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MCUが映画界に残した悪しき習慣〜サプライズ重視と興行収入スタートダッシュ〜

あるツイートより↓

marvel fucked up hollywoods entire perception of a successful release for like a decade straight. it used to be that movies would chill in theaters for months at a time, building a box office by word of mouth. Now if one doesn’t make god tier money out of the gate it’s a failure
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マーベルは、ハリウッドの成功作品に対する認識を10年近く台無しにしてきた。かつては、映画は劇場で何ヶ月も上映され、口コミで興行収入が伸びていた。今では、最初から神レベルのお金を稼げなければ失敗だ。

https://x.com/girldrawsghosts/status/1800190625964511428

ほぼ同意します。

この10年近くMCUがサプライズ重視の路線を取った結果、若い映画ファン(もしくは特に映画ファンというわけではないが流行に乗ってMCUを観ていた人達)は《ネタバレ恐怖症》に近い状態にあると思います。

これが《映画はなるべく早く観に行く》という全体の傾向につながり、それが一種の常識になり、そのまま《良い映画は興行収入が1週目からスタートダッシュを決めるのが当然》のような世間の認識になりました。

しかし逆に言えば、大規模予算映画でありながら初週にスタートダッシュを決めなければSNSで早急に爆死認定される空気が醸成されることにもなりました。このために、かつてのように《クチコミで面白さがじわじわ伝わりメガヒットにつながる道》がほとんど塞がれてしまいました。(特に広告費を大きくかけるビッグバジェット作品では)

本当に面白い映画や、本当に好きな映画は、何度観ても楽しいものです。

そして自分で観たあとで、他人に推薦したくなるものです。

しかし一度爆死認定されてしまうと上映する劇場は減ってしまうし、友人知人に紹介してもその友人知人が世間の反応(数字や評価)を見て、自分で観るのを控えてしまうことが増えた気がします。

連続ドラマのように一日でも早く続きが見たくなる数珠繋ぎのサプライズを売りにしたマーベルにも問題がありますが、その制作様式に完全に迎合してしまった映画館やシネコンも一度上映スケジュールの決定方針を見直すべき時期が来ていると言えるでしょう。

ただうまくやっている施設もあります。例えば私が好んでよく利用するMOVIXさいたまでは1日の上映回数を1回に絞りつつも、なるべく多種類の作品をなるべく長い期間上映しようと工夫してくれるシネコンです。これは系列会社や場合によってはそのシアターのオーナーによっても変わるのかもしれませんが、映画館の銀幕(スクリーン)特別だからこそ、いつまでも何度でも観られる環境の維持に努めていただけるのは嬉しいことです。

(了)

PS

なお最初に引用したツイートは『フュリオサ』の劇場数が減ることを嘆くものでしたが、この作品に限ればそもそもマッドマックスというコンテンツがニッチでマニア志向のフランチャイズであり、たまたま前作フューリーロードが色々奇跡的に噛み合ってメガヒットになっただけなので、今回同じことが起きないのは当然と言えば当然だったと思います。ただそれでもあの爆音を自宅で鑑賞するのは難しいので、映画館で鑑賞するオプションは残してほしいと思います。これからも観たい人は居ると思うので。(私は1回で十分ですけど)

参考リンク:【フュリオサ】のストーリーはこうするべきだった!【脚本修正】

最後まで読んでいただきありがとうございます。ぜひ「読んだよ」の一言がわりにでもスキを押していってくださると嬉しいです!