ならないだろうか?非正規を増やし始めた頃と重ならないだろうか?

業績が悪くなったため、非正規という働き方を推奨し、都合よく人を使い、正社員の高給を守ってきた。

しかし、実際そんな都合の良いやり方は長い目で見てマイナスだ。

正社員にも非正規にも仕事ができる人はいる。逆に、正社員にも非正規にも仕事があまり仕事が出来ない人はいる。

しかし、正規と非正規の分断により、仕事の出来ない正社員は守られ、非正規は仕事と雇用形態の固定化により機会を奪われ、力を発揮する機会がなくなる

これは、日本にとって損失だし、三菱自動車の社員に元気と活気がなくなるのは当然だ。

こんな淀んだ水の中にいたら当然だ。

雇用形態の格差をなくし、水を循環させなくてはいけない。正社員、契約社員、派遣という雇用形態の区分をなくし、奇麗な水にろ過させる。

力のある人が伸び伸び働ければ、会社も活気を取り戻す。会社としての戦略はそこからスタートすべきだ。

そして、三菱自動車だけでなく、日本全体が再び明るくなって活気を戻してくれることを願う。

失敗しても這い上がれる社会へ、そんな新たな日本に生まれ変わることを願っている。

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