カナダの黒い歴史
完全にタイミングを外してしまったのですが、7月1日はカナダの建国記念日でした。いわゆる Canada day ってやつで、今年は156年目にあたり、あちこちで花火が上がったりイベントがあったりで、お祭りムードが漂っていたことと思います(なぜ他人事)。
しかし、その当日を、お祭り気分ではなく、複雑な気持ちで迎える人々がいることを、カナダに来た当初、わたくしは全く知りませんでした。
なんか最近、カナダの闇部分にばっかりフォーカスしてる気がしなくはないですが、まあカナダの永住権保持者として、一応知っておくべきかなと思い、サラッと調べたことを簡単に書いていきたいと思います。
もし事実誤認等ございましたら、ぜひ(優しく)ご指摘ください。
①原住民への迫害の黒歴史
これはもう前にもちらりと書いた通りなんですが、カナダの先住民に対する迫害と、エグイ同化政策が近年特に注目されております。
私もまだ詳しくないんですが、めっちゃ雑な理解で書きますと、大昔(…) に先住民の人々がアジアの方からやってきて、寒い寒い北の大地で平和に暮らしていたところ、フランスやらイギリスから白人どもがやってきたと。そして先住民をほぼ一方的に定めた「居留地」に追いやり、更にはカナダ各地でその子供たちを同化政策のため無理やりカトリックの寄宿学校に連れ去って、挙句の果てには、虐待していたと…
心底たまげたのが、最後の寄宿学校が1996年まで存続していたということ… めっちゃ最近やないかい!
寄宿学校に入れられた先住民の子供たちは15万人と推計されており、寄宿学校で亡くなった子供は数千人と予測されております… 絶句…
ゆえに、ここ数年の Canada day は、単なるお祭り騒ぎではなく、先住民への理解を深めたり、そのプライドを取り戻すようなイベントが催されたりしています。
(↑ とてもわかりやすくまとまっていて良いサイトだなと思ったんですが、eTA はカナダ政府のサイトから申請しましょうね…)
↓ キッズ向けでとても分かりやすい
(けど、闇の部分には当然ながら触れてはおりません)
↓ 大人向けのツライ現実
で、「Canada Indigenous people」とかのワードで検索すると、どうしてもここ数年、例の寄宿学校についての記事ばかりがヒットしがちなんですが、実は今でも先住民に対する差別や偏見は深刻な社会問題となっております…
過去にほぼ一方的に決められた居留地に住んでいるため、インフラや教育が行き届かず、犯罪に手を染めてしまうケースが多いそうな… それがまた差別や偏見につながるという悪循環…
カナダの29のコミュニティで、清潔な水が供給されていないという恐るべき現実… ↓ (しかもその数が増えてるって何⁉)
先住民がギャングになってるということを恥ずかしながら知りませんでした…
先住民の女性たちが行方不明になったり殺害される事件が後を絶たないというレポート。
殺害される先住民女性の数値は、全国平均の約6倍…
はるか昔に白人たちによって不毛の地(?)に追いやられたことで、今も尚、先住民の末裔たちが、差別や偏見に苦しめられているという重い現実があります…
②中国系に対する搾取と差別
これまた恥ずかしながら、先日 ↓ の動画を見るまで全く知らなかったのですが、過去にカナダは、中国人に対してかなりエグイ差別的な政策を行っていたのですね…
1880年代に、Canadian Pacific Railway を建設するにあたり、大量の中国人労働者がカナダにやってきて、めっちゃ貢献したというのは知っていたのですが、その後の彼らに対するえげつない差別、政策をわたくしは全く知りませんでした…
↑ というか、この時点でめっちゃ差別されとるやないかい。中国人労働者は日給1ドルで、食料やら工具やらが自腹だったのに対して、白人労働者の日給はその1.5倍から2.5倍、しかもタダメシだったと… 更には危険な仕事は中国人労働者にやらせていたとあります… エグい…
当然、事故や病気で亡くなった中国人労働者は多かった模様。
さらに、上の動画にもある通り、1923年7月1日には The exclusion of Chinese Immigrants が制定され、それが撤廃されるまでの24年間で、50人に満たない中国人しかカナダに入国できなかったそう。
これが、中国系の人々が 7月1日を、Canada day ではなく、Humiliation day と呼ぶ所以… (それ以前から、入国にあたって不当に高い人頭税を課せられたりと、中国人に対する差別が露骨にあった)
↑ の記事にもある通り、今でも尚(というかパンデミックによりそれは顕著となりましたが)中国系、そしてアジア系に対する差別は残念ながら存在しています…
(余談ですが、記事中で、トルドー首相の「"As we reflect with regret on the shameful legacy of the Chinese Exclusion Act, we recommit to learning from the mistakes of our past to do better today.」という宣言の中の、「mistakes」に疑問を投げかけるあたり、さすがだなと感心してしまいました。紹介されている博物館にも行ってみたい)
トロントでは史上初の中国系市長が誕生したり、中国系をめぐる状況がどう変わっていくのかも気になります…
ちなみに、ロンドンドラッグの経営を軌道に乗せたのは中国系の方だったんですね!やっぱり中国系のビジネス手腕はスゴイ…
③日系人の収容
中国系移民に対するエグイ差別的な政策を知って、「ハテ、それなら日本人、日系人に対してはどうだったのかな?」と思った人も多いと思います。私も当然ながら、その点が気になり、いろいろ調べてみました。
戦時中に、日本人が家や財産を没収され、収容所に押し込められていたという話は何となく聞いたことがあったのですが、恥ずかしながら詳細については今回、初めて知りました。
明治時代に日本からカナダに移住した人たちがいたことすら知りませんでした…
しかもその当時からすでに(?)、選挙権を剥奪されたりと結構な差別を受けていたんですね… そんな厳しい状況の中でも、カナダ社会に馴染もうと懸命に努力を重ねていた先人たちですが、日本軍による真珠湾攻撃によって、更に日本人、日系人を取り巻く状況は悪化してゆきます。
BC州政府によって、21,000人の日本人、日系人たちが、家を追われ、収容所へと追いやられたそうです… しかもその間に、彼らの家は何の承諾もなしに売り払われてしまっていたと… 絶望しかない…
1988年(めっちゃ最近!)になって、カナダ政府はようやく、当時の非道な仕打ちについて謝罪、当時の被害者全員に補償を行ったそうです。(が、動画内にもある通り、不動産を買い戻すにはまったく不十分な金額だった模様)(気になって調べてみたんですが、1980年時点のバンクーバーの不動産価格の平均が大体$200,000 に対して補償金は$21,000 だったので、マジで全然足らんですね… )
https://www.cbc.ca/news/canada/british-columbia/vancouver-real-estate-1.3746472
この動画は更に当時の状況を詳しく解説しています。
と言いつつ、中盤が特にむつかしくてよう分からんのですが(…)、とりあえずミソなのは、当時同じように敵対国だったはずのイタリア系やドイツ系にはそういった措置はなかった、と指摘されている点です。
動画の中でも語られている通り、品行方正で、商業的にもうまくいっていた日本人への憎悪が、戦争をきっかけに爆発したのだろうと…
結局これもアジア系への人種差別なんですね~…
戦中から終戦にかけて、日系人はロッキー山脈の東に移り住むか、もしくは日本に帰る選択を迫られます。完全な、国家による民族浄化政策ですね…
(もちろん有無を言わさず強制送還されるケースも多々あった模様)
敗戦後の日本に戻った彼らの境遇は動画にある通り、悲惨の一言… カナダで生まれ育った2世たちは日本語が話せず、文字通りの焼け野原で食料にありつくことも難しいという… 想像を絶する状況…
なんとあの!David Suzuki も、収容キャンプに家族と共に住んでいたと!
戦後も尚、日系人の国外追放が続きましたが、少しずつ政策の見直し、日系人の名誉回復が進み、ようやっと、1988年に被害者に対する補償が行われることに。(しかし先述した通り、めっちゃ微々たる金額)
しかもこれ、日系人を中心としたデモ活動の結果実現したようです。
てか、遅すぎないか⁉ カナダに戻ってこられなかった人はもちろん、第一世代は亡くなってしまった方が多かったのでは?と思ってしまいます…
(そして動画のコメントにもありますが、当時の政策に関わった官僚たちは、戦争犯罪の罪には問われないのか?という疑問も… なんか、モヤりますよね…)
(ちなみに同じ1988年に、在東京カナダ大使館がオープンしてるんですね… てか、1988年って、マジで私にとってはめっちゃ最近なんで、かなり驚いております… そんな近年まで、在カナダの日系人に対する名誉が公に回復されていなかったとは…)
だいぶ長くなってしまいましたが、カナダの黒い歴史について調べつつ書いてきました。まだ私も理解しきれたとはいえないので、もし間違っているところなどがあったら是非ご指摘ください。
いやーしかし… こういうことを知ってから今のカナダを見ると、やっぱりかなり印象が変わりますね…
特に先住民に対する仕打ちよ… しかも未だに、きれいな水がいきわたってないコミュニティが30近くあって、しかも増えてるとか、これが同じカナダの話?と衝撃に震えます…
移民を大量に受け入れているダイバーシティなリベラル大国カナダ☆と思っておりましたが、だんだんとこういった闇を知ると… やはりどの国にも後ろ暗い過去があったり、後回しにされている問題があるのだなと… 遠い目になりますね…
今後も少しずつ、こういったことにも目を向けていきたいと思います…。
かわいそう、オモローw、もしくは頑張れ… と思ったらサポートをお願いいたします~