見出し画像

香害に悩み苦しむ人たちが、壁にぶちあたる。「科学的根拠」を求められたとき。熊谷晋一郎さんの「エビデンス」の話が沁みる。

アトピーに地獄をみた時代


話はずっと昔に遡ります。

『ち・お』が創刊された30年前。
子育ての話題は、ワクチン、アトピー、農薬・添加物……3歳児神話、母性神話。

毎晩、痒い痒いと身体をかきむしるこどもの背中を寝ずに指すっていたお母さん。それでも、朝になると身体のあちこちから血が染み出て、パジャマやシーツの汚れを見ることになる。

「悪い物を食べさせたから」「お産の前に添加物を取り過ぎたから」「甘えさせたから」「薬は危険、これが効く、欺されたと思って」……味噌や醤油までみんな手作りで、身につけるものも厳選した。くり返す症状に、親子で苦しみ、地獄と思った人は少なくない。

ワクチン副作用に泣いたお母さん

良かれと思って接種したワクチン。じつは、副作用も多く効果のほどは定かでないものだった。様々な利権もあるようだ。昨日まで健康そのもので、病気一つなかったこどもが、たった一度のワクチンで言葉を失い、身動きも取れなくなった。

「先天的に問題があった」「ワクチンが原因といっていた医師が、いざ行政にかけあおうしたとき考えを覆した」「目にみえないこどもの異常に気がついたけれど、夫にも理解してもらえない」。あのとき、なぜあと少し慎重に考えなかったのか、自分の無知を許せないと泣いたお母さんがいた。

もっともらしい専門家の言葉に疑問


お母さんが3歳までこどもを育てないと、将来悪行をする子に育つ。母乳でないと、いや人工乳でないと丈夫に育たない。赤ちゃんのときから集団保育をすると情緒に問題がある子になる……

もっともらしい専門家の言葉に、疑問をもったお母さんたちが大勢いた。その説に「科学的根拠」を求めた。その背中を小児科医の毛利子来さんや山田真さんらが押した。でも、その「科学的根拠」はいまみんなが言う「エビデンス」とは何かがちがう。

たしかに、科学を否定することはできない。けれど、「科学的根拠を」というその言葉を吐く人に、いま信頼を感じられるだろうか。目の前に、身近に、苦しむ人がいることがわかっていて、それを理由に問答無用を突きつけることで棚上げし続けるだけではないか。

エビデンスの役割とは

そう悶々としていたとき、二人の小児科医の後に、『ち・お』編集人になり自身も「小児マヒ」から車椅子で研究や診療を続ける熊谷晋一郎さんが、一文を書いてくださった。

そこには、エビデンス(科学的根拠)について、明解なメッセージがあった。エビデンスはナラティブを補うものだったのだ。そうでないと、科学が人を苦しめる。被害の声を無視したり軽んじたりするのは、科学的な態度とはいえない。

『ち・お』を編むにあたり、編集方針として書かれた熊谷さんの一文からの引用。

①ナラティブ(当事者の語り)。
当事者の語り「ナラティブ」。自分はこんな経験をした、辛さがあった、喜びがあった、といった素朴な日常の語りをベースにする。
②エビデンス(科学的根拠)。
ナラティブを補う、あるいはそれと緊張感をもちつつ応援していくものとして、エビデンス(科学的根拠)をもつ対話を重んじる。
③ヒューマンライツ(人権意識)。
ナラティブやエビデンスには収まりきらない重要なポイント、ヒューマンライツという視点が必要。
④コンパッション(思いやり)。
素朴な感情としてつねに他者を思いやる態度であること。

この前後をお読みになりたい方、またそうした編集方針で編まれた『ち・お』や『お・は』をこの際、読んでみようと思った方は、
①無料登録の【Chi・O倶楽部】会員になる。
https://japama.jp/chioclub/
②オンラインショップ【OYA.OYA】のサマーセールクーポンを手にいれる。

ジャパンマシニスト社より【Chi・O倶楽部】会員ご登録お礼メールのあとに、時間差がありますが、サマーセールメールをお送りします。そちらをご利用ください。

https://japama.stores.jp/


よろしければサポートをお願いします。いただいたサポートは子育てサークル、子どもの居場所などに『ち・お』『お・は』を届ける活動資金にさせていただきます。