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苦痛な片づけがお祭りに!片づけ好きのプロが語る、本当に大切なこと【後編】

片づけ収納サポートのプロ・ライフオーガナイザー(※1)歴13年の服部はっとりひとみ・通称「ひとみや」さん。10代のころから片づけが好きすぎて、ついには仕事にしてしまったという筋金入りの片づけ好きです。

ライフオーガナイザーのほか、メンタルオーガナイザー(※2)・リユースオーガナイザー(※3)の資格を活かし、ひとりひとりのお客さまと丁寧に向き合っているということで、前回は、お祭りのように楽しいと噂の片づけやサポート内容、お客さまの声を集めて開発したこだわりの商品などについて伺いました。

後編では、ひと宮さんの想いやこれまでの体験談を通して、ひと宮流片づけの真髄にせまります。

※1ライフオーガナイザーとは
生活の質の向上を目指し、暮らしの体質改善を行うパーソナルトレーナー。「もっと楽に、もっと生きやすく」を理念に掲げ、主に片づけ整理収納という行為を通じて、人生そのものを整えるサポートを行う。

※2メンタルオーガナイザーとは
ライフオーガナイズの考え方を土台に、頭と心の整理をサポートすることのできる専門家。

※3リユースオーガナイザーとは
リユースの知識や技術をもつ「捨てない片づけ」を促進するスペシャリスト。

捨てずに「活かす」。思い出の品を人形に託して

ひと宮さんのブログによく出てくるのが、かわいい洋服を着たお人形。最近は、「2022年に作ったドール服」ということで、80着もの人形用の洋服が投稿されていました。

実はひと宮さん、片づけの現場で引き取った人形や布などを使って人形を生まれ変わらせる、アップサイクルドールを作る活動もしています。

「最初は半分趣味のような形でスタートしました。片づけ先で不要となった人形をはじめ、衣類やミシン糸など必要な資材も全て、引き取った物を使って服や小物を作ってみるという挑戦をしていたんです。

その後、本格的にご依頼をいただくようになり、素人が作った作品ではだめだなということで、工具もしっかりしたものを準備して。いまは、過去に関わりのあったお客さまの思い出の品を、人形を使って素敵にアップサイクルするサービスとして展開しています」

これまで手がけた「思い出の品」は、ウエディングドレスや亡くなった方の形見の品から、アイドルなどの推し活で購入した商品まで、じつにさまざま。

片づけといえば「捨てる」という認識が強く、パパッと手放しスッキリして新たな人生を、という片づけのプロが大半というイメージがありました。ですが、ひと宮さんは、「思い入れのある物を手放しがたいと思っている人に対して、それってゴミじゃなくて資源だよね、じゃあ活かそうよって提案するプロがいてもいいんじゃないかと思って」と笑います。

「私たちライフオーガナイザーが目を向けなければならないのは、物をどうするかではなくて、その人の気持ちにどう向き合うか、寄り添うかということだと思うんです。

物を捨てられない人がそれを資源だと思っているなら、私もその気持ちに応えるために手を尽くしたい。すべてのプロが『片づけ=捨てる』という考えじゃないんだよということを知っていただくきっかけになればという想いで活動をしています」

片づけ好きが気がついた。「片づいた家はオマケ」

もともと片づけが大好きで、子育て中の大変な時期でも、いつでも人が呼べるくらいに家がきれいだったというひと宮さん。

好きな片づけを仕事にするために資格を探す中で、ライフオーガナイザーに出会ったのだそうです。ライフオーガナイズに触れ、暮らし方や個性に合う片づけ方を学んだ当初は、家族を通していろいろと気づきや反省があったといいます。

「仕事を始める前は、自分が好きな時間に、好きなように片づけをしていました。家族にも、『余計なことしないで』『私が片づけたほうが早いから』って言っていて。

でも、いざ自分が忙しくなると片づけの時間がなくなってイライラしてしまって、「自分のことは自分でやってよ、私だって忙しいんだから」と気持ちをぶつけると、『だって、どこになにがあるかわからないもん』って言われたんです。『勝手に触ると、ママ怒るじゃん』って。

そこで初めて気づきました。『完璧に片づいた家』に満足していたのは私だけで、家族はすごく居心地が悪かったんだなって。確かにずっと、いつも部屋がきれいだね、すごいねってみんなに言われてきたけれど、それは私の独りよがりだったんです。

片づけを伝える身として、ただ部屋をきれいにすることを伝えるだけではいけないんだ、家族みんなの行動をお互いに尊重して、暮らしやすくなるからこそ幸せが生まれるんだということを、身にしみて感じたできごとでした」

実際のところ、いまは子育てをしていたときよりも部屋は散らかっているといいます。ですが、「ここからここは私は関与しない」などルールを決め、家族を信じて任せてお互いに許せる範囲を増やした結果、余裕が生まれ、いまでは家族みんなが過ごしやすい空間を実現できたのだとか。

片づけてきれいになったというのは、オマケでしかないんです。まずは、自分の時間や余裕をコントロールして、いかに生活の土台を整えるかを考える。その上で、家族と向き合って、問題を乗り越える力を身につけられるかがいちばん大切なことなんですよね」

もともと特技である片づけを活かすなら、家事代行の仕事やほかの資格でもよかったはず。でも、「片づけがもたらす本当の幸せ」について伝えられるのは、片づけのその先を見据えることができるライフオーガナイザーならではだと思うんですよね、と語るひと宮さん。

「次回のお祭り作業も楽しみです!」と言われるほど、賑やかで楽しい片づけに興味のある方は、まずは気軽にひと宮さんのブログを覗いてみてはいかがでしょうか。


服部はっとりひとみ(ひとみや)さんのプロフィール
片づけが好きすぎて、仕事にしてしまった元専業主婦、二児の母。活動拠点は岐阜県。
ライフオーガナイザー・メンタルオーガナイザー・リユースオーガナイザー3つの資格取得者は、東海三県で唯一。
心の癖を知り、空間や暮らし全体を捉えてしくみ化することで、ひとりひとりに合ったオーダーメイドの片づけをサポートする。リユースドールの活動をはじめ、物を捨てずに活用する「捨てない片づけ」にもこだわっている。

■ひと宮さんのブログ:https://lo-hitomiya.com/blog/
■ひと宮さんのWebサイト:https://lo-hitomiya.com/
■協会の紹介ページ:https://jalo.jp/member/hattori-hitomi/

取材・編集:くらしなゆうこ
取材・執筆:あやこあにぃ

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