空の下の街と人
久しぶりに行った高円寺や下北沢の線路下、
再開発されて"オシャレな店"が並んでいた。
どこかの街でも見たことあるような線路下の光景、あそこだけを切り取って見ればどこの街かわからない。
古びた街よりよっぽどくさい、"大人の事情"とやらを感じる。
春の陽気にも関わらず、心に冷たい風が吹きつけた。
散歩をしていると、人で賑わう歩行者天国に辿り着いた。花屋に古本屋、色とりどり様々な個人店が並んでいる。
その並びの中に、古びた街中華を見つけた。店内が見えるガラス張りには赤文字でメニューが書いてあった。
歩きながら目をやると"ラーメン 380"の文字が目に入る。話しながら歩いていたのとあまりの安さにリアクションがだいぶ遅れ、一度通り過ぎてしまった。数m通り過ぎたところで引き返す。やっぱり書いてある。380…?
ちょうど昼飯を探していたので、迷わずそこに決めた。閉店20分前。チェーン店ならラストオーダーで、入店すら出来ないだろうが、笑顔で迎え入れてくれた。
先に出てきたビールを飲みながら、頼んだラーメンと餃子を待つ。やけに時間がスローに感じる店内は、好みのど真ん中。
この店は何回目の春を迎えているのか、どことない温かさが店内を包んでいる。
テーブルに置かれたラーメンは言うまでもなく美味しかった。ラーメンも餃子も、細かいレビューなどするまでもなく、街中華とは美味いの一言にまとまるものなのだ。知らんけど。
早々に平らげ、1人分程の2人分の会計を払って店を出る。最高、まだあるうちにまた来るよってな具合。
こういった店が景気や、再開発によってどれだけ無くなってきただろうか。
意思を継ぐ人がいなくて、引退する人もいるだろう。
理由がなんであれ全てはいつか、それは分かってる。
だから街に出る、また会えるうちに
変わらず探しに行く、まだ待っているうちに
いつかは無くなる色々に、思いを馳せる
雲一つない空の下の話
ちなみにその街中華は三軒茶屋、探してみてね。
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