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苦痛な片づけがお祭りに!片づけ好きのプロが語る、本当に大切なこと【前編】

「片づけは、捨てることから」そんなイメージ、ありませんか?

でも、家の中にある物は、元はと言えば自分や家族が必要だから持ち込んだはず。片づけたいけれど、やみくもに捨てるのは忍びない……と感じている方も多いのではないでしょうか。

片づけ収納サポートのプロ・ライフオーガナイザー歴13年の服部はっとりひとみ・通称「ひとみや」さんは、10代のころから片づけが好きすぎて、ついには仕事にしてしまったという筋金入りの片づけ好きです。そんなひと宮さんが大切にしているのは、「捨てるから始めない片づけ」

「いかに家族みんなが居心地のいい空間をつくるか」を追求し、片づけはもちろん、不要になった物の手放し先までをトータルでサポート。特に、家事や育児、仕事に追われるママたちに向け、ひとりひとりの個性や暮らし方に合わせたオーダーメイドのサービスを提供しています。

ライフオーガナイザー(※1)のほか、メンタルオーガナイザー(※2)・リユースオーガナイザー(※3)の資格を活かし、年単位のなが〜いお付き合いで、お客さまと丁寧に向き合っていくというひと宮さん。粛々と静かに作業が進んでいくのかと思いきや、ひと宮流の片づけは、「ものすごく賑やかで楽しい」という声が絶えないのだとか。いったい、どういうことなのでしょうか。

※1ライフオーガナイザーとは
生活の質の向上を目指し、暮らしの体質改善を行うパーソナルトレーナー。「もっと楽に、もっと生きやすく」を理念に掲げ、主に片づけ整理収納という行為を通じて、人生そのものを整えるサポートを行う。

※2メンタルオーガナイザーとは
ライフオーガナイズの考え方を土台に、頭と心の整理をサポートすることのできる専門家。

※3リユースオーガナイザーとは
リユースの知識や技術をもつ「捨てない片づけ」を促進するスペシャリスト。

面倒な片づけ作業がまるで「お祭り」?!

ひと宮さんの片づけサービスを受けたお客さまは、皆さん「お祭りみたい」とおっしゃるのだそう。

片づけが大嫌いだった方も、「一緒に作業しているとあっという間で、楽しくてしかたがなかった」と嬉しそうに語ってくれるといいます。いったいどんな作業風景なのか気になりますが、お客さまがそう感じる理由をひと宮さんは次のように分析します。

「私の片づけが大好きだという気持ちが伝わっているからじゃないかなと思います。『依頼されたからやってあげている』のではなくて、『私が本当にやりたいことを、勝手に楽しんでいる』というか。作業中ずっと笑っているらしいんですよ、私。お客さまにも、『ひと宮さん、今日もニヤニヤしてますね〜』なんて言われたりして(笑)」

楽しそうに語るひと宮さんの笑顔に、現場の賑わいを想像してしまいました。ひと宮さん自身も、どうせお金を払って片づけるなら楽しく賑やかにワイワイやりたいという発信をふだんから心がけているのだそう。ブログを見て、その人柄に共感した方からの依頼だからこそ、作業中もより盛り上がるのでしょうね。

片づけ作業後に行っているアンケートの『いつからひと宮を知っていましたか』という質問には、ほとんどのお客さまが、『ひと宮さんのブログを通じて、数年前から存在を知っていた』と回答するのだとか。

確かに、片づけのプロを検索するといろいろな人が出てきて迷ってしまいます。そんな中でも、「ひと宮さんのブログを見続けていたら親近感がわいてきてお願いすることにしました!」という方が多いのだそうです。

「片づけの依頼は、ただでさえ時間と費用がかかるので、勢いで頼もうとは思いませんよね。ましてや、自宅のプライベートな部分を見せるということでハードルも高いですし。だからこそ、ブログを見て親近感や共通点を感じて、最初に訪問した時点から心を開いて接してくださるお客さまが多いのは、本当に嬉しいです」

片づけ依頼は「まるごと一軒」。そのこだわりのワケとは?

整理収納サポートを行うライフオーガナイザーは、「1時間いくら」というように時間単価で依頼を請け負う人が多いようです。一方、ひと宮さんのサービスの基本は、「まるごと一軒」。

キッチンで1.5日、寝室で1.5日……というように、半年〜数年かけてすべての部屋を少しずつ片づけていきます。場所単位ではなく、「一軒」とするのは、「その場しのぎではなく、じっくり長いお付き合いで整えていきたい」という想いがあるから。

「最初のヒアリングで、お客さまに、『どこがいちばん気になりますか?』と尋ねると、ほとんどの人が『家全部です。どこも散らかっているので』とおっしゃるんです。確かに、片づけをプロに相談している時点で、『キッチンだけが気になります』なんて方は、きっと少ないですよね。

となると、1か所、2か所やったところで、すぐにまた散らかってしまうでしょうし、満足度も上がらないだろうなということで、全部まとめて整えるサービスを基本に据えることにしました」

訪問は1か月に1回程度。というのも、一気に家中を片づけてしまうと、全部の物が移動するので暮らしにくくなるからだそう。なので、一箇所ずつ片づけ、慣れたころに次の部屋へ、という流れで作業を進めます。

ちなみに、片づけを開始するおすすめのタイミングは、「子どもが小学校に入学する」「仕事を辞める」「結婚する」というような、生活が大きく変わる節目なんだとか。

「私のサービスは一軒単位ということで、それなりにお金もかかります。だからこそ、依頼のきっかけとなるようなタイミングが事前にわかっているのであれば、『1〜2年前から声をかけて』とお伝えしています。まずは相談だけしておいてもらえば、いまは予算が足りないかもしれないけれど、これからゆっくりお金を貯めて2年後に開始しましょう、というように、計画も立てられます。

こちらとしても、突貫工事のようなサポートはライフオーガナイザーの仕事ではないと思っているので、前もってご連絡をいただくほうがありがたいですね。最適なサポートをするために、しっかりと事前準備ができますから。それに、2年後と思えば、やっぱりいいやって連絡しなかったとしても、お互いに気まずくないですしね(笑)」

「あったらいいな」を実現。こだわりのハンガー

ひと宮さんが開発したハンガー

ひと宮さんは、片づけ中に必要を感じたら、買い替えの提案を行うこともあるのだそう。対象となるものはいろいろあるようですが、その代表格が、「ハンガー」です。

確かに、「クローゼットを整えるときは、ハンガーの種類を揃えるといい」なんて話、聞いたことがありますよね。実は、服を吊るすときは服の厚みよりもハンガーの厚みが邪魔をしていることが多いのです。これに拍車をかけるのが、形が不揃いなハンガーの使用。

だからといって、「どんなものがいいのかわからない」となかなか買い換える勇気が出ない方も多いのでは?

そんな声を聞いたひと宮さん、なんとご自身でハンガーをプロデュースしてしまいました。以前日本ライフオーガナイザー協会公式ブログでもご紹介した、コチラの商品。

「ハンガーにまでこだわっていられないという人こそ、揃えて家事のストレスを減らしてほしいという想いから、一度買い替えたら雑に扱ってもずっと使い続けられる『折れないハンガー』を作っちゃいました」

「折れない」「曲がらない」「劣化しない」
子供服から男性の服までこれだけでOK。針金ハンガーのように絡まってイライラすることもなく、外でも室内でも使用可能というのが驚きです。一度揃えれば半永久的に使え、丈夫で長持ちするという点も、SDGsが叫ばれる時代にマッチしていますよね。

お客さまの声に耳を傾け、商品開発までしてしまうひと宮さんの情熱に脱帽です。

(後編につづく)


服部はっとりひとみ(ひとみや)さんのプロフィール
片づけが好きすぎて、仕事にしてしまった元専業主婦、二児の母。活動拠点は岐阜県。
ライフオーガナイザー・メンタルオーガナイザー・リユースオーガナイザー3つの資格取得者は、東海三県で唯一。
心の癖を知り、空間や暮らし全体を捉えてしくみ化することで、ひとりひとりに合ったオーダーメイドの片づけをサポートする。リユースリカちゃんプロジェクトをはじめ、物を捨てずに活用する「捨てない片づけ」にもこだわっている。

■ひと宮さんのブログ:https://lo-hitomiya.com/blog/
■ひと宮さんのWebサイト:https://lo-hitomiya.com/
■協会の紹介ページ:https://jalo.jp/member/hattori-hitomi/

取材・編集:くらしなゆうこ
取材・執筆:あやこあにぃ


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