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30年日本史00074【神代】ヤマタノオロチ

 さて、アマテラスが無事に帰ってきて一件落着、といったところですが、神々は
「元はといえばスサノオの横暴が原因だ」
ということで、スサノオの髭を切り、手足の爪も抜いて、高天原から追放します。
 元々イザナギの元を追放されたために高天原に挨拶に行ったのに、ここもまた追放されてしまうわけですね。
 スサノオに罰を与えようとしたのでしょうが、髭を切るとか爪を抜くとか、むしろ身だしなみを整えてくれているように思えます。どういうことでしょうか。
 さて、追放されたスサノオは、葦原中国に降り立ちました。
 高天原が神々の住む国であるのに対し、葦原中国は人間たちが住む国です。その割には、高天原の中にあるはずの天の岩戸が宮崎県高千穂町にあるのが解せないのですが、まあ良しとしましょう。
 スサノオが降り立ったのは、出雲国(島根県)の斐伊川(ひいがわ)の近くでした。何気なく川沿いに歩いていると、上流から箸が流れてくるのを見つけます。「上流に人が住んでいるに違いない」と考えたスサノオは、上流へと向かいました。そこで、老人夫婦が娘を挟んで泣いているのを見つけます。
 事情を聞いてみると、老人はアシナヅチ(足名椎)と名乗り、こう語り始めました。
「私には8人の娘がいたのですが、毎年ヤマタノオロチ(八俣大蛇)という化物がやって来て、1人ずつ食べられてしまうのです。残る一人のクシナダヒメ(櫛名田比売)もまもなく食べられてしまうのです」
 既に7人の娘が食べられてしまったようです。7年も手をこまねいている間に引っ越せば良いじゃないかと思うのですが。
 そのヤマタノオロチというのは、頭が8つ、尾が8つ、体の大きさは8つの谷、8つの峰に渡り、腹には血がにじんでいるといいます。とんでもない大きさですね。
 スサノオは自らの身分を名乗り、クシナダヒメとの結婚を条件にヤマタノオロチを退治することになりました。条件の出し方がフェアじゃない気もしますが、まあそこはそっとしておきましょう。
 スサノオはヤマタノオロチを倒すため、一計を案じました。アシナヅチに命じて、8度繰り返して醸造した強い酒を用意し、8つの器を用意してその酒を満たしました。そしてスサノオは、クシナダヒメを櫛の形に変えて、自らの髪に挿しました。その状態で戦いに挑むのです。クシナダヒメをわざわざ危険な戦いに同行させる理由が分かりませんね。スサノオの目の届かない場所で奪われるリスクを恐れたのでしょうか。
 さて、準備ができたところで、いよいよヤマタノオロチがやって来ます。スサノオは剣を手に怪物を待ち構えます。

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