【お悩み相談5】周りの人たちがキラキラ眩しく見えたら?(moriiさん)
お悩み相談第5弾。
今回はmoriiさんのお悩みにお答えしたい。
moriiさんのお悩みはこちら。
ふむふむ。同期がみんな優秀そうなんですね。
キラキラ眩しく見えると。
初出社の緊張感や劣等感について描かれた古代の文献としては、『枕草子』の一八四段『宮に初めて参りたるころ』が挙げられます。
著者の清少納言は一条天皇の正室である藤原定子(あの道長の姪に当たります)に仕えた女房であり、
「定子さまの謎かけを理解できたのは私だけだったのよ」
などと勝ち気なエピソードを多く書いた人物ですが、初出社のときはギチギチに緊張していたようです。
以下、現代語訳です。
このとき、中宮定子は推定18歳で、清少納言は推定28歳。
突然宮中で働くことになってしまい、右も左も分からない中で清少納言はただただ定子の美しさに戸惑っています。
さらに清少納言は、宮中で働く同僚たちについて言及しています。
現代語訳はこちら。
あんなキラキラした中宮様にお仕えする同僚たちも、またキラキラして見えるわけです。
自分はひどく遠慮して何もできずにいるのに、周りはみんなリラックスして見えるわけですね。
まあ、新入社員は清少納言一人なので当たり前なのですが。
さて、そんなギチギチに緊張していた状態から、清少納言はいかにして環境に適応できたのでしょうか。
続きを読んでみましょう。
現代語訳はこちら。
つまり、
「みんな最初は緊張してたんじゃん」
ということに気づくことで、自然と慣れていったというのです。
つまり、新入社員は自信がなくて当たり前なのです。
だって、あの平安時代最大の勝ち気キャラで知られ、定子サロンを牽引することとなる清少納言ですら、初出社のときはギチギチに緊張し、何もできずにいたのですから。
周りの一見優秀そうに見える人たちは、単に緊張が見えにくいタイプなのでしょう。自信に満ちているように見えるからといって、それは真に優秀であることを意味するものではありません。
むしろ、新入社員にふさわしい緊張感と謙虚さを備えている人のほうが、高い吸収力をもって仕事を覚えていけるのではないでしょうか。
ちなみに。
本稿を書くに当たって、紫式部についても初出社のエピソードがないか探してみました。
『紫式部日記』に、ほんの1行だけ記述がありました。
どうやら紫式部も初出社の日はほとんど仕事にならなかったようですね。
ここから話題が変わってしまうので、紫式部の初出社がどんなものだったのか全く分かりません。何らのエピソードも紹介しないということは、余程ひどい失敗でも仕出かしたのかもしれませんね。
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