「日本人はムズカシイ」~台湾人社員から見た日本~
日本ベネックス東京事業所で働く台湾人の社員、藍(らん)さんと、李(り)さん。
「日本人はムズカシイ」をテーマに、台湾人から見た日本について、お話しを伺いました。まずはこんなお話しから。
1.日本にきた理由
ーー:
年末の忘年会でお二人が、「日本人はわからない!」と話していたのが面白くて、詳しく聞きいてみたいなと思い、この企画が生まれました(笑)。今日はよろしくお願いします。
藍:
しょうもない話しばかりかもしれないです(笑)。
ーー:
まず、日本に来たきっかけは?
李:
若いときちょっと仕事に疲れてて…。それで、海外に行きたくて、日本に来ました。
ーー:
今も若いと思うんですけど(笑)。もとから日本にすごく行きたかったわけではなく、海外に行きたくて、とりあえず日本行くか、みたいな?
李:
もともと、ワーホリでニュージーランドに行きたくて。でも、いろいろと事情があって行けなくて。それで日本行こうかなと。
ーー:
なるほど。
李:
日本語喋れるようになったら、スキルアップできるなと思って、日本へ来ました。
藍:
実は台湾で日本語の勉強している人は、ものすごく多いんですよ。
一番学ばれている第二外国語は、つねに日本語。最近は韓国語も増えてますけど。
李:
うん、うん。
藍:
もともと台湾は、親日ですし。文化も近いしところがけっこうありますし。日本のチェーン店もたくさん台湾にあります。
ーー:
たしかに、日本のコンビニがたくさんありました。藍さんの日本に来たきっかけは?
藍:
ぼくらのおじいちゃん、おばあちゃんたち(世代)は、だいたい日本語喋れるんですね。
ーー:
そうなんですか?
藍:
おじいちゃん、おばあちゃん、そしてぼくも日本が大好きで。子どもの頃から家族でよく日本に旅行していました。
ーー:
へぇ。
藍:
それで大学に入って、日本語を勉強し始めました。大学院3年生の時、交換留学の機会があって、1年間ですが日本に住んでいました。
台湾に戻った後、もう少し日本で生活してみたいと思って、また来たという感じです。
ーー:
日本の何に惹かれたんですか?
藍:
うーん…なんでしょうね。李さんと一部、同じなんですけど、若いうちに海外での経験を積んでおきたいというのもありました。
ーー:
一度海外に出た方がいいと?
藍:
より高い目標を目指すのであれば、一度海外に行った方がいいと思いました。
李:
そう、視野を広げたいとかもありますし。
2.カルチャーショック
ーー:
日本に来る前の印象と、来てからの印象は何か変わりました?
李:
ファッションの話しですけど、来る前は「原宿系」のイメージが強すぎて、みんなカラフルな洋服を着ているかと思ってました。
実際、きてみたらみんな基本、黒!
ーー:
きほん黒(笑)。
藍:
冬になると電車の中の色が、一気に暗くなっちゃう。だいたい黒かグレー。
李:
そうです(笑)。雑誌で見た日本は、ピンクとかカラフルなイメージでした。
藍:
台湾人から見た日本の印象は、街がきれいとか、マナーをちゃんと守るとか、ほとんどはポジティブなイメージです。でも、実際生活してみて、観光だと見えない一面も見えてしまいます。
ーー:
日本人でもマナー悪い人、いますからね。
藍:
よく友達に言っているのは、満員電車ですね。明らかにもう入れない電車に入ろうとする人たち。本当に怖くて。
李:
あれ、やばいですよね(笑)。
藍:
一回経験したんですけど…。奥の人を通すため一度、電車から降りたら、ホームで待っていた人たちが、順番を無視して無理やり押してきて。
結局、はじめに乗ってた私が、入れなくなったんです。それはどうかなって思いました。
ーー:
無表情でグイグイきますよね。
藍:
そう、そう!ガンガンくるのに、顔は無表情。カオナシみたいで嫌でした。
ーー:
まぁ(笑)。ぼくも満員電車には絶対乗りたくないから、前は会社の近くに住んでました。
藍:
あぁ。
3.日本人は、わからない
ーー:
お二人は日本にきてどれくらい経つんですか?
藍:
ぼくは交換留学をのぞけば、6年目になります。
李:
わたしは7年目です。
ーー:
日本のこと、だいぶわかってきました?
藍:
忘年会のときにもちょっと話したんですけど、
”日本人の心の掴み方がわからない”
ということがわかりました(笑)。
李:
うふふふ。
ーー:
例えば?
李:
日本人と友だちになるのは、けっこう難しいなと思っています。
ーー:
なぜですか?
李:
例えば、いつもフレンドリーに話したりしているけど、ご飯行きましょうと誘わないですよね?
あと、日本人の「ご飯行きましょう」って、きほん行かないですよね?
ーー:
う、、……(苦笑)。
李:
みんな自分のことを喋らない。自分を守っている感じ。自分の本音を出してない感じ。
ーー:
ご飯いきましょうって、日本ではちょっとした挨拶になっているかも。じゃあまたねってお別れするのは気まずいから、本気じゃないけど、ひとこと言っておくみたいな。(この文化は、よくない…)
李:
逆に、日本人同士でどうやって心開いているんですか?
ーー:
難しい質問だなぁ(笑)。実はぼくも苦手なタイプです。だからちょっとずつですよね。時間がかかる。
李:
時間がかかる・・・。
藍:
お互いの温度感が違いますよね。ぼくも時間かかる方ですけど、日本人よりは…。李さんは新幹線くらいの速さです(笑)。
李:
ビュン、ってね(笑)。
藍:
前に、日本に住んでいる台湾人の友だち2人で、李さんの働いているお店に行ったんですよ。そしたら李さんとぼくの友だちが意気投合しちゃって。
ぼくなしで何回か2人で遊んでました(笑)。知らないうちに、友だちになってました。
李:
日本だと、友だちを紹介するのはしないですか?
ーー:
どうだろう。でも紹介してくれた人を抜きに会うとかは、ないかな(笑)。
藍:
交換留学してたとき、何人かは日本人の友だちできたんですけど、もともと外国に興味がある人としか、なかなか友だちになれなかったんです。
もともと外国に興味ある人だから、結局いまみんな海外に行ってるんです。だから日本で会えない(笑)。
ーー:
あぁ。
藍:
話し変わるんですけど、なんで日本人はそんなに政治に関心がないのかな?って。
李:
みんな興味なさそうですよね。
ーー:
台湾の若者は政治に興味あるんですか?
藍:
まず、投票率が全然ちがう。
李:
うん、うん。
ーー:
日本って高齢化社会で圧倒的に高齢者が多いんです。だから政治家も高齢者から票を集めることに集中しちゃう。結果、若者が興味ない、みたいな感じなのかな。
藍:
なるほど。
李:
たしかに大学生のときはそんなに興味なかったけど、社会人になってからは関心持つようになりました。
自分の未来は、自分で決めたいから。
ーー:
おぉ。2人は、国(台湾)が良くなっている、という実感ありますか?
藍:
それはあります。
ーー:
ぼくは日本の成長が終わったと言われた時代に生まれたので、いい時代をそもそも知らないんです。希望なんて最初からないんです(笑)。
藍:
すごい暗い話しになった(笑)。でも台湾と日本はスタート地点が違いますから。いま日本は山頂から下がっているかもしれないけど、台湾は谷から上って行ってますから。
ーー:
そうなんだ。他に日本人のわからないところ、ありますか?
藍:
お酒を死ぬほど飲む、こと。
李:
そうですね~(笑)。あと居酒屋行くと、最初に飲み物を注文しますよね?
ーー:
はい。します、します。
李:
わたしたちは、しないですね。
藍:
そう、そう。日本だと一杯目の飲み物を飲みながら、食べ物決めますけど、台湾は先に食べ物。
ーー:
へぇ。日本ではやっぱり「乾杯」しないと始まりません。
藍:
区切りがあるって、日本人は本当に几帳面だと思います。「乾杯」って開始の合図だし、「しめ」もある。台湾だと「しめ」っていう概念、ないです。
李:
はい。何で最後にご飯注文するの?!
藍:
そう、そう(笑)。鍋の最後に、ご飯食べるのもわからない。台湾では鍋食べながら、ご飯食べます。
李:
「しめ」わかんない。
ーー:
たしかに、なんでだろう。
藍・李:
(笑)。
藍:
「飲み会」っていう文化がそもそもないかも。「食事会」はよくありますけど。
ーー:
日本には、「飲みにケーション」ってあるんです。面と向かって本音を言うのが苦手だから、お酒の力を借りて…
李:
心をひらく。
ーー:
はい(笑)。会社の人ともそうだし、お客さんとも飲んで仲良くなります。
日本のサラリーマンにとっては大事な文化です(笑)。
そういえば台湾に、上下関係ってあるんですか?
藍:
うーん、日本みたいにきっちり敬語みたいなのは、ないですね。
李:
ないですね。上司ともフレンドリーに話せますし、プライベートの話しも普通にできます。
ーー:
えぇ、すごい。
李:
みんなラフですよ。
4.気にしすぎている日本人
ーー:
日本の好きなところって、ありますか?
藍:
いろんなことに対して、ちゃんとSOP(標準作業手順書)をつくること。例えば、太陽光の事業で何かを設計するときに、国から出している基準があって、そこに従って設計します。
台湾はあらゆることに、ちゃんとした基準がなかったりするので、けっきょく品質もバラバラになるし。
まぁその反面、柔軟性がなかったり…(苦笑)。逆に、日本人から見た台湾人はどうなんですか?
ーー:
仕事で2回、台北に行ったことがあって。ありきたりかもしれないけど、台湾人はフレンドリーで本当に優しい。本当に良い印象しかない。
あと、ハッキリしてるって印象かな。「なに言いたいかわからない」ってことがないから。
藍:
あくまで個人的な見解なんですけど、日本人はすごく「配慮」ということをすごく大事にしていると思ってて。
李:
あーうん、うん。
藍:
台湾人はストレートにものを言うけど、配慮さがちょっと足りなくて(笑)。何て言うんだろう…。いい意味で人に対して、壁とかは無くて。あとは恥ずかしさもあまりないです。
李:
そうですねー。
藍:
たとえば、日本人は英語が苦手っていう意識がある人が多いと思いますが、正直、台湾と日本の英語のレベルはあんまり変わらないと思います。ただ台湾人は間違っていても、とりあえず喋ろうとします。
でも日本人は、文法あってるかな?とか気にして、喋らないですよね。これは英語だけじゃなくて、ふつうの会話の時もそうですよね。
ーー:
まぁ、そうかもしれないです。
李:
日本人はすごく遠慮してる感じがします。遠慮してる感じがすると、こっちもいろいろと聞きづらいです。
ーー:
そういえば、なぜベネックスに入社しようと思ったんですか?
藍:
ワーキングホリデービザの期限が迫ってきている中、台湾に帰るか日本で就職するか迷ってたとき、日本の転職サイトでキーワード検索に「台湾」を入れたら、ベネックスの求人が出てきました。
当時は、「台湾の太陽光案件に投資」との内容が記載されていて、その流れで応募し、採用されました。
李:
わたしは日本で就職していて、転職しようとしていたときに、藍さんからベネックスの話しを聞きました。エネルギー関連に経験があったわけではないんですけど、未来ある産業だったので、ぜひやりたいと思って。
ーー:
なるほど。ベネックスで働いていて、苦労することはありますか?
藍:
うーん…。苦労は本当にないですね。外国人だからといって、差別もないし。小林さん(社長)もすごく話しやすいしですし。
ーー:
李さんは入社してまだそんなに時間が経ってませんが、どうですか?
李:
わたしも苦労は、特にないですね。色々と専門用語が出てくるので、まずは日本語をもっと勉強します!(笑)。
ーー:
李さんはまだキャラを出せていないと思うので、もっとキャラを出して、社内を盛り上げてください。
李:
ワオ(笑)。
ーー:
今日はいろいろとお話し聞けて良かったです。今の状況が落ち着いたら、長崎本社にもぜひ来てくださいね。ありがとうございました!
藍・李:
はい、ありがとうございましたー。
(お読みいただき、ありがとうございました。)
日本ベネックスはお互いの違う考え、文化、バックボーンを持つ社員それぞれが、互いに学び、尊重しあいながら、新しい付加価値の創出を目指します。
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