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隕石と地球上の石は、どうやって見分けるのですか?

Akyuさん(小学3年生)からの質問
(回答:高知コア研究所 富岡)

いん石には色々な種類があるのですが、大きく2つに分けられます。
・「鉄のかたまり」のいん石(いん鉄といいます)
・「岩石」のいん石。

「鉄のかたまり」は小さくてもずっしり重いので、道ばたに転がっている石ころと簡単にくべつできます。また、鉄でできているので磁石に良くくっつきます。いっぽう、「岩石」のいん石は重さが地球の石に近いので見わけはたいへんです。でも、よく表面の色を見比べると、「鉄のかたまり」も「岩石」も表面は地球の石よりはずっと黒いことが多いんです。なぜでしょうか?
いん石は宇宙からやってくる星のカケラです。この星のカケラが地球に落ちてくる時、空気とこすれて燃えだし、ほとんどは地面にとどく前に消えてなくなります。これが流れ星です。大きなカケラは燃えつきずに、一部がいん石として地面にたどりつくのですが、その表面は焼けこげて地球の石よりずっと黒く、鉄のフライパンのような色をしています(写真1)。いん石の一部が欠けていれば中身が見え、表面だけが、うすいまくでおおわれているのが分かります。Akyuさんも、これでいん石ハンターになれますね。

写真1

でも残念なことに、地面に落ちてから長い時間がたったいん石は、雨風にさらされて表面の色が変わり、地球の石と見分けがつきにくくなってしまうことがあります。その場合は、いん石を切って、中をたしかめます。運がよければ、小さな丸いつぶつぶが見えることがあります。むずかしい言葉ですが、「コンドリュール」といって、特別ないん石にだけ含まれるつぶです(写真2)。

写真2

それでも見分けがつかない時は、いん石研究者の出番です! うすーくスライスして顕微鏡で観察したり、大きな機械で電子のビームをあてて成分を分析すると、地球の石とのちがいがわかります。もったいないですが、一部はけずったり、溶かしたりしなくてはいけません。

私たちの研究所でははやぶさ2が地球に持ち帰った小惑星リュウグウの石を調べる予定です。そう、いん石のふるさとから持ち帰った石です。どんな石なのか楽しみですね。もしかすると、Akyuさんもリュウグウの石に似た石ころを見つけられるかもしれませんよ。まずは道ばたや草木の少ない野原で、特に真っ黒い石を探してみてください。

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