アムトラックでアメリカ横断:11日目~ワシントンD.C.でミュージアム三昧(後編)
ワシントンD.C.のミュージアム巡り、お次は美術館です
手っ取り早く動画で楽しみたいかたはこちらをどーぞ!
ハーシュホーン博物館(美術館?)
ここはナショナルモールにあるスミソニアン協会が運営する現代アートの作品が展示されているミュージアムです。英語だと博物館も美術館も「ミュージアム」なので楽なんですが、日本語だとどっちが適切なのか迷ってしまいます
ここはジョセフ・ハーシュホーンというラトビア出身の財政家が100万ドルの寄付金を投じて1974年に開館したミュージアムで、ハーシュホーンさん自身は14歳からウォール街で雑用係として働き始め、その後株式のブローカーを経て石油・鉱業で財を成したアメリカンドリームの体現者だそうです
今回はLaurie Anderson(ローリー・アンダーソン)という前衛芸術家の展示がありました
ローリーさんはイリノイ州出身だそうで、芸術、作曲、映画監督などマルチに活躍しているアーティスト。御年75歳
今回の展示は真っ暗な空間に様々なモチーフが描かれており、正直かなり好みが分かれるというか、不気味な世界が広がっていました
これは真っ赤な旗が機械仕掛けでひたすら上下する通路、不気味…
これは部屋中を埋め尽くす文章の洪水の中にたたずむ真っ黒なカラスの象
かなり個性的で前衛的な作品ばかりだったので、正直理解しづらいものばかりでした…
まあ、芸術はひとそれぞれ違う感性で自由に楽しめば良いので、分からなくても気にしない!!
ちなみに個人的にはロンドンのアート・テータム美術館にある現代アートが分かりやすくて好みです
フィリップス・コレクション
お次は、こちらに住んでいる友達がお勧めしてくれた現代アート美術館
場所はナショナル・モールからは結構離れていて、大使館などが多く軒を連ねる閑静な住宅街、デュポン・サークルの近くにあるプライベートの美術館です
ハーシュホーンからは自転車で20分ちょいかかりますが、もちろんメトロでも行けます
なんと今回はラッキーなことに、ピカソ展が開催されているではありませんか!
あまりアートには詳しくないのですが、ピカソなら聞いたことあるので一安心…?
ここはスミソニアンではないので、入場料が$16かかります
また、この時はマスク着用が必須でした
この美術館はダンカン・フィリップスという人が1921年にオープンした、アメリカで最初のモダンアート美術館だそうです
フィリップス家の自宅とその収集品をそのまま美術館にしているため、とてもアットホームな雰囲気があり、あまり観光客も多くないのでじっくり作品と向き合える美術館です
撮影できる作品とそうでない作品があるのですが、ちゃんと絵の横にマークがあるので安心です
これ以外にもゴッホ、シャガール、モディリアーニ、ゴーギャンなど、好きな人はよだれが出そうな有名画家の作品があります
今回はピカソの「青青の時代」という時期を切り取った展示が行われていました
これは、ピカソが19歳の時に親友を自殺で失い、作品の傾向が内相的になって青色の絵の具を多用して1901年から1904年に制作された作品を指しているそうです
ピカソの初期の作品は売春婦の裸婦像を描いたものが多く、とても明るい色使いだったのですが、青青の時代に入ると一気に作風が変化しました
この時期の作品は社会の弱者を描いた絵が多く、暗くて内省的なテーマが漂っています
この「しゃがむ乞食女」を赤外線で調べたところ、実はこのキャンバスには全く別の風景画が描かれていたそうで、しかもこの女性もパンを持っていたらしく、後で描きなおしたことが最近判明したそうです
この作品もとても印象的で、目に飛び込んできました
赤ん坊を抱く女性が祈りを捧げており、女性が持つ赤い花がとても美しいコントラストを描いています
バルセロナで描かれたそうですが、浜辺にあるボートでこれから漕ぎ出す前に神に祈っているようにも見えますし、逆にどこかから船でやってきて無事だったことを神に感謝しているのかも知れません
他にも沢山の作品をじっくり楽しむことができる素晴らしい美術館なので、ぜひワシントンを訪れる機会があれば足を運んでみてください
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