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高校2年から長いこと摂食障害で苦しんでいた。留学、就職、結婚、子育てを経て、up do…

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高校2年から長いこと摂食障害で苦しんでいた。留学、就職、結婚、子育てを経て、up downを繰り返し克服。やっと自分自身を心から認められるようになった40代。私の悲劇のヒロインぶりを回顧しながら、自分をもっと好きになりたいな

最近の記事

[第5話]悲劇の主演女優賞

偶然の必然摂食障害を隠すつもりはなかったが、だれにも相談できずに一進一退を繰り返しながら社会人生活(仮)を送った数年間、仕事の傍ら通信教育を受けて資格を獲得したおかげで(仮)が取れて、晴れて正式採用が決まった。その手続きのため健康診断証が必要になり、家から一番近い内科・心療内科の看板があるクリニックへ向かった。健診は滞りなく進み、待合室で証明書が作成されのを待っている時、ふと掲示板の張り紙に目がいった。 "ストレス等で身体的症状のある方へ” 心と体の関係を考えながら、体の

    • [第4話]長いトンネルの間

      ところ変われば人は変わる⁈なんとなく入れた大学、なんとなく楽しそうなキャンパスライフ、環境を変えさえすればきっといい方へ向かうはずとなんとなく思っていた自分。あぁ本当だ、制服も時間割もなく自分で全部を決めていく自由と責任が心地いい緊張感になって、自分が摂食障害であることをほんの少しの間忘れさせてくれた。しかしその緊張感にも慣れたころ、ふと、サークルやらコンパやらで盛り上がっている同級生たちを、とても遠いところから眺めている自分がいた。私が人生でやりたいことがここで見つかるのだ

      • [第3話]すべてを吐き出してしまえ

        吐くために食べるきっかけは些細なことだった気がする。TVでそんなシーンを見たとか、道端で酔っ払いの嘔吐物を見たとか。(そうか、苦しかったら吐いちゃえばいいんだ)と思った。でも、こみ上げる吐き気に促されて吐くのとは違って、喉の奥まで指を突っ込んで、一度飲み込んだものをわざわざ吐き出すのは思っていたほど楽ではなかった。日ごろ排泄しているトイレに向かい合うのは抵抗があったし、吐き出すことですっきりするものの、胃酸が上がってきて気分が悪くなり、吐き出した後は疲労を感じてしばらく横にな

        • [第2話]現実逃避

          食事のノルマから解放された私は、食べることに疲れてしまって食欲が湧かなかった。合宿中に増えた体重は、日常に戻ってしばらくで元に戻った。元来、食べることは大好きで、美味しいものには目がなかったが、何を食べたいのか考えるのが面倒になっていた。お弁当を作れなかった日にはお昼代として母からお小遣いをもらっていたのだけど、そんな日はバランス栄養食とうたわれていたお菓子のようなものとジュースで食事を済ませていた。手軽さと、何となく体によさそうな売り文句に心を惹かれていたのかもしれない。成

        [第5話]悲劇の主演女優賞

          [第1話]食べることが辛くなった日

          目の前のどんぶり飯を食べ終えるまで部屋に戻れない。おかずも、私のだけ1.5倍盛りに見えるのは気のせいだろうか。早く横になって休みたい…と思いながら味のしないご飯を口に運び続けた。 高校2年の夏休み、選手としては最後の水泳部合宿。思うようにタイムが伸びない私に顧問の先生は言った。「お前は体力がないんだ。もっと食べてしかっり体を作っていけ!」 それで、その日の晩から私のご飯は大盛りになった。泳いで泳いで疲れ果てた後の食事は、待ちに待った時間で、何を食べてもいつも以上に美味しく

          [第1話]食べることが辛くなった日